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穴の空いた靴下

46章 幸せ

 朝、目が覚めると大好きな人が隣いる。
 それだけで心が暖かくなる。幸せな気持ちになる。
 彼を見つめていると眠そうな目を開いて彼が、

 「おはよー」

 と言ってくれる。
 それだけで心がとろけてしまう。

 「うん、おはよ」

 そのまま彼の胸に顔を埋める。
 恥ずかしくてまっすぐ彼を見つめられない。
 それでも彼は優しく私を抱きしめてくれる。
 彼が私を想ってくれる、その想いが体中を駆け巡る。
 私は彼が大好きなんだなぁ、そしてその彼も私のことを好きでいてくれる。
 この世界中でこんなに幸せなことがあるんだろうか、
 わたしは我慢ができずに彼の背中に手を回し口づけをせがんでしまう。
 嫌われないかな?
 彼はきっと受け止めてくれる。
 事実彼は優しく口づけをしてくれる。
 幸せすぎてどうにかなってしまいそう。
 そう不安になるくらい、私は幸せだ。




 結局二人が街に出たのはお昼前であった。
 二人の時間をダラダラと過ごしていたら、タカシのお腹が鳴ったのだ。
 この世界で一番私達が幸せでーす!
 見た人にそんな印象を与えるように二人は仲良く街を歩いていた。

 正直変わりすぎだった。

 そして当然、皆の知るところになって、
 飲み会で根掘り葉掘り聞かれることを彼らはまだ知らない。
 今は幸せに溺れている。

 余談だが、タカシの凄腕を知った一部のおねーさま方のタカシの見る目が変わったのはサオリにとって危機ではあるが、タカシはサオリ以外の女性に興味がなかったことはサオリの幸せであった。ハーレムコースはタカシには存在しなかった。

 それから2日間ほど夢の様な幸せな時間をゆっくり過ごした二人は、
 とうとう天空城の攻略にとりかかることになる。


 「とりあえず慎重に安全第一で進んでいこう。」

 初探索はトシアキさんとアンリさんと一緒だ。
 初めての天空城の美しさにひとしきり感動して、
 いざ本格的な攻略だ。
 入り口の巨大な門を開くと美しい装飾された城内だ。

 侵入と同時に敵の来襲である、

 「おお、歓迎されてるなー!」

 「人型6体! 前衛は後衛に流さないように注意しつつ牽制、問題なければ撃破で、後衛は支援かけながら様子見ながら攻撃で!」

 サオリの指示もいつも通り、敵はフルプレートの騎士のような敵。
 両手剣持ち2体、槍2体、弓2体とあちらもPT構成がしっかりしている。

 「弓兵がいる! 前衛は抑えるからウーニャは一気に弓兵を!」

 「了解ニャ!」

 両手剣持ち2体に突っかけながら即座に役割分担を決める。
 もうなれたものである。
 槍兵が弓兵に行こうとするウーニャを牽制しようとするがウーニャの速度には追いつけない、敵6体をウーニャが後方から撹乱して、前衛は俺とゴーレムで維持する。

 「魔法の効きが悪いなぁ、攻撃より妨害系でやったほうが良さそうね。」

 アンリさんも支援をかけながら冷静に戦況を分析していく。
 ある程度手の内がしれてきたので俺は攻勢に出て行く。
 二刀流は攻防どちらもこなすことができるし、いったん攻勢に出ると無類の強さを発揮してくれる。

 「一閃!」

 両手剣を振り上げるその隙をついて一体の上半身と下半身をバラけさす、

 「中は空洞ニャ!」

 「それならロックバインド!」

 サオリが詠唱すると地面から土のトラバサミが敵を捉える。
 ゴーレムがその敵を殴りつけ無残に鎧がひしゃげる。
 そうこうしていると、弓兵はウーニャの爪でバラバラにされていた。
 俺も負けじと槍兵をウーニャとの同時攻撃で殲滅する。

 最初の戦闘は危なげなく勝利することが出来た。

 「相手の構成がバランスよく考えられているわね。」

 「さすがラスダンだぜ!」

 アンリさんもトシアキさんも無傷の勝利。

 「それでも問題はなさそうね。様子見なく最初から攻勢に出てもよさそう。」

 「そうだね、今のところ不安はないかな。」

 「余裕余裕ニャ!」

 まぁ、前衛二人がチートなんだからこうなってもしかたないね。うん。
 我ながら酷いと思うよ、うん。

 その後も戦闘は続いた、基本的にこの階層の敵はリビングアーマーのような敵が主体でたまに犬型のモンスターが追従していた。
 城の中の見回り的なコンセプトで作られているんだろう。
 城の作りこみもしっかりとされていて、装飾も素晴らしかったし、部屋に宝箱が置いてあったりRPGらしさも随所に散りばめられており探索の楽しみは尽きることがない。

