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穴の空いた靴下

おまけ5 絶対神レポート

 タカシたちがすさまじいスピードで攻略を進めていると同時にこの世界ではダンジョン攻略が活発になっていった。
 理由は一部の人たちがタカシたちと一緒にパワーレベリングのような形でレベルを上げ、その人たちが中心となってダンジョン攻略が楽になり、
 その結果全体としての攻略効率が上がっていたのであった。
 ダンジョンを攻略していくと様々なアイテムやゼーニを手に入れるため、
 ショッピングや領地や家の開発、食事や酒などいろいろな欲求を満たすことができた。
 この世界に生きている人々は、健全(?)な運動と、満たされる物欲や食欲のおかげで健全な精神が宿っていったのだ。
 多少の本人の資質もシステム補助という神の奇跡ベンリナコトバによって埋められ、自分が冒険者として戦えるという自信は人々を変えていった。
 どうしても戦いというものになじめない人間も、生産系の仕事で経験を得ることができたし、持ち込まれる素材も素晴らしいためレベルを上げる速度は彼らを生産にのめりこませるに十分であった。

 このような好循環によって、この世界の人々は驚くほどに【いい人】だらけであった。
 実際の背景には絶対神トリオによるバグ除外、ある程度の善因子を持つ者の選別というチートは介入していた。また、いわゆる犯罪のような行為はNPCによって厳格に取り締まられるからという現実的な理由もある。

 その状況に疑問を持つ者も少なくはなかった。
 タカシが言った、生きているんじゃなくて生かされている。
 その言葉は何人かの人間に自分の持つモヤモヤを言い当てられたような衝撃であった。
 誰かについて行って、適度に適当に攻略をしていた者たちも、
 自分自身の手で切り開いて進みたい、生かされるんじゃなくて生きたい!
 そういう風潮が勇者たちの間で広がっていった。
 そうなると、やはり、男女間の恋愛というものも活性化していく。
 男女が生活していれば至極当然にそういう感情は生まれ、
 そして戦いという非日常の中でお互いにそういう気持ちになることは珍しくなかった。
 タカシとサオリという青臭くそれでいてちょっとうらやましくもあるカップルとそのなれそめは勇者であれば一度は聞いたことがある、それもいい方向へ働いていたのだ。
 同時にこの世界の大きな大きな問題も皆の知るところになる。
 子をなせないのである。
 肉体的な老化がない、必然的に子をなせないのである。
 自分の愛する人と一緒にいて、一部の人間は子供がほしいと思う人も出てくる、しかし、この世界にいる以上絶対に望むことができなかった。
 この世界は異常なんだなと強く思う瞬間であった。
 種として滅びることはない。しかし、増えることもない。
 変化がないのだ。
 変化がないことは生きているというのだろうか、
 限りある生命だからこそ輝けるんじゃないのか?
 そういう一派はより積極的に攻略を進め、全体としての活性化の手助けとなっていた。

 今のところ、この世界は変化に向けていい循環で回っているといっていいだろう。

 タカシの求めるであろう条件を満たすための準備は今のうちからよく話し合って進めておこうと思う。
 愛する子供たちの明るい未来のために。

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