俺は異世界でブリーフをかぶる
4話目「俺の能力」
「……なぁなぁ、ミスズ」
「馴れ馴れしく呼ばないでください。……なんですか?」
「……なんで俺の部屋は独房なの?」
「逆に聞きますけど、なんで私達が貴方に部屋をあてなければいけないのです?」
「いやっ……でも……ここ、何もなくね?」
「何もないですよ。独房ですから」
「せめてこけしぐらい置いてくれても良いだろ……」
今度はセスタに代わり、俺は絶望した。
俺は自由を手にし、ようやくハーレムを築けると思ったのだ。
やっぱりまずはミスズからだと意気込み、彼女のもとに向かった。
そしたら嬉しそうに部屋を与えると言ったんだ。
なのになんで独房なの?
「よかったですね、鍵付きの部屋ですよ?空気の出入りもあっていいですね」
「確かに俺の持ち物はスマホとブリーフと耳栓だけだけどさ、この扱いはなんなの?俺って人間?」
「なんで自分が人間か問うてるんですか……。私に言われても知りませんよ」
「もういい。ブリーフ被って寝る」
「……ああ、やっぱりその体勢なんですね……」
俺はうつ伏せになり、手をピンと伸ばして目を閉じた。
眠い時は寝るもんだ。
おやすみなさい。
「――フフッ」
最後にミスズが楽しそうに笑う声が聞こえた気がしたが、悪魔の囁きの間違いだろう。
――――――――――――――――――
風呂にも入れる、トイレも行ける、食事は食堂で決まった時間に取れる。
ついに俺も生活が成り立ってきた。
暇な時が多いが、仕事中に暇そうな奴を捕まえて雑談し、ミカレーにはスマホを教え、ついにセスタの胸を触ることに成功して追い回され、ミスズからはパンツを盗む。
こんな生活を3日続けて、俺は思い出した。
あれ?俺、勇者として召喚されたんじゃなかったっけ。
…………。
「……というわけでミスズ。なんか俺に特殊能力とかないの?」
「その前に、昨日私から盗んだパンツを返してください!!もうっ、ほんっと許しませんからね!!?」
「一応言っておくが、変な事には使ってないからな!盗んだら被る、これが常識だ」
「そもそも盗むことが常識じゃないですーっ!!」
声を荒げて怒るミスズ。
そこまでするのかと渋々俺はパンティーをポケットから取り出した。
ひらひらとしたレースのついた、きっとミスズ一番のお気に入り。
はいっと手渡しすると、バッと奪われる。
「……まったく、貴方はどうしてそんなに変態なんですか?」
「そんなに変態なんですかと言われても……変態ってなんなんだ?」
「人のパンツを盗むのは立派な変態ですよ……」
「なるほど。じゃあパンツ以外のものを盗むとしよう」
「へぇ、何を盗むんですか?」
「……眼球とか?」
「ちょっと!!目の奥が痛むようなこと言わないでください!!!」
バシバシと肩を叩いてくるミスズ様。
力よえー、痛くねぇよ。
「まぁそんなことより、俺の能力だよ。勇者として召喚したんだから、なんかあるだろ?目からレーザーとかはやめて欲しいけどな」
「目繋がりでそんなこと言わないでください。……ともあれ、そうですね。何かしら能力は備わっているはずですよ?」
「俺に?能力?」
「能力ですよ」
「変、態力?」
「それはもとからかと思いますが」
「そうか。うーん……」
俺は考えた。
俺は魔法なんて知らないし、自分の秘めたる力なんてわからん。
だけど、ここ最近で何かしら変化があったはずだ。
俺のブリーフがそう告げている。
「……あ」
そういえば、1つだけ思い当たる節があった。
「俺、寝起きだとめっちゃ力がみなぎるんだよね」
「精力が、ですか?」
「それはいつもだから」
「…………」
おい、なぜそこでドン引きするか。
でも寝起きでみなぎってるのは本当なんだよね。
「俺ってもしかしたら、寝起きの時だけ超強いんじゃなかろうか」
「じゃあ永眠するべきだと思います」
「いや、起きないと意味ないだろ。それに俺の体が起きなくても下の方は起きるからな、2日に1回ぐらい」
「……本当に、永眠してみますか?」
ニコリと笑って水の短刀を出現させるミスズ。
あまり下ネタを言い過ぎると怒るからこの辺でやめてやろう。
そういえば今日はおっぱいって言ってないな、俺偉い。
「とりあえず、試しに寝てくるわ。起きたら力試しみたいなのしたいんだが、なんかない?」
「んー……そうですね。レンガブロックぐらいならありますが、それで良いですか?」
「人の力でレンガなんて折れるわけないだろ!!バカにしてんのか!?」
「やっぱり永眠しますか?」
「……レンガでお願いします」
というわけで、レンガを手配してもらうことになった。
そんなわけで睡眠すること1時間。
俺は独房でブリーフを被り、立ち上がって両手でレンガを持っていた。
誰も見に来ていないし、1人でレンガを持っている。
なんて寂しいのだろう。
まぁいいけどね、あとでおちょくりに行くし。
「よしっ……なんか今の俺ならなんでもできる気がする」
マジで寝て起きたら俺は力がみなぎっていた。
1時間半だけど、今ならアクション映画ばりの動きができる気がする。
「……うっし、行くぞ〜」
両手でレンガを持つ。
不思議と重く感じなかったのはこの世界のレンガが軽いのかはわからない。
しかし、まぁ
「よいしょっと」
バキンッ!!
見事、苦もなく真っ二つに割ることに成功。
まるで板チョコを割るかのようなもんだった。
つまり、俺の異世界での能力は――!
