ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)

手頃羊

その4・Please call me by my last name

[クロノ]
リースに来る前にいた町、アリアンテにある「ラフ」というギルドから来た以前の仲間をリースの仲間に紹介し、どういう経緯でリースに来たかを説明する。
クロノ「と、いうわけだ。」
サクラ「異世…界…」
ジュリ「本当なんです…?」
クロノ「まぁ異世界うんぬんは信じないにしてもアリアンテで起きた事件に関しては本当だ。」
サクラ「はぁ…」
まぁ、信じられないだろう。
それも大事な話だが…
クロノ「高坂さんは…」
高坂「はい!」
クロノ「俺が何て言ってるか分かってるってこと?」
高坂「はい!ハゼットさんに魔法をかけてもらって…」
つまり高坂さんはもうこちら側の人間になってしまったと。
高坂「でも魔力?を持ってるわけではないので、皆さんのように戦ったりはできないんですけど…」
クロノ「いやむしろ高坂さんはこっち側に来ちゃダメだ。また向こうに帰れるチャンスがあった時にダメだろう?」
高坂「でもその時はクロノさんも一緒じゃないとダメです!」
クロノ「頑固だなぁ…」
何がそこまで駆り立てるのか…
クロノ「それで、こんな所までどしたの?」
シーラ「あぁ、はい。えーとですね…とりあえず、クロノさんが去ってからここまでに起きたことを順番に説明します。まず、ハゼットさんがアリアンテの新しい町長になりました。」
クロノ「へぇ!ハゼットが!」
シーラ「町の人からの推薦、といった感じでしたね。ハゼットさんですから良い町長になってくれるのではないか、ということで。」
クロノ「ってことは、上手いこと信頼は取り戻せてたってことか。」
シーラ「はい…。それでクロノさんのことなんですが…その…クロノさんに対する誤解は解けぬままで…」
クロノ「まぁ、あんくらいのこと言ってりゃあな。」
シーラ「それだけでなく、異世界の存在を公に知らせることができないからです。この事件の真相を話したら、クロノさんが異世界から来たということも伝えなくてはいけませんし…」
クロノ「異世界なんざ信じちゃもらえないだろうし、信じたとしてもまた変な奴が事件起こす可能性だってあるしな。」
シーラ「はい…すみません…」
クロノ「シーラが謝ることじゃない。悪いのはカイズだし、カイズはもうどっか変な世界だ。もう終わったことだからいいんだよ。」
といって、シーラが自分を責めようとするのはやめないだろうが。
クロノ「それで?」
シーラ「あ、はい。それから私がクロノさんの居場所を掴んで、クロウさんに手紙を送りました。1人で活動しているようだから、何か支援をしてもらえないかと。」
クロノ「その支援がこの2人だと。」
サクラ「そうだったんですか…」
クロノ「知らなかったの?」
ジュリ「クロウさんにリースに行ってクロノって人のとこで働いてきてとしか言われなくて…」
説明サボんじゃねーよサボリ魔め。
シーラ「それでここからが本題です。そのお手紙を送った後なんですが、マキノさんが闇にかかってしまったんです。」
クロノ「マキノが⁉︎」
シーラ「はい。ハゼットさんは町長としてのお仕事で忙しく、フレアさんやターニアさん達が対処に当たったのですが…」
クロノ「ですが?」
シーラ「マキノさんが逃げてしまって…」
クロノ「行方不明ってか?」
シーラ「いえ、目撃情報はあります。マキノさんの服はこちらの世界ではない服なので目立ちますから。」
あの人の白衣は自分の世界からたまたまこちら側に落ちてきた科学者御用達の白衣だからなぁ…。
クロノ「フレア達は?」
シーラ「全員負傷です。酷い怪我とかはしてないんですが、満足な戦闘ができるかと言われれば…という感じで…」
クロノ「んで、俺のとこに来たと。」
シーラ「はい…ご迷惑でなければ、手伝ってもらえないかと…」
クロノ「あぁ、任せろ。何かヒントはないか?」
シーラ「ヒント…ですか?」
クロノ「目撃情報もそうだが…例えば、闇にかかった状態のマキノが何か言ってたとか…」
シーラ「何か…レオはフレアと一緒に戦ってたよね…」
レオ「うん、確か…新しいことが知りたいとか…みんなに合わせる顔がないとかも…」
クロノ「…ふむ…なんとなく予想はできそうだな…」
レオ「予想ってなんの?」
クロノ「なんで逃げたか、のだ。闇にかかりながらも逃げたってことは何か理由があるはずだ。おそらくだが、新しいことが知りたいってのは、マキノの闇の本心なんだろう。あいつは根っからの科学者だったからな。みんなに合わせる顔がないってのは、その新しいことを求めたがゆえに…今回の事件の異世界との門とかのこととかだろうが、その為にみんなに迷惑をかけてしまったことへの後ろめたさだろう。俺に対してだけでなく、みんなに対しても。すぐに誤解が解けたとはいえ、ラフのみんなにひどいことをしたと考えたんだろう。」
シーラ「だったら…すぐに見つけないと!」
クロノ「そうだな、だが…とりあえず明日…それか明後日くらいまで待ってほしい。今ちょっと用事が重なっててな。」
盗賊との取り引きの話をする。
シーラ「なるほど…分かりました。じゃあその間に、もう少し正確な情報を集めてきます。」
クロノ「レオと高坂さんは?」
レオ「僕もしばらくここにいていい?」
クロノ「あぁ、構わない。それから…」
高坂「私は…その、こっちにいさせてもらっていいですか!マキノさんのことが終わった後も…」
クロノ「終わった後?」
高坂「その…クロノさんと一緒の方が安心できますし…」
クロノ「あぁそうか。ある意味1人ぼっちみたいなもんか。俺はいいが、ハゼットには言ったのか?」
高坂「むしろハゼットさんからの提案です。」
クロノ「気がきくな、あいつは。」
高坂「あと…その…」
クロノ「どした…?」
自分の顔ではなく、胸の辺りを見ながらもじもじしている。
高坂「クロノさんは皆さんのこと…名前呼び…してます…よね…」
クロノ「あぁ…確かに…苗字で呼んでる人はそんないないな…」
高坂「ですから…私のことも…名前で…その…呼び捨てで…呼んでほしいな…みたいな…」
シーラ「⁉︎」
レオ「⁉︎」
名前…?
クロノ「えっと…凛子りんこ…?」
リンコ「ひゃい‼︎」
クロノ「照れるくらいなら呼ばせんなよ…こっちが照れるだろ…」
リンコ「すすすみません‼︎」

サクラ「置いてけぼり…」
ジュリ「見てるこっちが1番恥ずかしいっての…」

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品