東方魔人黙示録

怠惰のあるま

天邪鬼の血

映姫と一緒にさとり様が待っているはずの地底の入り口である博麗神社へと到着した。すると、ニコニコと笑顔で立っている彼女がいた。
なんというか裏がある笑み?

「な、なんでそんなに笑ってるんですか?」
「借り一つ......ですからね?それと映姫さんにパルスィから伝言ですよ」
「え?」
「地獄に行く前に会いたいから来て、だそうです」

もしかして、さっきのことパルスィに教えたんですか?さとり様も人が悪いな。
そう思うと、彼女は誤魔化すように微笑んだ。

「さあどうでしょうか?あと彼女はあなたがいなくて寂しがってましたね」
「うっ...!」

何も言わないで寺出て来たもんなぁ、パルスィに悪いと思ってる。
それにしてもあの子は本当にいい子だ、映姫の気持ちを知って優しく接するとか、本当に可愛い。かくゆう映姫も笑顔が隠し切れていない、相当嬉しいんだな。
なんというか、俺もほったらかしにしすぎたし、映姫ともっと会うようにしよ。

「私はこんなにも恵まれた友人に囲まれていたんですね......」
「俺も入ってるよな?」
「できればそれ以上が......いいです」
「......せめて恋人未満な」

映姫の言葉を濁すように答えると彼女の顔は少々不機嫌になった。絶交とか、知り合いの関係って言われるよりいいと思うよ。

【そんなだからみんなに怒られるのですよ?】

直接、心の中に話しかけてこないでください。あなたのせいで俺は嘘をつけないんですよ?わかってるんですか?

「嘘つく場面あります?」
「.........ないです」
「ならいいじゃないですか、そんなことよりも聞きたいことが一つあります」

そんなことよりって...俺のプライバシーより大切なことなんてあるんですか?

「はい、あなたの母親はどんな方だったのですか?」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「はい、一度も」

思い返せば、映姫達には話したことあるが幻想郷に住み着いてからは誰にも話したことがない。俺って聞かれたことしか答えないタイプだからなぁ、親父については色濃く皆さんの記憶に残っているし説明しなくても十分知られてる。おふくろに関しては一切触れてないもんな。

「なんというか......変な人?」

めんどくさいから適当に答えると映姫に指摘された。

「ちゃんと説明しないと後が面倒だと思いますよ」
「わ、わかってるよ...おふくろも半人だったんです。まあ、おふくろの場合半人半妖だったんですけどね」

それを聞いたさとり様は目を少し見開いた気がする。我に返った彼女は珍しく慌てていた。

「えっ?ちょ、ちょっと待ってください......アルマさんは半人半魔でしょう?」
「んーっと、半妖と言ってもほんの少しだけですよ?おふくろの祖母が半妖だっただけで、妖怪の血は徐々に薄まってますから」
「な、なるほど...その妖怪とは?」
「確か......天邪鬼?」

天邪鬼って妖怪で弱い種族と言われてたらしいけど、本当にそうだったのかな?俺的にはおふくろはそんな風に思えなかった。ま、人間の寿命は短いから親父が死ぬ前に亡くなっちゃったけどさ。

「なんというか、あなたも奇妙な人ですね」
「バカにしてるのですか?」
「いえ、そう言うわけではないですよ?」

そう言いながらもクスクスと笑う姿を見るとそうは思えない。映姫も笑ってるしさ、俺何か変なこと言いました?

「これから会う妖怪を知らないのですか?」
「そうですが?」
「その指名手配犯は天邪鬼ですよ」
「.........はぁぁ!?」



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