ルームメイトが幽霊で、座敷童。
人間と霊体の完全融合(後編)
「それじゃあちょっとどころじゃない、大問題だ!! なんとかする手段ってのはないのか?!」
「あったら便利なんだけどね。……ってあれ? おかしいなー、確かに居るはずなのに」
「……何がだ?」
「考えてもみなよ。マリナは神憑きだ。……ってことは“マリナに憑いているはずのカミサマは何処にいるんだ”?」
その直後だった。
雷撃が俺達に襲いかかった。
ガガガガ!! と突き刺すように雷撃は木造の床を破壊していく。……ちくしょう、主である姉ちゃんがあんな目にあってるのに何もしないと思ったら!!
「……とはまぁ、カミサマが操られてるって少々滑稽?」
スッ、と。
雷神スエズ・ゴーランドは右手を掲げた。
ただ、それだけだったのに。
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ……!
雷撃、衝撃、破壊――! 目の前でその光景を見ていた俺達にも説明がつかねえことが起きた。
言えるのは一つだけ。
――俺は姉ちゃんを救うためには雷神を倒す必要があるってことだ。
◇◇
「……なんかやけに静かだな」
気持ち悪さから夕飯後ずっと寝ていたんだけど、やっと楽になったみたいだ。今は……深夜一時? 微妙な時間だなぁ。もう一度寝るかな……。
と。
思っていたし、そうするつもりだった。
隣に居たはずの副局長が消えていなければ。
彼女と僕は同じ部屋になってたんだよね。リストアさんも気持ち悪いくらいに静かに寝てる。不安なので脈を確認すると……。
「……止まっている……?」
しかし、死んでるようには見えなかった。だって死んでいるならば身体は冷たくなっていてもおかしくない。何しろここは西岸海洋性気候のど真ん中。この時期の深夜はストーブをつけないとやってらんないくらいには寒い。ということは寒くなるスピードが早くなってもおかしくないよね?
「……ともかく、ヴンダー。いるんだろ? 返事してくれよ」
「眠いんだ、解るだろ」
すぐに返事があったってことは僕の質問を待っていたね?
「……ったく、待っていたなら声をかけてくれればいいのにさ」
「めんどくせぇ」
「何か言ったか?」
「……その封霊銃をどけろよ」
「何か言ったか、って言ってるんだが? 答えろよ」
「……何も言ってねえよ」
ならいいや。
とりあえず僕は封霊銃を仕舞って……さて、これからどうするべきかな?
「やけに静かだが、何があったんだろな?」
「さてね……ははぁ、なにか仕込んだかな。僕が体調悪くてずっと寝てたのもこれが原因かもしれない」
「……妖怪関連か」
「ここは日本じゃない。ヨーロッパだ。そんなことはないと信じたいね」
「ひとまずいこうぜ」
ヴンダーはなんだか準備体操をしていた。気持ちは解るんだけど。
ヴンダーは見た目はスポーツがすごい出来そうな青年に見えるけど、これでも彼は奇跡を起こすカミサマだからね。その付随効果で『神殺し』なんて手に入っちゃってるけど、もとは奇跡を起こすカミサマって訳。
「……それじゃ、行きますか」
適当にいつものファッションに着替えて、僕は外に出てみた。
外も恐ろしいほどの静けさだった。
「……やっぱり何かあるぜ。これはおかしい」
「解っているよ」
まずは――何が起きているか、自分で確かめる必要がある。
そう呟くこともなく、僕は外の廊下へと足を進めた。
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