桜舞う丘の上で

りょう

第33話 同じ年なのに

                 第33話 同じ年なのに

1
翌日、何故か凛々は僕を避けていた。やはり、昨日の事をどうしても気になるからだろうか。
「結心お兄ちゃん、昨日お姉ちゃんに何かあったか知らない?私とも話してくれなかったから」
放課後、ついには部活にも来なかった凛々が心配になった愛華が、部活終了後僕に直接聞いてきた。
「実は…」
僕は昨日あった事を全て愛華に話した。それを聞いた彼女は…。
「お姉ちゃん、先駆けなんてずるいよ…」
と、訳が分からない事を呟いていた。
先駆け…?
「私だって…」
「愛華?」
「っ! ど、ど、どうしたの?」
「いや、さっきから様子が変だけどどうしたの?」
「あ、えっと…、その…」
愛華が何か言いたげな顔をしている。
「何か話があるなら、そこの公園に寄る?」
「え、うん…」
そんな彼女を見た僕は、彼女と近くの公園に寄る事にした。
2
「これから話す事は全部本当だから、ちゃんと聞いて欲しいんだけどいい?」
「うん」
公園に入りベンチに座ると、すぐに愛華は口を開いた。やっぱり帰りながらだと話ずらかったのだろう。
そして愛華は、ゆっくり話を始めた。
「昨日お姉ちゃんは、お兄ちゃんに告白したんだよね?」
「多分」
「多分じゃなくて本当だと思う。お姉ちゃんはずっと結心お兄ちゃんを好きなんだもん」
「やっぱり…」
正直僕はあれが本当なのか決められなかった。だって、女子の気持ちを自分の中で決めつけるのが怖かったから。
「思わず告白しちゃったから、お姉ちゃんはその場から逃げたの。帰ってきたら顔真っ赤だったもん」
「そうなんだ…」
「でも私は、お姉ちゃんみたいに逃げないで、ちゃんと話そうと思う」
あれ?話が急に変わって…。
「私はお姉ちゃんと同じ年なのに、ほんの少し生まれてくるのが遅かったって理由だけで、いつもお姉ちゃんに譲ってばっかりだった。でも、今回ばかりはお姉ちゃんに譲れない」
「それは…どういう事?」
彼女が何を言いたいか分かっていた。
でも自分は聞けなかった。
分かっていても…。
「私は結心お兄ちゃんが、小さい頃から好きなの。だから…、私と付き合ってください」
それに対して僕はどんな答えを出せばいいか分からなかった。
3
ここから自分は何をしでかしたのかは、今を見れば分かる。
僕は答えを出す事を怖がって逃げた。
どちらかを傷つけそうで怖くなって逃げた。
答えを出した後に、二人とどう接すればいいか分からなかったから逃げた。
僕は怖い事全てから逃げたんだ。
でもそんな事が許されるはずもなく、中学二年生の夏、ついに二人の堪忍袋の尾が切れた。
「結心、ちょっと話したい事があるから、放課後屋上に来て」
「結心お兄ちゃん、放課後屋上に来てくれないかな?」
この日僕は友情や愛情など、全てを失う事になる。
    第34話 全ての終わり そして始まり へ続く

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