桜舞う丘の上で

りょう

第3話 ブカツ

                       第3話 ブカツ

結局その日の食事は、和樹がおごる事になり、僕達は遠慮する事なく沢山注文した(高い店には行かずその食堂で済ませたけど)。
「まだまだ食べるよ!」
「おー」
「いやいや、それ以上はマジでやめてくれよ」
「断わる!」
「何で?!」
そもそもの目的は島案内だったのに、いつの間にか食堂での宴会みたいになっていた。当初の目的はどうなったんだって話だけど、とにかく楽しい時間を過ごせた。
その帰り道和樹とゆりと別れ、桜と帰っていると、彼女が突然ある事を尋ねてきた。
「それで結心君は入ってくるよね、友人部に」
「え、あ、それは…」
思わず言葉を詰まらせてしまう。楽しい時間を過ごしていたので、すっかり忘れていた。そもそも島案内してくれるのは僕が部活に入るという、勝手な前提から始まったものだった。ほんの数時間前までは全く入る気がなかったのに、今は少し違う。
桜島友人部
名前からしておかしな部活だから、朝勧誘された時は抵抗を感じていた。信用が出来なかった。でも…。
「結心君?」
彼女達は転入してきたばかりの僕を、すぐに受け入れてくれた。
「僕が…」
前の学校とは明らかに違う暖かさを感じた。たった半日の中で感じたんだ…。
「僕が、何?」
「こんな中途半端なタイミングて僕が入ってもいいのかな?」
だから…、信じてみようと思えた。絶対に僕を裏切らない人達であると…。
「そんなの当たり前じゃない。半日以上も一緒に過ごした友達を今更拒むわけないでしょ?」
「そうだよね…。もう僕達は友達だよね」
彼女の友達という言葉を聞いて、僕は一安心したかのようにそう言った。久し振りに聞いたな、友達って言葉・・。
「じゃあ入ってくれるのね?」
「うん」
僅か一日で入部を決めるのはあまりに早すぎるような気がするけど、もう迷わない。一度決めた事は貫き通して見せる。
「ようこそ友人部へ」
笑顔で僕に言う桜。それに対して僕も笑顔でこう返した。
「これからよろしくお願いします」
高校二年生の春、桜島友人部で僕は第二の人生を歩み始めた。
                               第4話「正式入部」へ続く
                          
                              おまけ
                     第3.5話名前の呼び方
「そういえば結心君って何か呼びずらいわ。これから一緒の部活の中で過ごすんだから、何か呼び方変えていい?」
「別に構わないけど、和樹とゆりは呼び捨てで呼んでるから、そのままでいいんじゃないかな。僕もみんなを下の名前で呼び捨てにするつもりだし」
「いいの。結心だから…。ゆーちゃんでいい?」
「え? ゆ、ゆーちゃん?」
今まで一度もそんな呼ばれ方した事がない(当たり前だよね?)。
「決定ね。よろしくね、ゆーちゃん」
「う、うん。よろしく、桜」
この日から僕は桜から『ゆーちゃん』と呼ばれるようになりました。
                                                          おしまい

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