桜舞う丘の上で

りょう

第13話 代償

                         第13話 代償

1
この日の前日に彼女から語られた事、それは…。
「私ね小さい頃か内気な子だから、よくいじめられていたの」
いじめを受けていたという事実。そしてそれはもっと悲しい方面へと転がっていく。
「小学校の頃はまだ、悪ふざけ程度だと思っていたんだけれど、中学校に入ってからは更にエスカレートして…」
いじめは孤独との戦いでもあるから、誰にも頼れない。たった1人での戦い。それは最も辛いこと。だから彼女は…。
「何もかもが嫌になった。ここで生きる価値なんてないんだって、すぐに分かった。だから…」
中学3年生の秋、彼女は飛び降り自殺を計った。しかし、高さが足りなかったのか、死ぬことができなかった。その代償として彼女は歩くという自由を失った。
「時々思うの。どうしてあの時死ねなかったのかって。私なんか生きる意味ないのに・・。でもそれを親に話したら、酷く怒られた。そんな簡単に命を捨てるなって」
それは当たり前だ。簡単に命をおとすなんて、普通は考えられない。それでも彼女は、死を選ぼうとした。
「流石にあれだけ怒られたら、もう死ぬ気なんて起きなかった。その代わり、学校に行くのをやめたの。同じ気持ちになりたくなかったから…」
その話を聞いた僕は、彼女を放っておけなかった。だって、僕と同じ傷を抱えているから…。
2
「私と一緒って…。もしかして結心君もいじめを受けてたの?」
再び話は戻る。
「うん。自殺しようとは思わなかったけどね」
「そうなんだ…」
「僕には心の支えがあったから、自殺には至らなかったけど、多分それが無かったら…」
 そう、僕も加奈と同じようにいじめを受けていた。まあ、あの2人の存在が無かったら、僕はとっくに死んでいたに違いない。それほど存在が大きかったのだ…。だからあの時…。
「結心君? どうしたの?」
心配そうに加奈が話しかけてきた。
「ごめん。考え事してたらボーッとしちゃった」
ボーッとなってしまうのはいつもの癖。あの時の事を思い出す度にこんな状態になってしまう。悪い癖だ。
「結心君も私と一緒なんだ…」
一緒っと言うほどではないかもしれない。ただ、僕も彼女と同じように生きる代償に大切なものを失っている。幼馴染二人との大切な絆を…。
(凛々‥愛華‥)
                       第14話癒えていない傷 へ続く

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