僕のとなりは!?(僕とな!?)

峠のシェルパ

抵抗と反攻

 熱いのは嫌いだ。

有言実行をするよりも無言実行の方が格好よくないか?
そう思っている自分がいる。

だから目の前に明らかに倒さなきゃいけないような壁が現れたときにはなにも言わずに倒す算段を立てる
静かにだが、確実に…。

 「にしたって確実に不利なのは目に見えているのだけれど…」

相手にしている奴との力量というか場数が違うなとそれ位は読めたけれどそこから先の打開策は五里霧中にある。

「ふぃ~、頭に血が上っているのかと思ったら案外に冷静なんかい、少し残念に思うよ何て言うのかな~無感動?」

僕が目下喧嘩紛いのことをしている相手もいまいち思考回路が読み取れないしなんとも不意を突きづらい。

ターン制の殴りあいなんてそんなのあるかと思っていたけれど長期思考に入っても相手方が手出しできないってのは確かにやり易いかも…?

「残念って言われても、冷静なのが僕の良いところだよ。」

僕の性格を無感動と一言で済まされるのは嫌だけど的外れな指摘ではないのが少し悔しい、正確に性格を言うのであれば無抵抗・無服従とか何処かの偉人みたいな事をいってみる。

喜怒哀楽が表に出ないわけでも無いし、本来の僕は幾分か大人しいと言うわけでもない…

「僕は別に大人しくなんか無いよ、と言うか僕らはまだ大人に達する年齢ですら無いじゃないか。
大人しい子供が増えたって言うのは大人を子供が信用してないからだよ。
大人の厚かましく傲慢な姿を僕らは見てきてるんだ、あんな連中は嫌いだ」

とか言ってみたところでD51が引き下がるとは思えないけど僕は嘘はつかない事には定評がある。

「そうかよ、でもおれたちこどもってのは大人に執拗にまでに大人になる必要があるって言われるぜ?
大人が汚いなんて言うのであれば子供はもっとえげつないこと出来ると思うけどなぁ?」

そう言ってる君は多分僕よりも分别が有って大人なんだろう、僕がしようとしていることは背後関係を全く無視した一時的な感情論からなる我儘なのかも…それこそ子供みたいな言い訳にすぎない。

「笑える話だね、君みたいなのとこんなに会話のキャッチーボールができるなんて思わなかったよ」

我ながら人を殴ることに抵抗がないには驚いたが一度ことが始まってしまえば案外僕は流されやすいのかもしれない。

「キャッチボールをするつもりなんて毛頭無いんだがな因みにだがよく言う有名なホームラン王だがあの人は実はもともとこの国の人じゃなかったりするんだぜ、帰化人だけどな」

それ割と有名な話じゃないか、君の豆知識も有限なんだなとも思ったがつまらなそうな顔をしているのを僕は静かにため息を吐きながら眺める、

 さて、僕の手番だが此方から仕掛けなければ彼は何もしてこない…のであればマリアさんを呼んで来るとか微風に応援を頼むとか選択肢としては有ったはずなのだが僕には重大なミスを犯していることに今更になって気づく、事は一分一秒を争うのだが…

「うわぁ、もう駄目だ…お終いだ…」
この場から今すぐ立ち去りたいのを堪えながらこれからD51と喧嘩なんて言うくだらないことをしなくちゃならないと思うと面倒に思えてきた。

「この世の終わりみたいな顔をしてどうしたんだいあんた?」
何時までも呆けているので何かを勘ぐってD51が疑い始めたがそんなことはどうでもよく僕には…

「そんなことよりも…」「いやだから、なんのことよりもって聞いてるんだけども?」「うるさい! 僕は実は…」「…実は?」


       「ガス出しっぱなしなんだ…!!」


「…いやだから大事な言っておかなきゃいけないことがあるんだろ、もったいつけないで言えって、
実はかくまってる女の子があんまりタイプじゃなくてむしろ苦手なタイプだけども男の体裁上仕方なくきいてるとかそんな切ない話なんなら聞いてやらないことも無いぜ?」

なんだか僕の話を聞かなかった事にされている気がするけど僕はお風呂を洗おうとして給湯器のスイッチを入れてそのまま来てしまった、
つまり、いまこの瞬間にも使いもしないお湯が沸かされてしまっているのだ!
「お湯が沸きっぱなしで、浴槽を洗えてないから早くしないとガス代がもったいないって話…だよ!」
生活費はあんまり支給されないだろうからね、爪の先に火が灯るとか、へそでお茶が沸くならそうしたいくらいさ!

