東方魔人黙示録

怠惰のあるま

ドジな橋姫

パルスィと手をつないだまま地上への道を進んでいるが、嬉しさと恥ずかしさのダブルアタックがキツすぎる。

いや、嬉しいんだけどさ。こうも積極的になられると自分でもタジタジです。いつものパルスィならやらないことなのに、今日はどうしたのだろうか?

「なあパルスィ、なんかあった?」
「なにもないけど」
「じゃあ、なんで今日はこんなに積極的なの?」
「・・・・・・うるさい」

恥ずかしそうに顔を赤らめるなら手を繋がなければいいのに、本当この娘は可愛い。そんな顔を覗き込もうとしたら、ジトッとした目で見られた。

「痛い強く握り過ぎ」
「あ・・・・・悪い」

手を離そうと緩めると逆に強く握られてしまった。

「別に離してとは言ってない」
「わかりました。優しくエスコートさせていただきます」

パルスィの手を優しく引っ張り、どっかの貴族の男がやるようにエスコートをした。

そんな光景をナズが面白そうに見ていた。なんと言うかいつもさとり様が俺たちを見る時の目に似ている。

「地霊殿の主の気持ちがわかった気がするよ」
「どうゆうこと?」
「内緒さ」
「ふーん・・・・・まあいいけどさ」

ナズの言った言葉が気になるがそれよりもパルスィが急かすように手を引っ張ってくる。

「パルスィ手を引っ張るな痛い」
「動くの遅い」
「はしゃぐな怪我するぞ」
「しない。アルマと一緒にしなーーーー」

バタッと何かにつまずき転んでしまった。ほら、言わん凝っちゃない。昔からはしゃぐと変な怪我するんだよなぁ。子供だね。

起き上がったパルスィの顔は赤面と泣き目と言う可愛すぎる状態であった。やばい拗ねてる可愛い。

「まったく膝擦りむいてないか?」
「・・・・大丈夫だもん」
「ほら、立てるか?」
「ありがと・・・・イタッ!」

立ち上がろうとしたが足を痛めたようで、また倒れてしまった。

「軽く捻ったようだね」
「はぁ・・・・そこにある石が妬ましい」
「石を妬むな。俺がおぶってやるから背中に乗れ」
「うん・・・・」

申し訳なさそうに俺の背中に乗るパルスィ。今日は素直なようだ。ナズさんは微笑ましそうに見つめてくる。さとり様二号って呼ぼうかな。

おんぶをすると結構疲れるから休憩を挟みながら歩いた。別にパルスィが重いわけでは無い。ただパルスィを背負うというだけで心臓が破裂しそうなんです。

だって服を挟んでいるとはいえ体温をじかに感じてるんだよ?もうご褒美・・・いやいやとても辛いのだ。わかってくれるよな?

『ごちゃごちゃうるさい』とさとり様からお叱りの言葉ーーさとり様は地上にいても心に言葉を飛ばしてくるよーーが届いたので自重しよう。

気がつけば目的の場所に到着。心、そして雷鼓共に待ちぼうけしていた。半日は待たせたからね。地上と地底の往復でどれだけかかると思っている?そんぐらいはかかるぜ。

「連れて来たぞ専門家」
「誰かと思えばこの前の犯人じゃないか」
「あの時は迷惑をかけたね。これは憂いの表情」

なんだ面識あったんだ。これは手間が省ける。ナズに事情を話すと不思議そうな表情になった。

「希望の面なら神子に作ってもらったじゃ無いか」
「それすら失くしたらしい」
「はぁ・・・・失くしたというより捨てたんじゃないのかい?」
「い、一応もってたんだぞ!」

神子が作った仮面とは一体どんな壊滅的な作品なんだろうか。見たら呪われたりしないよな?なんか見つけるのが怖くなって来た。

「まあ、とりあえず探すとしよう」

ナズが愛用のダウジングロッドを取り出し探し始めた。あれで見つかるんだから凄いよなぁ。心も興味津々に見てる。そういえば雷鼓とパルスィは?

後ろを見ると木陰でお話ししていた。意外な光景だこと自分から話すなんてごく稀なことだ。幽香に似ているから親しみやすいのかな?見た目だけだけど。

どんどん進んでいくナズに着いて行くと命蓮寺が見えてきた。すると・・・。

「あ、見つけた」
「ほんとか!どれど・・・れ・・・・ーーーーーーーーなんじゃこりゃ!!」

ナズが見つけたものは神子の顔を元に作られたかのような神子の金ピカの仮面だった。思わず叫んでしまった。いや、インパクトが強すぎるわ!!これじゃあ心が付けたく無い気持ちもわかる。

「割っていいか・・・・?」
「だ、だめ!我々もそうしたいがこれでも希望の面なんだ!」
「そういうのならやめるが・・・・」

無性に腹が立つのは俺だけか?


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