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穴の空いた靴下

45章 心、重ねて

 激しい二日酔いに悩まされるサオリさんはこの世界での裏技を使うためにダンジョンへ来ている。
 この世界ダンジョン内でしか魔法や武技は使えないのである。
 通常モード、バトルモードはあくまでも身体能力だけのコントロールで、
 技系は町中では使用できない。
 回復魔法とか状態異常の回復はダンジョン内でしか使えない。
 なので体調不良の場合ダンジョンへ行き、回復魔法や解毒、状態異常回復魔法をかけて撤退する。
 この世界の小技であった。

 「ま、このせいでついつい深酒する人が増えちゃうわけで……」

 「おかげで助かったから、ありがたいんだけどね、あんなに飲むつもりなかったのに……」

 「サオリ様は楽しくなってくると止まらなくなるニャ♪」

 「反省します……」

 「少し酔ったサオリは可愛いからたまにならいいんじゃない? 
 あとは量の問題でしょ。」

 「みんなでワイワイしてると楽しくなっちゃうニャ! しょうが無いニャ!」

 サオリはタカシに可愛いと言われてさらに真っ赤になってしまったのである。


 塔攻略という大仕事を終えたので、数日休暇を取ることになった。
 英気を養い、また攻略に望んだほうが効率がいいだろうという訳だ。
 たしかに少しの休憩はしているもののかなり過密なスケジュールで攻略を続けているので、それに慣れている俺はあんまり気にならないけどサオリは女の子だからな。
 それに、少しデートしたい。これは心からの本音だ。

 「こないだ相談した泳ぎ教えてもらってもいい?」

 「もちろんだよ! 実はプールも前の小型じゃなくて大型のに変更したんだ!」

 「へー、楽しみ! タカシってあんまり領土いじらないよね?」

 「サオリさんのとこみたいにあんなに綺麗にしたりってのはやらないなぁ。」

 「うちはうちでちょっと実用性より景観重視だからね、タカシのとこのプールサイドはすごい好きだよ。」


 俺の領土はイメージとしては4分の1くらいの巨大なプール、50m×6コースくらい、そこにスライダーのような施設と温度の高めな露天風呂のような温水プール、プールサイドには広めに取られたテーブルと椅子、リクライニングが出来るチェ、あとはハンモックもいくつか並んでいる。周囲も生け垣で軽く囲んで木々による装飾もしている。
 高級なホテルのプールサイド、それにしてはプールが大きいが、のような景観を作り出している。

 「前よりすごく楽しそうになってるニャ!」

 ウーニャは猫だけど別に水を怖がることなんてなかった、ウーニャは最強らしい。

 「前よりプールサイドが凄いね、まわりも綺麗だし。見なおした!」

 「ありがたき幸せ」

 「これならたくさん人が来ても大丈夫ね、ヒマワリちゃんとか呼んでプールサイドでバーベキューとかしたら楽しそう!」

 「そうだね、なんなら連絡する?」

 「宴ニャ!」

 ノリノリである。


 結局ダイチさんたちとトシアキさんたちを呼んで、プールで遊んでバーベキューもやることになった。みんなノリノリだった。

 「最高だねこの環境、元の世界じゃ絶対に味わえない!」

 特にトシアキさんはお気に入り、泳いだり焼いたり滅茶苦茶楽しんでいた。

 「うちの領土にも作りたいけど、コスト高いからなーここにあるのどれも……」

 俺はゼーニの力で好き放題やってるからねー。

 「しかし、サオリちゃんは凶器だねあれ。」

 女性陣のビーチバレーを横目にトシアキさんは冷静に分析している。
 普通に考えて年頃の女性三名が水着で楽しそうに遊んでいる。
 オトコとしてはどうしても、そういう感想が出てしまう。

 「3人共、冷静に考えると滅茶苦茶きれいですよね……」

 「俺もこの世界に来なかったら、あんな子と付き合えるはずなかったな。」

 「ダイチさんとトシアキさんは元の世界でもモテそうじゃないですかー、俺なんて……」

 この天然系主人公野郎は……ダイチとトシアキは同じ思いであった。

 「まぁ、それにしてもそろそろサオリちゃんを待たせるのもいい加減にした方がいいと思うぞー」

 「ああ、ヒマワリもそう言っていたぞ。もうプロポーズまでしたんだ、操をたてるのも偉いとは思うけど、サオリちゃんも少し寂しいと思うぞ。」

 「な、なんで二人して……いや、お、俺そういうこと経験なくて……」

 「誰だって、初めてはあるもんだ。いいじゃないか、ゆっくりでも、ただあんまり手を出さないと私に興味が無いんじゃないか? とか、私に魅力がないんじゃないか? ッて思うもんだ。」

 「そ、そういうものなんですか……」

 「だいたい、タカシはサオリちゃんのアピールを見事にスルーしすぎていい加減傍から見てると胃が痛いんだぞ。大丈夫サオリちゃんは君のこと大好きだから行っちゃえ!」

 「……(カオマッカー)」

 「ま、アンリも心配してるし、仲良くすればいいさ!」

 「ほら、女性陣も帰ってきたし、楽しもう!」

 その後、アテテンノヨ作戦やアーン作戦を受けたタカシは今更ながら耳まで真っ赤になりながらアタフタして他のカップルから笑われることになった。

 「あ~楽しかった~~またやろ~ね~~!」

 「また招待してね」

 「頑張れよタカシ!」

 「今度飲みいこうな!(ワカッテルヨナ)」

 夕方にみんないい気持ちで帰宅していった。そして残された二人と一匹。

 「そしたらウーニャも兄弟のとこ帰るニャ! 明日もお休みだったら兄弟と遊んで過ごすニャ!」

 そして空気の読めるウーニャであった。


 残された二人はプールサイドでゆったりとした時間を過ごしていた。
 外も少し薄暗くなってサオリもタカシも水着からは着替えていた。

 「楽しかったねー!」

 「ほんとに、こんなに楽しい時間が過ごせるなんて、この世界に感謝しちゃう。」

 「俺も、サオリと出会えただけでもこの世界に頭が上がりません。」

 「タカシ……」

 「なんか俺鈍いからそういうこと気がまわらないけど、サオリのこと魅力がないとか好きじゃないとかそういうことは全然ないし、すごい好きだし、その、すごく魅力的だと思ってるから、我慢するの大変なんだよ?」

 「……よかった」

 タカシの言葉に耳まで真っ赤になりながらサオリは心から安心していた。

 「そもそも! み、魅力ないわけ無いじゃん! サオリすげー可愛いし!
 その、スタイルもすごくよくて! な、なんで俺なんかでいいのか不安になったりするし!」

 「私だって、すごい不安だった……でも、嬉しい。タカシがそう思ってくれているのがわかって。」

 「そ、そのさ……き、今日……と、泊まってかない?」

 「!!……うん。」

 二人は静かにお互いの存在を確かめるように抱きしめ、
 愛しさを隠すことなく口づけを交わし、
 ゆっくりとその瞬間を永遠に続けたくなるように大事に心を重ねた。
 タカシはサオリを誰よりも愛して優しく、
 サオリはタカシの気持ちと行為に身も心も融解トケテしていった……

 二人の気持ちが本当の意味で分かり合えた。
 二人の先にどんな困難が待ち受けているか誰にも分からないが、
 今日この瞬間は二人にとって幸せに満ち溢れた時になった。

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