桜舞う丘の上で

りょう

第6話 思わぬ提案

                         第6話 思わぬ提案

1
「困った、お金がもう無い…」
桜島へやって来て一ヶ月、アパートの一室を借りて生活していた僕は、早くもお金がなくなりました。
「まあ、当然だよね」
家出する際、アルバイトで貯めたお金を持って行ったんだけど、それ以外のお金は一切持ち合わせていないため(仕送りなんてあるはずが無い)、簡単にお金は底を尽きた。
「こっちでバイトをしても無理だよね…」
最初のうちは安い家賃の家を借りたから、半年は保つだろうと甘い考えをしていたけど、水道代とかを視野に入れると頑張っても二ヶ月保つか保たないかの、瀬戸際に立たされている。難しいんだな1人暮らし・・。
「どうしよう…」
金のアテがあるはずがない。さあ、困った・・。
2
「じゃあ私の家に来ていいよ。部屋なら余ってるし」
「え?」
翌日の部活、お金が無い事をみんなに相談すると、桜から思わぬ意見が出てきた。
「私の家パン屋だから、一人分の食費をまかなえられるから心配ないよ。勿論働いてもらうけどね」
「でも流石にそれは…」
いくら何でも人の家にお世話になるわけには…。
「お金ないんでしょ?金がなかったら生活できないじゃない」
「そうだけど…」
確かにこのままじゃあ生活ができない。だけど、本当に良いのだろうか?
「いちいち心配しなくていいの。困ってる人を助けたくなる性格だから私」
「桜…」
彼女がこんな自分の為にここまでしてくれるとは、思っていなかった。彼女がここまで優しい人間だなん…。
「まあ、こいつに性格はないけどな。」
「ちょっと和樹、何を言っているのよ。折角いい空気だったのに」
「だって事実じゃねえか。お前はよく人を見捨ててるぞ」
「そんな事あるわけないじゃない」
「その被害にあってるのが、俺だからか言ってるんだけどな」
うーん、今の会話かを聞くとさっきのが嘘に思えて来た。でも、わざわざそうしてくれるのは彼女の本当の優しさなのかもしれない。
「それでどうするの?」
「迷惑にならなければ、お世話になってもいい?」
「勿論よ」
「じゃあ、よろしくお願いします」
こうして僕は、本日から桜の家にお世話になる事に…。
「って、桜だけで勝手に決めちゃっていいの?」
「心配しないで。お父さんもお母さんも歓迎してくれると思うから。」
「本当かな…」
若干不安になりました。
それにしても、桜の両親ってどんな人なのかな。優しい人だといいけど。
                                    第7話 桜の両親 へ続く


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