みんな無課金俺課金(課金するとは言っていない)
51章 Win Win
11階層に上がるとそこは入り口よりも美しい庭園。
その中央に王宮、そして、この地がこの城において最も高い場であった。
「俺らはくっついてきただけだから、ここは二人で日を改めて行くといい。」
ダイチさんの助言の元、俺とサオリは一時その場を去り、
日を改めて身を整えて戻ってきた。
「とうとう、ここまで来たね。」
「長かったような、あっという間の時間だった。」
巨大で荘厳な扉の前でお互い今までの旅に思いを馳せていた。
しばらくしてお互いいつとなく見つめ合い頷き合う。
巨大な扉はその重厚な作りと異なって軽い力で開いていく。
室内は壁や天井自体が薄っすらと光っており、
大きな窓ガラスから外の陽光をいかんなく取り込み室内とは思えない明るさだった。
まっすぐと引かれた赤い絨毯、床から壁、柱に天井は真っ白な大理石。
天井から吊るされた大きなシャンデリア、壁にも蝋燭を灯す照明が用意されている。
「まさに、ラスボスの城。って感じだね。」
サオリは俺の軽口に無言で頷く、この部屋の美しさに気圧されているようだ。
ここまで来ていつまでも怯んでいるわけにも行かない。
俺は一歩づつ歩を進めていく。
目の前にある王座に向かって。
『君たちさぁー、あの倒し方は可哀想じゃないか? 大笑いさせてもらったけど、可哀想だったぜージークフリードが。』
「あれは、反省してます……」
『名乗りを上げれば一人づつかかってくるんだけど、確かに二人してくるととんでもない強さにしたからなー、でもあんな方法取るなんて想定外だったよ!
勉強になる!』
この世界の絶対神は相変わらずの調子だった。
『まぁ、君たちが来るとは思っていたからね、時々見てたけど正攻法で来ると思ってたので最後のは面白かった。』
「重ね重ね申し訳ないです。」
『いや、ああいう可能性も考えないといけないし、アルゴリズムを見直すいい機会になった。やっぱりいろんな考え方するから面白いんだし!』
表情はわからないけど、楽しそうに話す絶対神様に親しみを感じてしまう。
『さてと、そろそろ本題にはいろうか! 正直もうわかってはいるんだけど、
君はこの世界に何を望むんだい?』
「あ、はい。私たちが元の世界に戻る……ってのは無理なんですよね?」
なぜか、無理であることはわかっている。
『そうだね、申し訳ないけど元の世界はすでに別の世界になってしまっている。』
やっぱり。
ウーニャの方をみるとごめんなさいニャって感じで頭を下げる。
『その子は悪くないよ、仕方ないんだ。俺らからも頼んだからね。』
「はい、俺、自分はこの世界でも、生きていいたいんです。今の齢を取らず死ぬこともない世界では生きている気になれないんです。生かされていると思ってしまうんです、それに……」
『それに?』
「自分はこの世界でサオリと一緒に生きて、出来るなら子供を作って家族を作りたいんです。結局それだけ、俺のわがままなんです。」
サオリに本当の家族の愛を知ってほしい。
ただそれだけの俺のわがままだ。
「タカシ……」
『なるほどねぇ、ずっと遊び続けられる世界を作れば満足かと思っていたけど、君たちはちゃんと人間なんだね。うん、わかった。ただいろいろ考えていたんだけどこの世界にいたいって人達もいると思うから、そこにも配慮を忘れないようにしたいと思う。って言ってた』
「ありがとうございます。」
本当に準備していてくれたようで、いろいろな現在導入可能なシステムを効かせてもらった。
・この世界はVRMMORPGという体で異次元に存在させておく。
・この世界にいる間は肉体の老化、死亡などはない。実際の生活している世界での時間経過は事前に設定が可能。
・元の世界ではないので、家族関係、友人関係は以前と異なるが存在して紐付けはしてくれて整合性を取ってある世界にしてくれている。転校生とか転勤とかそういう設定になっていることが多いそうだ。
・元の世界に文化的には近く成長させられているけど少し違うらしい。
