桜舞う丘の上で

りょう

第46話 彼女の側に

                  第46話 彼女の側に

1
「何で…そんな大切な事を隠していたんですか?」
「娘にも話してねえ事なんだ。簡単に話せるもんじゃねえだろう」
「それは分かりますけど、僕には到底信じられません」
「まあ、そう簡単には受け入れられねえだろう」
こんな事ってあるのだろうか。いくらなんでも残酷すぎる運命だ。あんなに元気な彼女でも、そんなのを背負っているなんて。
だったら僕は、彼女に対して何をしてあげればいいのか?そんなの決まっているじゃないか。
「あの…秋久さん」
「どうした?」
「僕が桜を必ず守ってみせます。だからこれからも、桜の側にずっと居させてください。お願いします!」
僕が彼女の側にずっと居ること。
たとえ彼女がどんな運命を背負っていても、絶対に側から離れない。
そんな決意を込めて僕は、秋久さんに頭を下げた。
「一つだけ聞いていいか?」
「はい…」
「お前はうちの娘の事が好きか?」
「僕は桜が好きです。誰よりも」
「どんな事があっても、守ってやれるか?」
「はい。必ず守ってみせます!」
「その言葉に嘘はないな?」
「はい」
僕は顔を上げて秋久さんね目を真っ直ぐ見る。僕の決意は揺るぎないんだから、きっと認めてもらえるはず。
「…分かった」
「え?」
「今回の事は特別に許してやる。だから…あいつの側に居てやってくれ。これは親としてのお願いだ」
「はい、分かりました!」
2
自分の部屋に戻り、先程の事をゆっくりと振り返ってみる。
(桜が…どうして…)
それと同時に沢山の涙が溢れてきた。だって、昨日告白してお互いの気持ちが通じ合ったばかりなのに、彼女が病気持ちなんてあり得ない。信じたくない。でも事実なんだ。そして、今回の事件の原因は自分にある。だからどうしようもない罪悪感が湧いてきてしまう。僕のせいで桜が…。
(桜…)
でも守るって決めたんだから、彼女の側にずっと居るって決めたんだから、こんな所で折れちゃ駄目なんだ。だから…。
コンコン
ふと扉を叩く音がした。
「はい」
「結心さん、ちょっと入ってもよろしいでしょうか?」
夏海さんだった。
「いいですよ」
僕がそう答えると、夏海さんは僕の部屋に入ってきた。
「実は結心さんに見てもらいたい物がありまして」
「僕に?」
「はい」
そう言って夏海さんが出してきたのは、何冊かのアルバムだった。
「アルバム?」
「これは桜が生まれた頃からの写真です。結心さんは桜の病気の事、あの人から聞いたんですよね?」
「はい、聞きました」
「折角なので、これを見て桜がどれほど元気なのか知ってもらおうかと思いまして」
「なるほど」
そこには沢山の桜の写真があった。そして、彼女の表情はとても元気で明るかった。
こんなのが病気だなんて考えたくないな…。
                                      第47話 違和感 へ続く

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