 「と、いうかこれどこまで続くんだ?」

 かれこれ探索を初めて5時間、お昼すぎになっても上への階段が見当たらないため交代で昼食を取って休息を挟みながら探索を続けていた。

 「とりあえず、正面の扉以外は全部調べたのでここが怪しいですね。」

 「みんな準備は大丈夫?」

 アンリさんの発言に皆頷く。

 扉を開けると正面に階段、そして手前のスペースに今までの兵士よりも大型の両手に盾を持った兵士、弓兵2,両手剣2、槍2、犬型魔獣2。

 「この回のボスね、気をつけて行こう! ウーニャはいつも通り弓兵!」

 「行くニャ!」

 遠距離攻撃をされると後衛が危険になるのでセオリー通りそこを潰す。
 しかし、今回はウーニャも弓兵のもとへは行けなかった。
 盾兵が立ちはだかり進撃を止められてしまった。
 完全に盾兵がタンク役になり他の兵士が遊撃をするという、
 自分たちがやっていることを相手にやられる形になってしまう。

 「大丈夫、回復もちゃんとして、弓は風魔法で簡単には通させない!
 一体づつきちんと減らしてきましょう!」

 サオリの指示の下基本方針は決まった。

 「盾をきっちり抑えるからウーニャは素早い犬を!」

 俺は盾騎士に突っ込みながらウーニャに指示を出す。
 ウーニャと犬型魔獣は高速戦闘を繰り広げている、2体いてもなおウーニャが圧倒している。
 問題は盾騎士だ、両手に大型の盾を持ってそれを軽々と操る敵に攻撃を通すのは容易ではない。

 「刀じゃ分が悪い、ごめんサオリ急に変更するけど鈍器にする!」

 戦闘中にJob経験値を振ったりスキルを決めるのは危険が多いというサオリの助言から何パターンかすでに取ってある。
 今回はパイレーツ系のキャプテンが得意とする斧、槌だ。
 ミョルニルとダグダの棍棒の両手装備。
 打撃系武器は防御が高い的にも有効でその代わり手数が少ないのだけど、
 俺には関係ない。

 「おいっしょーー!! ハンマーフォール! まだまだー! ダブルインパクト!!」

 あっという間に押し込んでいく。
 横から牽制してきた両手剣一体と槍兵もついでのように叩き潰した。

 「負けてらんねー、魔法のクリエイトマーシー!」

 足元に魔法で沼を作り出すタカアキさん、それに足を取られた槍兵を叩き潰す。返すハンマーでさらに盾騎士に攻勢をかけていく。
 すでに片方の盾は原型をとどめていない、無理な体制でハンマーを盾で防ごうとする、

 「隙ありニャ! 疾風双爪!!」

 ウーニャの鋭い攻撃が腕を切り裂く、盾を持つ腕が盾と一緒に転がる。
 こうなったらあとは蹂躙である。

 前衛を失った弓兵は一瞬で駆逐されて、勝利である。

 「いてて、痛くはないけど久々の負傷だなぁ。」

 「すみません、後衛に攻撃が行ってしまいました。」

 「いやいや、しょうがないよってかこの程度で済むはずないからね普通。」

 「うん、今の敵は強かった。タカシとウーニャちゃんがいなかったらちょっと倒せないレベル。」

 「やりがいがあったニャ!」

 その部屋のボスを倒すと外に出る魔法の扉も同時に現れた。

 「この城はこういう作りなのね、確かに一階一階が濃いものね。」

 「うわ、もう7時か! 早いなー、今日はここまでだね。」

 「あー、お腹すいた。アンリーカレー食べたいー。」

 のんきな雰囲気ではあるけど、タカシとサオリは少し不安だった。
 圧倒的なタカシとウーニャがいてもなお苦戦と言っていい戦闘だった。
 それでも二人に迷いはなかった。
 自然と見つめ合い、頷いた。
 何があろうと、二人で戦っていくということを確かめるように。


 

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