東方魔人黙示録

怠惰のあるま

地底の箱入り姫

歩いていると、木の下で体育座りをしたいじけた心がいた。無表情でどんよりした空気を出してるとすっごいシュール。

声をかけて近づくと着けていたお面が悲しみから鬼の形相になった。あ、お怒りですね。

「どこいっていたんだ!これは怒りの表情」
「こいつの音楽に誘われた。故にこいつが犯人」
「人のせいにするな」

犯人にされた雷鼓に頭を叩かれつつ、無表情のお怒り少女を宥める。

パルスィと同じように頭を撫でると気持ち良さそうに目を細めた。犬か。あと、何故か殺気は来なかった。

気まぐれなお姫様だ。そんなところも可愛いけどさ。ああ、なんだろうパルスィが恋しくなって来た。帰ろうかな。しかし、仮面を見つけないといけないし、どうしようか。あ、あいつがいるじゃあないか。

「ちょっと待ってろ」
「どうして?はっ!まさか逃げるのか!」
「違う。物探しのプロを連れてくるんだよ」

どうせ地底でだらけているだろう。これで、パルスィに会える口実が生まれたぜ!さあ、地底に向かおう。

地底へと続く間欠泉に入り、地底に着くや否や、キスメに襲われたので感情消滅。この子って関わるとめんどうだからさ。眠らせるのが一番。

その先に進むとヤマメがいた。声を掛けると顔が真っ赤になった。病気ですか?

「久しぶりだなヤマメ」
「ひ、ひさしぶり!」
「・・・・・・熱でもあんのか?」

おでこを触って熱を測ると火傷するほど熱くなっていた。これはやばいだろ。ヤマメに寝ているように言うと、虚ろな目になっていたが頷いているから大丈夫だ。心配だから後でもう一回来よう。

旧都に向かう橋に着くとパルスィが足をぶらぶらさせながら橋の上に座っていた。近づくと俺に気づき弾幕を放って来た。ちょっと怒っているようです。

「・・・・・浮気者」
「はい?」
「バカアルマって言ったの!アホ!」
「あって早々ひどくね!?」
「うるさい!!何も言わずに地上に行ったから寂しかったの!!」

口を滑らせた感じの「・・・・あ」と言う言葉を漏らしたパルスィの顔は徐々に赤くなり、耳まで赤くなった。ブツブツと何かを言いながら悶えていた。

何故こうもパルスィは俺を困らせるんだ。可愛くて仕方ない。悶えているパルスィの頭を撫でると、「うー・・・・」と唸りながら震えていた。かわいい。

そんな幸せな時間を壊すものが出現した。そうナズーリンだ。

「何してるんだい?」
「あ、ナズ。ちょうどいいところに、お前に探して欲しいものがあるんだ」
「どんなものだい?」
「確か・・・・希望の面?」

ナズは希望の面と聞くとあれ?と言った顔をした。どうやら、希望の面を知っているようだ。わけを聞くと、俺が地底にこもっている時に色々とあったらしい。

信仰戦争だかなんかが起こり、その原因が希望の面を無くした心だったそうだ。その後に神子に作ってもらったらしい。ナズは微妙な顔をしていたが希望の面、どんな顔して作られてるんだ?なんか神子の美的センスが皆無な感じの雰囲気だ。

「それで探せばいいんだね?」
「ああ、頼む。俺はパルスィといるから」
「君も来るんだよ!」
「えええぇぇ!!」

俺の叫びを無視しナズはパルスィの方を向いた。

「パルスィも来てくれないかい?」
「いいけどなんで?」
「このバカの抑止力。それと君と話していてわかったが、君はもっと地上を知るべきだ」

ナズとパルスィが仲良くなっていた。ちょっと嬉しい。パルスィに新しい友達ができてるよ。正直心配だったんだ。うん。

しかも、パルスィのことをここまで心配してくれるなんて、なんていい子なんだ。頭を撫でよう。

「な、なにするのさ!」
「ん?お礼?」
「どこがだい!」
「パルスィも怒ってないからそうだろ?」
「そういえば・・・」

パルスィを見ると色々と考え込んでいた。あまり地上に来たところを見たことないな。行こうとした姿も見てないし、行く気が無いのか?

疑問に思っているとパルスィが俺の手を握り、引っ張るように言った。

「ほら行こう?」

なんだ。行く気がないわけではなく、行く勇気がなかったのか。今回の件片付けたら、地上を案内してやろうか。



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