・新世界では今までどおり、歳を取り、子供もなせるし成長もする、もちろん死ぬこともある。
・今後はその神世界の他のプレイヤーもVRMMORPGファンタジータイガーストーリーに参加するという形で今の世界に入ることが出来る。前の時みたいに日本だけではなくなる。言語通訳はシステムに組み込む。
・プレイヤーの増加に伴い大陸の追加、ダンジョンの追加なんかは絶対神様が滅茶苦茶張り切って続けていってくれるそうだ。
そんな感じで、本当に、大事にされているんだな。と心から思ってしまう内容だった。
『戦闘システムはまだまだ突き詰めていくからたのしーよ、外の世界は二人が必死にやってくれて、それも楽しいって言ってたから気にしないで!』
そう言ってもらえるとわがまま言った身としては本当に助かる。
『まー、もうちょい時間はかかるから、待っててね。
今日はクリアを記念して大騒ぎするといいよ!』
と同時に空に絶対神のお言葉が描かれる。
今回の天空城到達者が出たこと、その到達者の望むシステムの概要と
もう少し時間がかかること、
クリア特典としてプレイヤー全員に職業リセット、スキルリセット権がプレゼントされること、職業リセット、スキルリセット権は今後有料課金アイテムとして実装することなんかがサプライズ発表された。
いい忘れてたけど、俺の輝石購入システムは正式に廃止された。
あと、心配だったウーニャも普通のネコとして一緒に外の世界に行けるそうだ。心の声としてサオリと俺とは会話ができる大盤振る舞いつきで。
システム変更に一部の人達は不満もあった。
それは当然だと思う、ただ、残る自由があることでその不満は巨大にはならないで済んでいた。
自分で攻略しなかったのが悪い。と上位ギルドメンバーが言ってくれたことも
助けになった。
元の世界に戻れないことは、なぜかみんな薄っすらとわかっていたらしく。
その点での混乱は少なかったが、恋人や家族が居た人で望む人は過去の記憶を消してくれるという絶対神側からの申し出もあった。
「俺はあの思い出も抱えて生きていくよ」
香川さんは寂しそうにそうつぶやいていた。
新しいプレイヤーの追加、新世界。
俺たちは新しい巨大な渦に飲まれると思う。
それでも俺は、サオリと一緒にその波に挑んでいこうと思う。
みんな、それぞれの大事な物、人とその波に挑んでいくんだと思う。
俺達の人生は今ここから新しく始まっていく。
俺は隣で立つサオリの手を強く握り。
決意を新たにこれからの人生で生きていくことを強く誓った。
まだ見ぬ未来をサオリとともに一生懸命に生きていく決意を
その中央に王宮、そして、この地がこの城において最も高い場であった。
「俺らはくっついてきただけだから、ここは二人で日を改めて行くといい。」
ダイチさんの助言の元、俺とサオリは一時その場を去り、
日を改めて身を整えて戻ってきた。
「とうとう、ここまで来たね。」
「長かったような、あっという間の時間だった。」
巨大で荘厳な扉の前でお互い今までの旅に思いを馳せていた。
しばらくしてお互いいつとなく見つめ合い頷き合う。
巨大な扉はその重厚な作りと異なって軽い力で開いていく。
室内は壁や天井自体が薄っすらと光っており、
大きな窓ガラスから外の陽光をいかんなく取り込み室内とは思えない明るさだった。
まっすぐと引かれた赤い絨毯、床から壁、柱に天井は真っ白な大理石。
天井から吊るされた大きなシャンデリア、壁にも蝋燭を灯す照明が用意されている。
「まさに、ラスボスの城。って感じだね。」
サオリは俺の軽口に無言で頷く、この部屋の美しさに気圧されているようだ。
ここまで来ていつまでも怯んでいるわけにも行かない。
俺は一歩づつ歩を進めていく。
目の前にある王座に向かって。
『君たちさぁー、あの倒し方は可哀想じゃないか? 大笑いさせてもらったけど、可哀想だったぜージークフリードが。』
「あれは、反省してます……」
『名乗りを上げれば一人づつかかってくるんだけど、確かに二人してくるととんでもない強さにしたからなー、でもあんな方法取るなんて想定外だったよ!