「待って、ここに来てすっげー生活感のある話されても反応に困るんだけど、なに君お風呂に入ろうとしてたわけ?
レイピアとか言う事情も定かでないし、素性も全くわからない訳ありまくりの女の子が転がり込んで来てるってのになんの心配もする様子もなく通常の生活を続けられるって信じて疑わないの?」

すっとんきょうな声で驚きと笑いが入り雑じった様な声でお腹を抱えるD51を奇襲して大外刈の一本でも決めてやろうかと思ったけれど、思いの外直ぐにD51がこちらを敵対心を見せて来たのには僕自身驚いた。

「やっぱり君優等生ぶってるし胡散臭い奴だな~と思ってはいたけど今確信した…やっぱり君おかしいわ、
物事を受け入れすぎなんだよ順応性高いとかそーいう問題じない。
吾が輩も大概頭おかしいとか自覚はあるけども自覚が無い分余計に訳分かんないもん
吾が輩は人を笑ってちょっとでも楽しくあろうとする、人はこっちが馬鹿になれば、馬鹿を演じれば心を開いてくれるもんだって最近ね気づいてきたんだよ、君ら二人の関係を吾が輩は壊そうとしているけど君らはどうしたって異常にしか見えない。
お前はその女の子を幸せになんて出来ないな、断言してやるよ」

減らず口を言うなよ眼鏡野郎と振り上げた拳は空しく空を切る
頭のなかで激しく飛び散る火花はこれだけ言われてD51に向けたい感情なのだろうか、それとも…自分に振り向けるべきものなのだろうか?

「そうだね…僕はやれることをしてあげてるだけだよ。
あの子が不憫で仕方無いから、偽善なのかもしれないけど僕の気が済むまではいい人でいたいんだ、レイピアを救えるのは僕ではなくて役者不足でかえって不幸にしてしまうだけかもしれないけれど…
困っている女の子がいたら弱ってる女の子が目の前にいるんだからどうにかしたいってのが男だろ?」

そう言いながら溝内を狙った一撃はずれたけれど沈黙したD51もういい加減に諦めてくれよと思いつつ僕は彼からの速攻による反撃を危惧して慌てて距離を取る、
奴にしては反撃もなく怒号もない珍しい形で僕の攻撃のターンが終了した。

さて、D51の攻撃が僕の精神力をえぐるに考えられる手は…一気に距離を詰めてきてから僕がしたことの意趣返しで態勢を崩して攻撃に転じるかもしれない、予想不可能な攻撃なんてマンガやアニメの世界だけで人の挙動と言うものはよほど焦って不審な人でなければその行動論理とかは把握できると僕はこの時くらいまでは思っていたのだがそんな浅知恵を嘲笑うかのように僕の周囲は激動を迎えてゆく事になる

「君もそれなりの論理を持って動いていることはよーく分かった、それを踏まえた上で忠告しておく。
吾が輩も今回の依頼主とは電話だけのやり取りであって詳しい裏事情みたいのは知らないが…
君が匿うつもりの女の子の後ろにはなんか大きいもんが隠れていそうな気がする、
考えても見ろよ、普通に考えれば迷子のお知らせって聞いたらペットか何かの捜索かと思ったよなそれとちゃうねんから怖いよなぁ?
この世の中うまい話にゃどんな怖ーい裏があるのか分かったもんじゃないからな、頼れるのは身内くらいなもんだぜ?」

D51…今時陰謀論なんて流行らないって、僕は世間に疎いとか思っている人はいないと思うけど好きなテレビ番組はなんですかって聞かれてニュース!! って答えるくらいには世間を知ってるからね!あれ、世間って具体的にどんなもののことを言うんだろう?

