俺の同級生は魔王

巫夏希

2-[4] 魔王、徘徊。

 お茶汲みしていた少女は吉永光星よしながきらりというらしい。本人には言ってないがなかなかの名前だ。一応濁してはおく。


 ウキウキ気分の真琴を筆頭に、俺と吉永さんは街を徘徊していた。いや、そのまんまのことだ。


「あれ……。なんじゃありゃ」


 真琴がふいに立ち止まると、


 そこにはかわいい白と黒の猫のようなやつ――俗に言うパンダがいた。


「よし、こいつ飼う!!」


 ……今、こいつはなんて言った?

***

「この猫はグランドロビスと名付けるわ!!」


 なんじゃそりゃ。そもそもそれパンダだし、猫じゃねーよ。しかもグランドロビスとか一体全体どういうことなんだ、とかそんなことを突っ込みたくてうずうずしていたが。


「あのー? さすがにそれは可哀想だと思うんですが……」


 吉永さんグッジョブ。非常にいいことを言った。あとできればそれは猫じゃなくてぱんだであることも言って欲しいのだが。


「パンちゃんでいいんじゃないですか」


 彼女は非常にいい笑い顔で言った。まるで南国に輝く太陽のようだ。さすがあの自称魔王とは違う。根底から違う。大事なことだからな、二回言っておいたほうがいい。


 さて、肝心の自称魔王はというと。


「……それはどうかと思うよ?」


「お前に言われたくない」


 しまった。おもわず口に出してしまった。


 口に手を当てるがもう遅い。



 その後、俺が真琴に猫のようにひっかきを喰らってしまったのは言うまでもない。


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