桜舞う丘の上で

りょう

第23話 帰る場所

                      第23話 帰る場所

1
『もしもし結心』
電話してきたのは母親だった。
「何で電話かけてきたの?」
『久しぶりに話す相手に対して、その挨拶は失礼じゃない? しかも親に向かって』
「時間かけたくないからさっさと要件言って」
『もう、頑固ね。誰に似たのかしらね?』
「早く言ってよ。じゃなきゃ、切るよ電話」
『ちょっと待ってって。あなたは今どこにいるの?』
「何でそんな事聞くの? 教えないけど」
『どうして? 私達はあなたを探しているのよ』
え?
『本当は放って置いて構わないんだけど、お父さんがあなたが必要になったとかで、あなたには帰ってきてもらう事にしたの』
「は? 今なんて言ったの?」
『だから、必要になったから帰ってきてもらうわ。帰ってこないならどんな手段使ってでも無理やり帰ってきてもらうから』
「どんな手段って、結局はお金なの?」
『いえ、あなたの下らない家でごっこの為に勿体無い』
ああ、やっぱりこれだよ…。何も変わっちゃいない。少しでも信じようとした僕が馬鹿だった。
「ふざけないでよ…」
『何? 何か言った?』
「ふざけないでよ!!」
2
「もう夜か…」
一日中島を歩き続けた結果、家に戻ってきた頃にはすっかり夜になっていた。
「ただいま」
「ゆ、ゆーちゃん! どこに行ってたの?」
「おいてめぇ、店番さぼってどこに行ってたんだ?」
「あなた、そんなに怒らないで」
家に入ると、それぞれの声が聞こえる。ああ…。ここが…。
「ゆーちゃん?」
「おい、無視すんな…って、どうしたんだ?」
「結心さん?」
ここが僕の今帰る場所なんだ…。
「桜…、秋久さん…夏美さん…。うぅっ。」
そう考えていると、自然と涙が流れ始め、
「うわぁぁん」
それが大量の涙へと変わっていった。
3
「ゆーちゃんは?」
ゆーちゃんの部屋から出てきたお母さんに私は尋ねる。
「寝ちゃった。泣き疲れちゃったんでしょうね」
「そう…」
お母さんにおやすみなさいと言い部屋に入る。まだ夜十時なんだ…。
「ゆーちゃん…」
さっきは急に泣き出したからビックリした。彼があんなに感情を表に出したのは初めてだった。本当に何があったのかな?
(さっきの電話が何か関係あるのかな…)
椅子に座りながら考える。でも答えが出ない。
(出るわけないよね…)
私には分からない何かをゆーちゃんは抱えている。何とかしてあげられないかな…。
(ああもう!)
自分までイライラしてきた。何でこんなに無力なの私…。
(寝よう…)
明日は学校休みだから、まだ起きてても大丈夫なんだけど、私は早めに眠りにつく事にした。
          第24話 狂った人生を変える為にへ続く

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