奴隷でもチートを目指す

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10話 新たな日常 一日の始まり

「ではでは、今日もお願いしますよぉ?」

 気の抜けるような号令と供に、俺達は各々自由に採掘場所に向かい、監視人がその後を付けてくる。ああ、いつかこの監視人も殺さないと。

「ちょっとそっちの採掘場所に付いていっていいか?」

 ああ? ああ、マッチョ1号か。

「そういえば今更だけどお前の名前はどんな名前なんだ?」

「本当に今更だな。俺の名前はガンダルフだ。そっちこそなんて名前なんだ?」

「俺は……ケンだ。じゃ、ダンジョンだっけ? 昨日のあそこに行くか」

 今こうして言ってみると昔の俺はもう居ないんだなぁ。

「そういや監視どうする? 俺はストレスを込めるとか出来ないぞ?」

「ストレスを腕に込めてお前を持ち上げる」

「それだと速度落ちたりしないか?」

 うーん、でもそれなら問題無いかな。

「殺意を足に込めれば問題無いでしょ」

「お前なぁ。はあ、もういいか」

「文句無いなら行くか。よいしょ」

「本当に簡単に持ち上がるなぁ、って、速っ」


 ――5分後――


「到着。……? おーい、大丈夫かー?」

「うぅ、吐きそう」

 吐きそうって、そんなに速かったか? 確かにさっき俊足ってスキル手に入れたけども。

 まあいい、掘るか。

「そういやお前のツルハシどこ行った?」

「あんな速さで持ってられるわけねぇだろ。うぷっ」

「おーい、大丈夫かー?」

「……うぷっ」

 これは掘って待つしか無いか。

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