俺の同級生は魔王

巫夏希

1-[4] 魔王、紹介。

「なんじゃそりゃ。それってただの厨二病じゃん」


 大田は笑いながら答える。


 ずっと今までその友人、大田にはなしていた。


「いや、これってすべて真実なんだよ」「うそつけ。そんなわけあるか」


 大田に一蹴されてしまった。


「……ところで、今何時だ?」


「やべっ!! もう8時半じゃねえか! 急いで走るぞっ!」


 俺らがいざ走ろうとしたのもむなしく、その坂の上でチャイムが鳴り響いた。




 およそ十五分遅れで学校に到着し、二人そろってお説教をくらった俺と大田は放課後トイレ掃除の刑を言い渡された。


「ちっ。なんで俺がこんな目にあわなきゃいけないんだ……」


「まあ。仕方ないじゃないか。トイレ掃除なんかすぐ終わっちまうよ」


「なにやってる」


 俺と大田の会話を切り離したのは、それだった。


 今まではなしていた自称・魔王。


「なにしてるの。つーさん」


「あだ名で呼ぶなよ! そのあだ名を呼んでいいのは親と数少ない親友だけだー!」


「え? そんなかに俺は入ってる?」


 はいはい入っておりますよ、と適当に返事をしておく。


「んで、つーさん。こいつが例の……」


 大田が言葉を濁し、俺の方に目を向ける。


「あぁ。自称魔王だよ」「自称ではない。他称でもある」


 いったいどこの誰がこの見た目百%日本人のこいつを「魔王」と呼ぶんだ? とか思っていたのだが。


「あんた、この前証拠見せろって言ってたわよね」


「ああ」


「その証拠、見せてあげるわ」


「は?」


 刹那、彼女のまわりに風が吹いた。

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