「因みに言っておくとそんな背後関係なぞ知った事かと個人的には思っているのでここからは吾が輩は君のその意気込みに免じて全力でお相手しようと思う、容赦とか知らんからこの際いい経験だと思って受け取っておけ…!!」

この人はいきなり何を言い出すんだと感じていた僕の認識は結論からするとかなり甘かった事を実感することになる、遡ること何時間か前の話を此処で突然持ち出すことにしたのは僕がこの短い人生の中で認めたくなかったものが同じ日に二人も現れるなんて正直に言うと何だそりゃってな感じである。

熱線が火山から溢れ出した火砕流の如く圧倒的猛威が此方に向ってきていた、今までのD51が持ち合わせていた余裕に納得がいった、彼は僕には持っていないものを持っている。
それが分かってしまって僕はなんてついてないんだと自分の不運を呪いながら諦めかけて体の緊張が緩んでいた。

「そんなんで諦めるならそれまでってことでいいんだよなぁ?!」
夜風の涼しさではない、暑苦しい突風が目を背けた方向からやって来ては僕の髪をチクチクと焦がすように
通り過ぎていく、D51(コイツ)はレイピアと同じで僕とは違う人種なのだ、力が、出来ることが違いすぎる。

お前にはできることは何もないから向こうに行っていなさいと幼稚園の頃言われた、
初めはまだ僕が小さくて知識もなんにもなかったから単に邪魔になるだけだとそう思っていたから
外で遊ぶのも、部屋のなかで本を読むにも何か吸収できることはないかとあのときには必死でやった…やったんだ…それは単にむだな知識だと、努力ってのは才能を持った人間が自分以外の人間を陥れるために使う言葉だと僕は痛いほどに知ってしまっている…

「何なんだよアンタは、そんなことまで出来るってのか、僕との喧嘩はどこかの新喜劇よろしく笑撃的ってわけかい?!」

眼の前にいるジャージ姿の男はスッキリとした笑みを浮かべながらしかし此方を小馬鹿にした表情をしながら両手を広げた掌にはあり得ないものがそこにはあった。
「爪に火が灯るっての?そんなんありうるわけ無いって思っただろ、残念ながらありえちまうのさ」

紅く荒々しいそれはこのアパートの廊下に蛍光灯以外の光源を作り出していた、ぼうっとD51の顔元を明るくするが彼自身に燃え移るようなことはなくD51はそれを器用にジャグリングし始めたではないか…!?

「…反応に困るんだけどさ、何それ急に何かを始めると思えば拍子抜けも甚だしいなそれは!!」

頭のなかでは一体何が起きてるんだと半分理解の外側だけど僕の癖として悪いことに知ったかぶりをして平気そうなふりをしてしまっている。
何で人体自然発火なんて僕はさも知っているかのような口ぶりで話さなきゃいけないんだ、空想科学読本だってこんな現象は無理だったっていうに違いないよ!?
真面目に正直に物を言うのが僕の取り柄だったりするけれど駄目だね、レイピア然りD51しかりココらへんの人たちって感情高まったりすると発火するの? 怖いな!!

「なぁに、この寮を焼いてしまうと確実にマリアさんに微笑みの爆弾食らって殺されるかもしれないんでやらないし、これに関しては君に先にネタバラシをしておこう、これそんなに大したこと出来ないからよろしく…ね?」

突然の出来事過ぎて何だか分からなかったけど気がついたら足が地面から浮いて僕は廊下の奥の方にふっ飛ばされていた、痛みと衝撃は事を理解してから 僕に襲い掛かってきた、
これはマズイというよりもヤバイ…普段からヤバイだけで会話ができる連中って超やばくない?
何がヤバイってソレ分かんないのやばいっしょ(笑)
なんて冗談を頭のなかで考えている場合ではないことは分かっているが理解してしまった瞬間に僕のお腹の中にあったはずのカレーライスが一気に喉元まで戻ってきた時には降参の言葉と共に無理やり飲み込んだ。

「勢い良くふっ飛ばされていったけど大丈夫かい、まだ意識があるなら今のうちに」
「嫌だね、僕はこれでも自分で決めたことは忠実でいたいんだ、それ以上を諦めてしまったら唯でさえ自主性の無い僕は存在する意味すらも失う、誰にでもなれるでもなく自分の存在はきちんと証明しないといけないからね」

D51の言葉をむりやり遮ったのはそうでもしないと僕の心が折れそうだから、
本当は自分なんてと思っているのにこんなことを頭のなかで考えるのは自分を偽ることにしているから、

