女神と契約した俺と悪魔と契約した七人の女の子
女神様が降臨されたようです
聖光高校――歴史があり、県内有数の私立進学校の一つ。
それが今俺が通っている高校だ。
魔法も無ければ、剣もない。
そんな至って普通の学校。
だけどそんな他の高校と一見何も変わらない様に見えるこの学校には一つだけ変な銅像がある。
その名も『契約の女神』。
それは今にも動き出してきそうな程に凄い出来で生きているように見える。さらに彼女の容貌があまりにも美しいので誰もが一度見たら見惚れてしまうほどだ。
ちなみに『今』という単語を使っている訳だが、それは俺がつい最近この聖光高校に転校してきたばっかりだからである。
***
転校してから一週間ぐらいは俺に喋りかけてくれる人が多かったが、今ではそんな事は無くなってしまったそんな昼下がりのある日、ぼっち飯ライフを堪能しようと思い、我が教室に戻ると俺の椅子は無くなっていた。
無くなっていたという訳ではなく、俺の椅子が取られていたのだ。
一番後ろの窓側席という高ポジション。その場所から眺める景色は良い。授業中に何度か外を見つめ、注意されることもあるものだ。
それにしても俺は迂闊だった。
リア充軍団が席を取るという事は分かっていたつもりだったのに。それなのにすっかり忘れていた俺は呑気に購買部へパンを買いに行ったのが馬鹿だった。
というか、飯ぐらい自分の席で食えよ。
それに幾ら空いてるからって人の座席は使うなよ。
ぼっちの気持ちを考えろ、このクソ野郎とリア充に恨みを込めつつ、自分の行動に反省し、飯を食える場所を求める。
しかしそんな都合良く食える場所は無い。やはりぼっちには過ごしにくい世界だ。溜息を吐きながらトイレへと目指す。
中に入ると異臭が漂っていて、さすがにここでは食べ物を食べる気にはならないので他の場所を思い浮かべる。
「屋上にでも行ってみるか……」
アニメとかゲームとかのように屋上が一般的に開いていると過度な期待を持ち、ドアノブに手を掛けると意外にも開いてしまった。
さらに運が良いことに誰かが設置したと思われるベンチに座った。
どうせリア充達の戯れに使っているのであろう。
要するにここに座れば、俺もリア充じゃね?
という謎理論を展開し、『リア充、乙!』と心の底から叫びながらパンを齧る。
このパンはちなみにクリームパンである。別にクリームパンが特別好きっていうわけでは無いが、手頃な値段かつ美味しいという事で他生徒にも人気がある。
要するに俺は流行に乗っているというわけだ。
その時だった。
強い日差しが俺を襲い、さらに強い風が吹いた。あまりの日差しと強い風によって運動場から吹き飛んできた砂埃が俺の目に入ってきたので、目を瞑る。十秒ぐらいその光が続いただろうか。
俺を襲った風と強い日差しは嘘の様に無くなり、目を開けると――目の前に一人の銀髪黒眼美少女が舞い降りた。
クリームパンを齧りながら。
「あ、あなたは?」
あまりの美しさと彼女から放たれる神々しい光はまるで希望の光だ。
「我が名は『契約の女神』」
美少女は腕を組み、比較的小さな胸を頑張って強調している。
勿論、クリームパンを齧りながら。
「あの……クリームパン食い終わってからで良いですよ?」
俺がそう言うと、幸せそうな顔でクリームパンを美少女が食い始めた。
ってあれ?
俺のクリームパン無いんですけど。
「我が名は契約の女神!」
彼女が改めて、俺に威厳を示した。
だが、クリームが口に付いているので全く威厳は無い。
「あの、口にクリーム付いてますよ?」
彼女は慌てて、口を拭き始めた。
こほんこほん。彼女が咳払いをする。
そして悔い改め、同じフレーズを言う。
「我が名は契約の女神!」
「契約の女神。あぁ、あの銅像か。
ってあれ? 似てね?」
一瞬、彼女の言った言葉の意味がわからなくなり、戸惑った。三回も言ったはずなのにね。
「それはそのはずです。私をモデルにあの銅像はできていますから」少し誇らしげに言う彼女の姿は女神と言うよりも小さな子供が大人に褒められた後の威張り方に似ていた。
「それで貴方はなぜ、ここに?」
要するに大体の事はわかった。
こいつは頭がクルクルパーな電波女かそれとも度がいきすぎた厨二病のようだ。
と自分で納得しつつも人と話すのは嬉しいし、それに美少女であるので会話をしたいという自分の欲望があったので話に乗ってみることにした。
「それは貴方と契約をしたいのです」
あぁ、なるほどな。俺は理解できた。
自分を銅像と同じ存在だと自覚してしまったパターンの頭が残念な奴だ。
俺にもこんな過去があったな。
哀れみの意味も込めて、過去の自分を慰めるように俺は彼女の話に返答する。
「契約とは?」
「それはですね」こちらをニコッと笑う自称女神様は脱オタした俺を三次元という現実に引っ張る程の威力と俺の心を撃ち抜く程の破壊力を持っていた。
っていうか、話合わせただけでこんなにニコッとされるとか可愛過ぎだろ。
「私の能力を貴方に差し上げます」
新手の詐欺ですかね?