寝たら強くなる。
なにそれすげー地味なんだけど。
「馴れ馴れしく呼ばないでください。……なんですか?」
「……なんで俺の部屋は独房なの?」
「逆に聞きますけど、なんで私達が貴方に部屋をあてなければいけないのです?」
「いやっ……でも……ここ、何もなくね?」
「何もないですよ。独房ですから」
「せめてこけしぐらい置いてくれても良いだろ……」
今度はセスタに代わり、俺は絶望した。
俺は自由を手にし、ようやくハーレムを築けると思ったのだ。
やっぱりまずはミスズからだと意気込み、彼女のもとに向かった。
そしたら嬉しそうに部屋を与えると言ったんだ。
なのになんで独房なの?
「よかったですね、鍵付きの部屋ですよ?空気の出入りもあっていいですね」
「確かに俺の持ち物はスマホとブリーフと耳栓だけだけどさ、この扱いはなんなの?俺って人間?」
「なんで自分が人間か問うてるんですか……。私に言われても知りませんよ」
「もういい。ブリーフ被って寝る」
「……ああ、やっぱりその体勢なんですね……」
俺はうつ伏せになり、手をピンと伸ばして目を閉じた。
眠い時は寝るもんだ。
おやすみなさい。
「――フフッ」
最後にミスズが楽しそうに笑う声が聞こえた気がしたが、悪魔の囁きの間違いだろう。
――――――――――――――――――
風呂にも入れる、トイレも行ける、食事は食堂で決まった時間に取れる。
ついに俺も生活が成り立ってきた。
暇な時が多いが、仕事中に暇そうな奴を捕まえて雑談し、ミカレーにはスマホを教え、ついにセスタの胸を触ることに成功して追い回され、ミスズからはパンツを盗む。
こんな生活を3日続けて、俺は思い出した。
あれ?俺、勇者として召喚されたんじゃなかったっけ。
…………。
「……というわけでミスズ。なんか俺に特殊能力とかないの?」
「その前に、昨日私から盗んだパンツを返してください!!もうっ、ほんっと許しませんからね!!?」
「一応言っておくが、変な事には使ってないからな!盗んだら被る、これが常識だ」
「そもそも盗むことが常識じゃないですーっ!!」
声を荒げて怒るミスズ。
そこまでするのかと渋々俺はパンティーをポケットから取り出した。
ひらひらとしたレースのついた、きっとミスズ一番のお気に入り。
はいっと手渡しすると、バッと奪われる。
「……まったく、貴方はどうしてそんなに変態なんですか?」
「そんなに変態なんですかと言われても……変態ってなんなんだ?」
「人のパンツを盗むのは立派な変態ですよ……」
「なるほど。じゃあパンツ以外のものを盗むとしよう」
「へぇ、何を盗むんですか?」
「……眼球とか?」
「ちょっと!!目の奥が痛むようなこと言わないでください!!!」
バシバシと肩を叩いてくるミスズ様。
力よえー、痛くねぇよ。
「まぁそんなことより、俺の能力だよ。勇者として召喚したんだから、なんかあるだろ?目からレーザーとかはやめて欲しいけどな」
「目繋がりでそんなこと言わないでください。……ともあれ、そうですね。何かしら能力は備わっているはずですよ?」
「俺に?能力?」
「能力ですよ」
「変、態力?」
「それはもとからかと思いますが」
「そうか。うーん……」
俺は考えた。
俺は魔法なんて知らないし、自分の秘めたる力なんてわからん。
だけど、ここ最近で何かしら変化があったはずだ。
俺のブリーフがそう告げている。
「……あ」
そういえば、1つだけ思い当たる節があった。
「俺、寝起きだとめっちゃ力がみなぎるんだよね」
「精力が、ですか?」
「それはいつもだから」
「…………」
おい、なぜそこでドン引きするか。
でも寝起きでみなぎってるのは本当なんだよね。
「俺ってもしかしたら、寝起きの時だけ超強いんじゃなかろうか」
「じゃあ永眠するべきだと思います」
「いや、起きないと意味ないだろ。それに俺の体が起きなくても下の方は起きるからな、2日に1回ぐらい」
「……本当に、永眠してみますか?」
ニコリと笑って水の短刀を出現させるミスズ。
あまり下ネタを言い過ぎると怒るからこの辺でやめてやろう。
そういえば今日はおっぱいって言ってないな、俺偉い。
「とりあえず、試しに寝てくるわ。起きたら力試しみたいなのしたいんだが、なんかない?」
「んー……そうですね。レンガブロックぐらいならありますが、それで良いですか?」
「人の力でレンガなんて折れるわけないだろ!!バカにしてんのか!?」
「やっぱり永眠しますか?」
「……レンガでお願いします」
というわけで、レンガを手配してもらうことになった。
そんなわけで睡眠すること1時間。
俺は独房でブリーフを被り、立ち上がって両手でレンガを持っていた。
誰も見に来ていないし、1人でレンガを持っている。
なんて寂しいのだろう。
まぁいいけどね、あとでおちょくりに行くし。
「よしっ……なんか今の俺ならなんでもできる気がする」
マジで寝て起きたら俺は力がみなぎっていた。
1時間半だけど、今ならアクション映画ばりの動きができる気がする。
「……うっし、行くぞ〜」
両手でレンガを持つ。
不思議と重く感じなかったのはこの世界のレンガが軽いのかはわからない。
しかし、まぁ
「よいしょっと」
バキンッ!!
見事、苦もなく真っ二つに割ることに成功。
まるで板チョコを割るかのようなもんだった。
つまり、俺の異世界での能力は――!
寝たら強くなる。
なにそれすげー地味なんだけど。
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