桜舞う丘の上で

りょう

第20話 止まらない鼓動

                    第20話  止まらない鼓動

1
体育祭も終わり七月に入った。
「暑ぅぅい、ゆーちゃん何とかしてよぉ」
「流石に僕にはどうにも出来ないよ」
今日は日曜日で、桜と二人で店番をしていたんだけど、あまりの暑さに二人とも倒れそうだった。
「ねえ店番やめて、もう海に飛び込んできていいかな」
「駄目だよ。今日は家に僕達以外居ないんだから」
「まあ、そうなんだけどさぁ」
桜はうなだれながら、「暑い暑い」と連呼する。気持ちは分かるけど余計暑くなりそうだよ…。
「ねえねえ、そういえば新しいパンの発明はどうなってんの?」
「あ、そういえばすっかり忘れてた」
体育祭とかで忘れていたけど、この売れないパン屋の為に新メニューを考えようってなっていた。
「でもさ、考えるとは言ったけど具体的な案はあるの?」
「うーん、確かにそう言われると難しいよね」
「まあ、お父さん達もあんなパンを考えるのもすごいね」
「それは言わないであげようよ…」
自分の親の事なんだし。
「うーん…」
新しいパンの事を考えていると、いつの間にか時間は過ぎていき夜になり、店番が終了。
今日の売り上げ 0
考えられた新作 0
本気で心配になってきたよ。このパン屋。
2
その日の晩、僕の部屋で新作パン会議。
「うちのパン屋は普通のパンを置いても売れないから、何かインパクトのある新作がほしいよね」
「インパクトか…」
とは言っても話は一向に進まず、時間だけがただただ過ぎて行き、
「ねえ桜、もう十二時だけど大丈夫なの?」
「うーん…なんとか…」
日付けが変わったのでもう眠ることにしたんだけど…。
「桜起きて。自分の部屋で寝なきゃ」
「ぐー、ぐー」
桜が自分の部屋に行く前に僕の部屋で爆睡。
(困ったなぁ…)
無理やり起こすのも可哀想だし、このまま寝かしてあげるのはいいんだけど…。
(な、何で緊張しているんだろう僕…)
さっきから心臓の鼓動音がやたらと早い。き、緊張してるんだ僕…。
(こ、こんなの初めてだから…だよね)
自分の部屋で女子が寝ている。そんな事滅多にない大イベント。さて、どうするんだ僕…、どうすればいいんだ!
(うん、普通に寝よう)
布団を桜にかけ、自分の布団を敷く。桜を見る、歯を磨く、布団に入る、桜を見る
……って、何をやってるんだ僕!
(ど、ど、どうしたんだろう僕…)
前はなんにも気にならなかったのに…。この気持ちって…。
(ああもう。寝よう)
僕は動揺を隠せぬまま、眠りについた…。
               第21話 新しく芽生えた感情 へ続く

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