ILIAD ~幻影の彼方~
067 ノックスの策
「――招雷爆撃陣!!」
凄まじい轟音と共に、何体もの守護機械獣が吹き飛び、破損し、動かなくなった。
「これで全部倒したな」
海に近い平原。そこでザインとハドム、それと数人の自由騎士団員が守護機械獣の群れに囲まれていたが、たった今それらを倒したところだった。
「ザイン様、お怪我は?」
「ああ、大丈夫だ」
事務的に訊いてきたハドムにザインは答えた。そして皆を見回す。
「さあ、我々も蒼霊砲へと急ぐぞ。セトル君たちはもう突入したらしいからな」
ザインはまだ遠くに見える白き塔を見た。夜が明けかけているため、だいぶはっきりと見える。すると、その前に巨大な影がうごめいた。
「何だ、あれは?」
ザインは目を凝らしてじっとその影を見詰めた。そして、それが巨大な守護機械獣だということを理解した時には、それはもう目と鼻の先まで迫っていた。
誰かが来る。あれに追われているようだ。頻繁に銃を撃ち、あれを誘導しているようにも見える。
「やあ、こんなところで奇遇だね」
「ノックス殿!?」
驚いてその名を口にしたのはハドムだった。ザインも表情は変えていないが、驚いている。彼はウェスターたちと一緒だったはずなのに、なぜこんなところに。そしてなぜあの巨大な守護機械獣に追われているのか。二人は不安になった。他の隊員たちはあれに対して別の不安と恐怖を抱いていた。
「あれは一体……いや、それよりもウェスターたちは?」
「それには心配及ばないよ、ザイン隊長」ノックスはこんな状況にも関わらずニコニコした笑顔を見せる。「ウェスター君としぐれ君は独立遊撃隊第十二小隊と合流して今は蒼霊砲の中さ。因みにあれは『巨像』っていう守護機械獣だよ」
それを聞くと、ザインたちはホッとした。だが、安心している場合ではない。あれ――巨像は地響きを上げ、着々とこちらに近づいてきているのだ。
「ところで、ちょっと手伝って欲しいことがあるんだけど」
唐突にノックスが言う。
「あれのことか? どうするんだ?」
「海に突き落とす」
「な!? 一体どうやって?」
「自分から落ちてもらうんだ。なあに、ボクにかかれば簡単さ」
ザインとハドムは互いに顔を見合した――。
凄まじい轟音と共に、何体もの守護機械獣が吹き飛び、破損し、動かなくなった。
「これで全部倒したな」
海に近い平原。そこでザインとハドム、それと数人の自由騎士団員が守護機械獣の群れに囲まれていたが、たった今それらを倒したところだった。
「ザイン様、お怪我は?」
「ああ、大丈夫だ」
事務的に訊いてきたハドムにザインは答えた。そして皆を見回す。
「さあ、我々も蒼霊砲へと急ぐぞ。セトル君たちはもう突入したらしいからな」
ザインはまだ遠くに見える白き塔を見た。夜が明けかけているため、だいぶはっきりと見える。すると、その前に巨大な影がうごめいた。
「何だ、あれは?」
ザインは目を凝らしてじっとその影を見詰めた。そして、それが巨大な守護機械獣だということを理解した時には、それはもう目と鼻の先まで迫っていた。
誰かが来る。あれに追われているようだ。頻繁に銃を撃ち、あれを誘導しているようにも見える。
「やあ、こんなところで奇遇だね」
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驚いてその名を口にしたのはハドムだった。ザインも表情は変えていないが、驚いている。彼はウェスターたちと一緒だったはずなのに、なぜこんなところに。そしてなぜあの巨大な守護機械獣に追われているのか。二人は不安になった。他の隊員たちはあれに対して別の不安と恐怖を抱いていた。
「あれは一体……いや、それよりもウェスターたちは?」
「それには心配及ばないよ、ザイン隊長」ノックスはこんな状況にも関わらずニコニコした笑顔を見せる。「ウェスター君としぐれ君は独立遊撃隊第十二小隊と合流して今は蒼霊砲の中さ。因みにあれは『巨像』っていう守護機械獣だよ」
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ザインとハドムは互いに顔を見合した――。
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