「僕は…君の主張に屈服した覚えも従う気もないからね!
勿論、電話口の人にも従う義理はないよ、レイピアは僕の部屋の同居人で僕は一応家主だ(寮生だから家主も何もないだろというごもっともな意見は聞こえないふりをして)からいたいけな女の子を無理やり何処かへ連れて行こうとするような
なんか知らない誘拐犯にしか見えないジャージの老け顔経歴詐称同級生なんかにあの子をつれていかれてたまるかぁぁぁぁぁぁ!!!」

無理やり立ち上がって息が出来なくなってびっくりしている肺を叩き起こして立ち上がった、
誘拐犯だなんて超でっち上げだけどこの際知ったことかと眼前で唖然とするD51に食って掛かると面白がっている様子で僕がフラフラと立ち上がるのを眺めるのに腹が立ったので一度噛みつきでもして驚かせてやろうか…な!


「とか言っているわりにもう限界なのは吾が輩気づいてんだよ、ほれ見てみろ体幹ずれてるし膝が笑ってんじゃねぇか
今回の一撃に関しては加減したつもりはねぇから本気で殴った、将棋で言うなら詰みだしチェスならチェックメイトって感じだから諦めとけ」

そんなことを言われて立ち上がらないわけにはいかない、今や僕が動き続ける理由の半分くらいは目の前でこちらを小馬鹿にしている男に一杯食わせるとか一矢報いるとか肝を冷やさせてやるだとかそーいう理由も確かに存在しているのだ。

「窮鼠猫を噛むって諺を知らない訳じゃないだろDD51
勝負は僕か君が降参するまでなんだからそんなの関係ないよ」

 これだけ暴れまわっていれば管理人さんであるマリアさんや微風も気づくと思っていたけれど…

 「涼くん? お風呂にでも入ってるのかと思ってたけど物音しないしどうしたのかなって思っ……!!
え、これちょっとどうしたの、what happen?!」

それは寝ていたレイピアにも言えることでそれもまた何とも一番格好が付かない所に出てきてくれた。
慌てて駆け寄ってきてくれるのは何とも男冥利に尽きるけれど出来ればもう少し早めに来てほしかったと言わざるを得ないよね…

「おやおや? 君がレイピア嬢だね、なるほど噂の座敷わらしが今回のオチってやつか~納得がいったようないかないような何とも複雑な気分だよ(笑)」 

激安セール、閉店売りつくしみたいな挑発は残念だけど見かけによらず中身が大人びたレイピアには通用しないと思うよ。

「…そんな事は今どうでもいいの、涼くんをこんなにしたのは貴方の仕業ですか…それとも涼くんに何か過失があったんですか?
もし、素直に謝って立ち去るべき事をしている自覚が有るのなら即刻この場から立ち去って何処かの草葉の陰にでも怯えながら待っていなさい。」

レイピア格好よすぎない?
静かに怒りを表しているというか…あの子が実力行使に立ち上がるとは思えないけれどD51に対しては僕から手を出していないという確証が欲しいのだろう、今は嵐の前の静けさで恐らくは…

「そうだね~過失があるとすれば貴方の生まれの不幸を呪うがいいさ、そんなべっぴんさんに生まれたら苦労はするんだろう?
やっこさん会わせてくれっていってんのに俺のもんだーっていつてテコでも動かないつもりだったのよ、
それをもう少しでいいから会わせてくれって頼んでもダメだったからちょいと揉め事になってたところに思わず突き飛ばしちまった訳よ。」

特にレイピアに限って言えばこの先にも言えることだけど真実を隠し通すつもりで慣れない嘘をつくとその事実をありのまま話したときの方がましって位には怒るのである。

「あっそぅ、貴方に微塵も興味が無いからさっさと失せた方がいいと思うよ、私は側で倒れている男の子ほど大人しくも大人でも無いんだから…!」

止めてくれ、僕の好きでやったことなんだから
君のためであって君が出てくるべきだけどあまりに相手方が悪いよレイピア
毅然とした態度でD51にその小さめな体で立ち向かう
レイピアがかっこよく見えて、よろよろと側にいる僕はとても場違いに見えて、
振り絞った言葉は口をついて出てこずに軽い息切れを起こしている様な微かに掠れた空虚な音にしかならずに何とも情けなく感じた。

「君らさ、本当に歪で重いよ思いが、なんなん?
出会ってまだ数時間ぐらいしか経ってないわけじゃん?
何でそんなに仲良いわけ?あれですか、お二方チョロインとチョロン公なんでです?」