能力を差し上げるとか言って、タダとは言ってはませんよねとかそういうパターン?
まじやめて。そんなに俺の家は金持ちじゃないからぁー。身体売れとか言わないでぇー。
「あのそれって危なくないのか?」
「危なくは無いですよ」
「ならば、私と契約をする? という事でよろしくのでしょうか?」満面の笑みでこちらを見られ、「はい」としか言えない俺は彼女の承諾に頷いてしまった。
「ならば、契約しますね。汝の契約に従い、今契約を承諾する。はい、完了です」
全く身体に異常はなし。
やはりこいつはオオカミ少女だ。
まぁ、そうだよね。契約とか女神とかなんだよ、馬鹿馬鹿しい。少しだけ本当に女神とか居たらいいなぁ〜とか思った俺が馬鹿でした。
「身体に特に変化が無いなぁ〜とか思ってませんか?」
ズバリ的中!
もしかして、俺の心の声が聞こえちゃってるのか……なんてね。そういうことは無いよね、うんうん。
「全くその通りです」
えっ?
いやいや、ナイナイアンサー。そういうのはナイナイ。有り得ないよね。
「ですよね、特に身体には影響はありませんよ。ですが、この能力は危険ですので悪用は禁止ですよ」そんな事を言いながらも女神は笑っていた。
いやこれはニヤニヤなのか。
どちらでも良い。こいつは少し怪しそうだ。どうせ、俺が驚いた表情をしたから馬鹿にしてるのだろう。
どうせ、こいつは俺の表情を確認して適当に言葉を掛けただけだろうな。
ってことで、こいつの黒歴史を少しでも聞いて後々後悔させてやるか。
というか、白いフリフリの服装とか準備してぷぷぷって感じなんですけどぉー。
「あの……それで能力って何なんですかね?」
いでよ、黒龍。
あ、間違った。いでよ、黒歴史。
今ここに召喚せよ。
「あぁ、それはですね。私と契約した事による報酬。すなわち、代償と対価と言ってもいいでしょう」
代償と対価だってよ。どこぞの少年漫画かよ。
「代償と対価??」
もう少しこいつの話を聞いてやるとしよう。というか久しぶりの家族以外の会話。
悪くない悪くない。というかめちゃくちゃ喋りたい。
「はい、その通りです。私は貴方にある一つの条件をつけた。しかし、貴方は私から対価を貰ったモノ――すなわち、対価が能力というわけです」
「はぁ……そうですか」
こいつ絶対に能力系漫画読んでるだろ。
「まぁ、いいです。貴方に上げた能力、それは絶対契約。この能力は約束を守ることができる凄い能力なんですよ!」
自称、女神が興奮して俺の能力について、説明しているようだが俺は別にどうでもよかった。
「他に私に聞きたいことはありますか?」
「お前は本当に女神なのか……?」
一応聞いておこう。
「だから、さっきからそう言ってるじゃありませんか。ご冗談が上手いんですね」彼女が微笑しながら言った。
本当にこいつは馬鹿だな。
そんな女神とか居るわけないのに。
だけど心の中ではいて欲しいという気持ちもあるが、絶対に無いというのがお約束で。
「では、これで私は……また貴方に会えるのを楽しみにしてます」
はいはい、じゃあな。厨二病患者。
この出来事を思い出して、一生を後悔しろ。
それにしても美少女と喋れて良かった。
っておい!
こいつ、ドアはそっちじゃ無いぞ。
ボケてんのか。
彼女が空の中に吸い込まれていった。
ゆっくりとゆっくりと。
えっ? どういうこと?
どういうことですか?
