東方魔人黙示録

怠惰のあるま

魔王降臨!



背筋が凍るという言葉がある。今日以上にその言葉を痛感することは決して無いと幽香は思った。なぜならアルマの禁じ手【死欲】が使われてしまったのだ。
【死欲】とは【私欲】と聞こえるが断じて違う。【私欲】は自分の望む物事を欲する、行うという感情だ。対して【死欲】は心の何処かで死というものを望んでいる生き物がいれば、その感情は昂り死を求める。異常な死への欲望により体の細胞が暴走し死滅し、塵となり消滅する。これこそ禁じ手【死欲】
しかし、【死欲】にも弱点がある。

「はーはっはっは!!死んじまえ!!」
「はぁぁ・・・・妬ましい・・・・」
「あ?」

死を求めなければいいのだ。

「パルスィ!遅いじゃない!」
「ごめんね。映姫が時間かかってて・・・」
「まだかかりそうね。でも、あなただけでも来てくれてよかったわ」
「そうみたいね。【死欲】は私には効かないもの」

そう。パルスィは能力のおかげで死への欲望が一切ないのだ。死すらも妬ましいというほどであった。

「お前は確か地底であった・・・・」
「水橋パルスィよ。アルマの体返してもらえないかしら?」
「嫌だ。それよりもなぜ【死欲】が効かない?」
「簡単なこと。私が嫉妬の塊だからよ」
「なぁるほど、嫉妬のおかげで死欲が効かないのか納得だ。だが、戦況は変わらないぜ?」

グースの手のひらには先ほど飛ばして来た弾幕よりも巨大な弾幕がチャージされている。この大きさだただでは済まない。しかし、パルスィは勝ち誇った顔をしていた。

「その顔もすぐに絶望に変えてやる!」
「残念だけど時間切れよ。あなたの負け」
「はっ!何言ってーーーーぐっはぁぁ!?」

突然の攻撃にグースはよろめき地に伏せた。ダメージは相当大きくなかなか立ち上がれないようで何度も膝をつく。自分にこんな仕打ちをする相手だけでも見ようと頭を上げたグースが見たものは驚愕のものであった。
その相手は二本のツノが生え、髪は長く肩まで伸び色は明るい銀色、黒いマントを羽織って軽装備であった。
その男は、満面の笑みで言った。

「よう!お前ら元気してた?」
「魔王!!」
「そうです魔王ですよ?豊聡」

自分の名前を呼ぶ魔王の姿を見て豊聡耳は涙が止まらなかった。死んだはずの魔王が昔と変わらないあの性格のまま目の前にいる。喜びで涙が止まらなかった。

「間に合ったようね。おじさん」
「おぉ!幽香ちゃーんそれにパルスィちゃーん!息子が世話になったようですまなかったな」
「なんで・・・なんでお前が生きている!?確かにあの時!」
「死んだよ?だがお前は俺を見くびりすぎだ。俺は魔王様だぜ?」
「まあ、一時的な復活だけれどね」
「そうゆうことだ。んじゃあ、始めるか。息子の身体を返してもらうぞ?」

魔王のおちゃらけな態度は一瞬にして冷たい怒りが篭った顔になった。グースは体が鉛のように重くなり動けないでいた。
グースはがんばって動こうとするが間に合わなかった。魔王のせいけんづきがグースに命中した。

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