東方魔人黙示録

怠惰のあるま

《自称:普通の人間》

ここは幻想郷と呼ばれる小さいようで大きい結界の中に囲まれた世界だ。

ここで暮らすのは妖怪や神

歴史から忘れられたもの

いろいろな経緯で迷い込んだもの

ある大妖怪に呼び込まれるもの

元々ここで生きているもの

ほとんどが種族バラバラだ。
そんな幻想郷の端っこにある博麗神社へと続く長い階段を登っている少年がいた。
少年の名前は桐月アルマ、種族は自称人間。

「ここが博麗神社か。もっとボロい感じを期待したんだが..........」

無縁塚から歩くこと一時間。
やっとの思いで着いた博麗神社は想像よりも綺麗な状態で作りも立派だったもので少々驚きだ。
鳥居をくぐり神社の本殿に近づくと、何故かひときわ綺麗にされている賽銭箱が目に入った。
ここまで来たらお金を入れたほうが縁起もいいだろ。
ちょっと多めに入れ、ご利益を願いながら鈴を鳴らそうと縄をつかむと、本殿の奥から何かが走ってくる音がした。
何事かと中を覗くと......

「お賽銭が入る音がしたぁぁぁ!」

叫び声と同時に入口の襖が開かれ、巫女服を着た少女が現れた。
格好からして、この人が噂の幻想郷の妖怪退治屋兼貧乏巫女だな。
さすが貧乏と付くだけあって、俺が賽銭箱に入れたお金をなんのためらいもなく、抜き取った。

「やった!500円も入れてくれた!!」

もしかして、お金に夢中で俺に気づいていらっしゃらない?
声を掛けた方がいいのか?

「すいません」
「なに?」
「あんたが貧乏巫女さん?」
「貧乏巫女言うな!私は博麗霊夢よ!」

博麗霊夢と名乗る紅白の巫女服を着て、腰にはなんだろう?巫女や神主が持っていそうな棒を差し、脇が空いていた。
何故だ。
そんな霊夢は俺に警戒しているのか、お賽銭を固く手で握っていて返す気が一切ない。
まあ、返してもらわなくていいけど...
そんなに金銭問題が破滅的なのか?
巫女って大変なんだなぁ。

「それにしても、あなた初めて見るわね」
「自己紹介がまだだな。俺は桐月アルマ、人間だ」
「いや、みりゃわかるわよ」

あ、またやっちゃった。つい、人間ですって自己紹介の時に言っちゃうんだよな。

「失礼癖でな」
「変な癖ね。それで何の用?」

どうやら、霊夢と言う巫女は無愛想でぶっきらぼうな人間なようだ。
まあ、気にしたら負けってやつだ。気にせずに話を続けよう。
俺の目的を聞いてくれるかわからないけど。

「用って言うか、お願いかな?この神社に住ませてくれないかなーっと思いまして」
「は?」

突然の要件にいまいち理解できていない霊夢だが不思議そうに言った。

「なんでここに住みたいわけ?というか、住めると思ってるの?」
「ダメなのか?」
「ん〜..........」

少しの時間、唸り行ったり来たりしながら、眉間に指を当て考えながら歩いた。
そして、ひらめいたかのように手を叩き、言った。

「じゃあ、こうゆうのはどう?この神社で、私の手伝いやらなんやらをするって条件で、ここに住むってのは?」

なんだそれだけか。それだったら安いもんだ。
てっきり、高額の家賃を収めるハメになるのかと身構えていたから安心した。
流石にそこまで鬼ではないってことだな。

「いいぜ?」
「交渉成立ね。今日からよろしく桐月」
「アルマって呼んで欲しいんだけど」

さあ、神社生活の決まりの悪いスタートです。




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