自分のほっぺたをつねる。
痛かった。
「あいつは……本物だったようだ……」
俺の思考力は回復し、自分の身近に起きた怪奇現象というべきなのか不思議な現象に興奮に近いような何か熱いモノを感じながら空を見上げた。
それが今俺が通っている高校だ。
魔法も無ければ、剣もない。
そんな至って普通の学校。
だけどそんな他の高校と一見何も変わらない様に見えるこの学校には一つだけ変な銅像がある。
その名も『契約の女神』。
それは今にも動き出してきそうな程に凄い出来で生きているように見える。さらに彼女の容貌があまりにも美しいので誰もが一度見たら見惚れてしまうほどだ。
ちなみに『今』という単語を使っている訳だが、それは俺がつい最近この聖光高校に転校してきたばっかりだからである。
***
転校してから一週間ぐらいは俺に喋りかけてくれる人が多かったが、今ではそんな事は無くなってしまったそんな昼下がりのある日、ぼっち飯ライフを堪能しようと思い、我が教室に戻ると俺の椅子は無くなっていた。
無くなっていたという訳ではなく、俺の椅子が取られていたのだ。
一番後ろの窓側席という高ポジション。その場所から眺める景色は良い。授業中に何度か外を見つめ、注意されることもあるものだ。
それにしても俺は迂闊だった。
リア充軍団が席を取るという事は分かっていたつもりだったのに。それなのにすっかり忘れていた俺は呑気に購買部へパンを買いに行ったのが馬鹿だった。
というか、飯ぐらい自分の席で食えよ。
それに幾ら空いてるからって人の座席は使うなよ。
ぼっちの気持ちを考えろ、このクソ野郎とリア充に恨みを込めつつ、自分の行動に反省し、飯を食える場所を求める。
しかしそんな都合良く食える場所は無い。やはりぼっちには過ごしにくい世界だ。溜息を吐きながらトイレへと目指す。
中に入ると異臭が漂っていて、さすがにここでは食べ物を食べる気にはならないので他の場所を思い浮かべる。
「屋上にでも行ってみるか……」
アニメとかゲームとかのように屋上が一般的に開いていると過度な期待を持ち、ドアノブに手を掛けると意外にも開いてしまった。
さらに運が良いことに誰かが設置したと思われるベンチに座った。
どうせリア充達の戯れに使っているのであろう。
要するにここに座れば、俺もリア充じゃね?
という謎理論を展開し、『リア充、乙!』と心の底から叫びながらパンを齧る。
このパンはちなみにクリームパンである。別にクリームパンが特別好きっていうわけでは無いが、手頃な値段かつ美味しいという事で他生徒にも人気がある。
要するに俺は流行に乗っているというわけだ。
その時だった。
強い日差しが俺を襲い、さらに強い風が吹いた。あまりの日差しと強い風によって運動場から吹き飛んできた砂埃が俺の目に入ってきたので、目を瞑る。十秒ぐらいその光が続いただろうか。
俺を襲った風と強い日差しは嘘の様に無くなり、目を開けると――目の前に一人の銀髪黒眼美少女が舞い降りた。
クリームパンを齧りながら。
「あ、あなたは?」
あまりの美しさと彼女から放たれる神々しい光はまるで希望の光だ。
「我が名は『契約の女神』」
美少女は腕を組み、比較的小さな胸を頑張って強調している。
勿論、クリームパンを齧りながら。
「あの……クリームパン食い終わってからで良いですよ?」
俺がそう言うと、幸せそうな顔でクリームパンを美少女が食い始めた。
ってあれ?
俺のクリームパン無いんですけど。
「我が名は契約の女神!」
彼女が改めて、俺に威厳を示した。
だが、クリームが口に付いているので全く威厳は無い。
「あの、口にクリーム付いてますよ?」
彼女は慌てて、口を拭き始めた。
こほんこほん。彼女が咳払いをする。
そして悔い改め、同じフレーズを言う。
「我が名は契約の女神!」
「契約の女神。あぁ、あの銅像か。
ってあれ? 似てね?」
一瞬、彼女の言った言葉の意味がわからなくなり、戸惑った。三回も言ったはずなのにね。
「それはそのはずです。私をモデルにあの銅像はできていますから」少し誇らしげに言う彼女の姿は女神と言うよりも小さな子供が大人に褒められた後の威張り方に似ていた。
「それで貴方はなぜ、ここに?」
要するに大体の事はわかった。
こいつは頭がクルクルパーな電波女かそれとも度がいきすぎた厨二病のようだ。
と自分で納得しつつも人と話すのは嬉しいし、それに美少女であるので会話をしたいという自分の欲望があったので話に乗ってみることにした。
「それは貴方と契約をしたいのです」
あぁ、なるほどな。俺は理解できた。
自分を銅像と同じ存在だと自覚してしまったパターンの頭が残念な奴だ。
俺にもこんな過去があったな。
哀れみの意味も込めて、過去の自分を慰めるように俺は彼女の話に返答する。
「契約とは?」
「それはですね」こちらをニコッと笑う自称女神様は脱オタした俺を三次元という現実に引っ張る程の威力と俺の心を撃ち抜く程の破壊力を持っていた。
っていうか、話合わせただけでこんなにニコッとされるとか可愛過ぎだろ。
「私の能力を貴方に差し上げます」
新手の詐欺ですかね?