チョロン公ってなんだよD51、なんだが某タツノコプロの作品に出てくるべき悪役みたいなネーミングだね、どろぼー。

「…そうかもしれない、でもそうでもないかもしれない。
涼くんはどう思ってるか知らないけど少なくても私は嫌いな人はとことん嫌ってもう目の敵みたいにしてストレスやらなんやらぶつけるからそれには涼くんは入ってないよ、私こう見えて大人だからね!」

それには流石にどうみても少女体型なんですがそれはとツッコミを入れておくとしよう、ほらそこのジャージマン、ツボに入ったように笑うんじゃないよ、温かく大人の目線で見守ってやるのが保護者としての務めだよ! 違う

「折角だから続けるとね、私は人からの親切とかあんまり受けたこと無いから確かにころっと落ちる癖に重いよ?
でも涼くんも私もまだまだ色々あっていい時期だと思うし、あくまでお試しだからねー涼くんの同意があってこそ私はこの部屋に居着いた訳だし!!
それに信頼は寄せているけれど信用度はまだまだ足りないからね涼くん、勘違いをしないよーに!」

レイピアの今の言葉が説明になっているかどうかはさておき、レイピアが思いの外僕を心配していないことにちょっと驚いてい るけれどまぁそんなものだろうと僕は心のどこかで割りきった。 
 結婚式でよく「真実の愛を誓いますか」なんて聞くけれど真実の愛なんて神父さんにどやされて誓わなくても当人達なら分かっているだろうに…あんなシーンばっかり妄想シーンに上げる少女マンガばっかりあるから結婚式を男女関係のゴールだと考えている御花畑少女達がいるからこそ成田離婚なんてワードが流行るんだと思う、
さて、偽りか真実かと聞かれれば僕とレイピアの関係と言うものは希薄でその間を今のところは描いているのだと感じている、

「と言うことで僕とこの子の関係はまだまだ構築途中なんだよね全く、君も男女の仲を引き裂く奴なんて馬に蹴られて背負った薪に火を付けられて火傷を背負い、その傷口に唐辛子を塗られて揚げ句のはてに泥舟に乗せられて溺れ死ぬんだよ!」

適当を二の句を繋げてみたら案外上手くいったけれどD51からは

「おい、それ尾ひれつきすぎだろ、どっかの昔話かよ…吾が輩別にカニバリズム肯定しねぇしあれは確かにやられて当然だと思うけどもそこまで後先考えずに行動することなんて吾が輩には出来んし涼君に関してはなんで元気になっとんねん、さっきまで虫の息だったじゃろがぃ!!」

という感じで文句混じりのブーイングが飛んできたので適当に反応しておく、
確かにレイピアが廊下側に出てきてから何となしに体が軽いような…気がする気のせいかもしれないけど。

「涼くんこの人となんでそんなになるまで喧嘩したの?」
レイピアには一部始終も見ていないのに僕らがしていたことを当てたではないか…!!?
エスパーニャンコかな? レイピアの頭の上にちょこんと猫の耳に似せたカチューシャを乗っけて招き猫見たうポーズを取ってみたり…

「コホン、僕はともかく詳しい事情は話している隙がないから色々とあとで話すよ」
いつまでも女の子の前でフラフラしていては格好がつかないからね!!
レイピアの黒髪をくしゃくしゃと乱暴に梳いてやりうかと思ったけど軽くポンポンと叩くだけにしておく、

「何だか良く分からないけどこれは応援したほうが良さそうな流れだね!? ファイトーーオーー!!」

レイピアに文字通り背中を押されて僕は再びコロッセオの闘技場に姿を見せるとそこには変わらぬ顔でD51がいた。

「何でもいいけどさっさと再開するからな」
D51は単刀直入に僕にそっけなく言うと緩んでいた表情を切り替えたそれを見るともうこの喧嘩は一筋縄では行かなそうだ。

レイピアとの関係か…僕はこの家出少女とどうしていきたいのだろう、出会って数時間で此処まで仲良くなったと個人的には思っているのだがその先とか…まだ早いよなとかソレって犯罪事案じゃね?
と僕の脳内では慎重派がまだ多数を占めているのだった…。

次回VSD51編決着!!
お楽しみに!!




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