勉強になる!』
この世界の絶対神は相変わらずの調子だった。
『まぁ、君たちが来るとは思っていたからね、時々見てたけど正攻法で来ると思ってたので最後のは面白かった。』
「重ね重ね申し訳ないです。」
『いや、ああいう可能性も考えないといけないし、アルゴリズムを見直すいい機会になった。やっぱりいろんな考え方するから面白いんだし!』
表情はわからないけど、楽しそうに話す絶対神様に親しみを感じてしまう。
『さてと、そろそろ本題にはいろうか! 正直もうわかってはいるんだけど、
君はこの世界に何を望むんだい?』
「あ、はい。私たちが元の世界に戻る……ってのは無理なんですよね?」
なぜか、無理であることはわかっている。
『そうだね、申し訳ないけど元の世界はすでに別の世界になってしまっている。』
やっぱり。
ウーニャの方をみるとごめんなさいニャって感じで頭を下げる。
『その子は悪くないよ、仕方ないんだ。俺らからも頼んだからね。』
「はい、俺、自分はこの世界でも、生きていいたいんです。今の齢を取らず死ぬこともない世界では生きている気になれないんです。生かされていると思ってしまうんです、それに……」
『それに?』
「自分はこの世界でサオリと一緒に生きて、出来るなら子供を作って家族を作りたいんです。結局それだけ、俺のわがままなんです。」
サオリに本当の家族の愛を知ってほしい。
ただそれだけの俺のわがままだ。
「タカシ……」
『なるほどねぇ、ずっと遊び続けられる世界を作れば満足かと思っていたけど、君たちはちゃんと人間なんだね。うん、わかった。ただいろいろ考えていたんだけどこの世界にいたいって人達もいると思うから、そこにも配慮を忘れないようにしたいと思う。って言ってた』
「ありがとうございます。」
本当に準備していてくれたようで、いろいろな現在導入可能なシステムを効かせてもらった。
・この世界はVRMMORPGという体で異次元に存在させておく。
・この世界にいる間は肉体の老化、死亡などはない。実際の生活している世界での時間経過は事前に設定が可能。
・元の世界ではないので、家族関係、友人関係は以前と異なるが存在して紐付けはしてくれて整合性を取ってある世界にしてくれている。転校生とか転勤とかそういう設定になっていることが多いそうだ。
・元の世界に文化的には近く成長させられているけど少し違うらしい。
・新世界では今までどおり、歳を取り、子供もなせるし成長もする、もちろん死ぬこともある。
・今後はその神世界の他のプレイヤーもVRMMORPGファンタジータイガーストーリーに参加するという形で今の世界に入ることが出来る。前の時みたいに日本だけではなくなる。言語通訳はシステムに組み込む。
・プレイヤーの増加に伴い大陸の追加、ダンジョンの追加なんかは絶対神様が滅茶苦茶張り切って続けていってくれるそうだ。
そんな感じで、本当に、大事にされているんだな。と心から思ってしまう内容だった。
『戦闘システムはまだまだ突き詰めていくからたのしーよ、外の世界は二人が必死にやってくれて、それも楽しいって言ってたから気にしないで!』
そう言ってもらえるとわがまま言った身としては本当に助かる。
『まー、もうちょい時間はかかるから、待っててね。
今日はクリアを記念して大騒ぎするといいよ!』
と同時に空に絶対神のお言葉が描かれる。
今回の天空城到達者が出たこと、その到達者の望むシステムの概要と
もう少し時間がかかること、
クリア特典としてプレイヤー全員に職業リセット、スキルリセット権がプレゼントされること、職業リセット、スキルリセット権は今後有料課金アイテムとして実装することなんかがサプライズ発表された。
いい忘れてたけど、俺の輝石購入システムは正式に廃止された。
あと、心配だったウーニャも普通のネコとして一緒に外の世界に行けるそうだ。心の声としてサオリと俺とは会話ができる大盤振る舞いつきで。
システム変更に一部の人達は不満もあった。
それは当然だと思う、ただ、残る自由があることでその不満は巨大にはならないで済んでいた。
自分で攻略しなかったのが悪い。と上位ギルドメンバーが言ってくれたことも
助けになった。
元の世界に戻れないことは、なぜかみんな薄っすらとわかっていたらしく。
その点での混乱は少なかったが、恋人や家族が居た人で望む人は過去の記憶を消してくれるという絶対神側からの申し出もあった。
「俺はあの思い出も抱えて生きていくよ」
香川さんは寂しそうにそうつぶやいていた。
新しいプレイヤーの追加、新世界。
俺たちは新しい巨大な渦に飲まれると思う。
それでも俺は、サオリと一緒にその波に挑んでいこうと思う。
みんな、それぞれの大事な物、人とその波に挑んでいくんだと思う。
俺達の人生は今ここから新しく始まっていく。
俺は隣で立つサオリの手を強く握り。
決意を新たにこれからの人生で生きていくことを強く誓った。
まだ見ぬ未来をサオリとともに一生懸命に生きていく決意を
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