能力を差し上げるとか言って、タダとは言ってはませんよねとかそういうパターン?
まじやめて。そんなに俺の家は金持ちじゃないからぁー。身体売れとか言わないでぇー。
「あのそれって危なくないのか?」
「危なくは無いですよ」
「ならば、私と契約をする? という事でよろしくのでしょうか?」満面の笑みでこちらを見られ、「はい」としか言えない俺は彼女の承諾に頷いてしまった。
「ならば、契約しますね。汝の契約に従い、今契約を承諾する。はい、完了です」
全く身体に異常はなし。
やはりこいつはオオカミ少女だ。
まぁ、そうだよね。契約とか女神とかなんだよ、馬鹿馬鹿しい。少しだけ本当に女神とか居たらいいなぁ〜とか思った俺が馬鹿でした。
「身体に特に変化が無いなぁ〜とか思ってませんか?」
ズバリ的中!
もしかして、俺の心の声が聞こえちゃってるのか……なんてね。そういうことは無いよね、うんうん。
「全くその通りです」
えっ?
いやいや、ナイナイアンサー。そういうのはナイナイ。有り得ないよね。
「ですよね、特に身体には影響はありませんよ。ですが、この能力は危険ですので悪用は禁止ですよ」そんな事を言いながらも女神は笑っていた。
いやこれはニヤニヤなのか。
どちらでも良い。こいつは少し怪しそうだ。どうせ、俺が驚いた表情をしたから馬鹿にしてるのだろう。
どうせ、こいつは俺の表情を確認して適当に言葉を掛けただけだろうな。
ってことで、こいつの黒歴史を少しでも聞いて後々後悔させてやるか。
というか、白いフリフリの服装とか準備してぷぷぷって感じなんですけどぉー。
「あの……それで能力って何なんですかね?」
いでよ、黒龍。
あ、間違った。いでよ、黒歴史。
今ここに召喚せよ。
「あぁ、それはですね。私と契約した事による報酬。すなわち、代償と対価と言ってもいいでしょう」
代償と対価だってよ。どこぞの少年漫画かよ。
「代償と対価??」
もう少しこいつの話を聞いてやるとしよう。というか久しぶりの家族以外の会話。
悪くない悪くない。というかめちゃくちゃ喋りたい。
「はい、その通りです。私は貴方にある一つの条件をつけた。しかし、貴方は私から対価を貰ったモノ――すなわち、対価が能力というわけです」
「はぁ……そうですか」
こいつ絶対に能力系漫画読んでるだろ。
「まぁ、いいです。貴方に上げた能力、それは絶対契約。この能力は約束を守ることができる凄い能力なんですよ!」
自称、女神が興奮して俺の能力について、説明しているようだが俺は別にどうでもよかった。
「他に私に聞きたいことはありますか?」
「お前は本当に女神なのか……?」
一応聞いておこう。
「だから、さっきからそう言ってるじゃありませんか。ご冗談が上手いんですね」彼女が微笑しながら言った。
本当にこいつは馬鹿だな。
そんな女神とか居るわけないのに。
だけど心の中ではいて欲しいという気持ちもあるが、絶対に無いというのがお約束で。
「では、これで私は……また貴方に会えるのを楽しみにしてます」
はいはい、じゃあな。厨二病患者。
この出来事を思い出して、一生を後悔しろ。
それにしても美少女と喋れて良かった。
っておい!
こいつ、ドアはそっちじゃ無いぞ。
ボケてんのか。
彼女が空の中に吸い込まれていった。
ゆっくりとゆっくりと。
えっ? どういうこと?
どういうことですか?
自分のほっぺたをつねる。
痛かった。
「あいつは……本物だったようだ……」
俺の思考力は回復し、自分の身近に起きた怪奇現象というべきなのか不思議な現象に興奮に近いような何か熱いモノを感じながら空を見上げた。
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