ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)

手頃羊

その3・Way

[クロノ]
一度、リースに帰ってくる。
サクラとジュリ、マリアとレオリーは依頼の為、いない。
キキョウ「お主…お主と言う奴は…」
クロノ「いやホント…不可抗力だって…」
またもや、キキョウに呆れられる。
自分でも呆れてしまうくらいなのだから、周りの人間からしたらそれはもう呆れるだろう。
リンコ「なんかもうアレですね。そういう運勢の神様に好かれてるんですよ。」
キキョウ「レキュリエテの騎士様みたいにか?」
クロノ「待てよ、それ冗談じゃないって。」
キキョウ「冗談じゃなかったりしてのぅ。」
ミーア「ざまあみろ。」
なぜかミーアからもいじられる。
ここ最近、ミーアまでも自分のいじりに加わるようになってきている。
おそらく、ここの女性陣にミーアの生活を任せているからだろう。
リンコ「でもちゃんと助けるんでしょう?」
クロノ「当たり前よ。」
ルカ「それでまた変な人仲間にするんでしょ?」
クロノ「いや違うルカ。そうじゃないんだよ。」
ルカ「何が?」
クロノ「この世に変じゃない人なんていないんだよ。みんな何かしら他の奴とは違うんだ。自分から見たら他人なんて違うんだ。変わってないわけがないだろう?それでいうと、この世に変人じゃない奴なんて1人もいないんだ。なぁ?リミ。」
リミに振ってみるが、ジト目で返される。
ルカ「変な人じゃん。連れてくるんじゃん。」
クロノ「いや、あいつらが世の人の言う変人だとは限らんぞ?」
キキョウ「他所の大陸のお姫様にその従者、か…」
当然、キキョウの知らない土地であった。
キキョウ「是非とも、会って話をしてみたいものだな。」
キキョウはこういう新しいことと言うのを聞くと知りたくなる性格である。
だからこそ情報屋が務まるのかもしれない。
クロノ「なんだったらみんなで行ってみるか?」
リンコ「私は残ってますね。誰かここに残らないといけないし。」
ルカ「私も…。キキョウから聞いた方が信用できるし。」
ミーア「みぎにおなじく。」
リンコが唯一の癒しに思える瞬間である。
キキョウ「仕方ない。なら行くぞ。」


クロノ「というわけなんだが…」
カンザー「お主がキキョウか。」
アウストールにまた戻り、カンザーと会う。
カンザー「噂には聞いておるぞ。姿を消したと思ったらクロノの所にいたのか。」
キキョウ「ふふふ、こんなイカれた奴の所に行って大丈夫かと思ったが、案外何ともなくて安心したでの。」
クロノ「さりげなく初対面の人相手に俺をディスるのやめない?」
カンザー「実はな、もう1人の起きていなかった方も目を覚ましたんじゃよ。」
クロノ「マジで?」
カンザー「うむ。じゃから話を聞きに行こうと思っておっての。」
クロノ「ちょうど良いタイミングだな。行こう。」


診療所内、カステロの病室。
もう1人いた従者の方も起きていた。
クロノ「あらお目覚め。」
従者「王女様、この方達は…?」
カステロ「私達を助けてくださった方々よ。」
従者「そうなのですか⁉︎あっ!」
ベッドから起きようとするが、バランスを崩してベッドから落ちてしまう。
カステロ「マール!大丈夫⁉︎」
クロノ「おいおい、落ち着けって。」
肩を貸してベッドに戻す。
マール「申し訳ございません…」
クロノ「名前は姫様から聞いてるぞ。マールだったか。俺はカミヅキ・クロノだ。こっちがカンザー、んでもう1人がキキョウ。」
マール「クロノ様…ですか。」
クロノ「あぁ、様なんて別にいいよ。」
マール「マール・ロンシャスと言います。」
クロノ「マールさん、ね。それじゃあもうちょい詳しく話を聞こうか。」


大体は以前カステロと話した時の確認。
そして改めてリディアに戻る方法を探そうということになった。
マール「アテはあるんですよね?」
クロノ「あるにはあるが、聞いてみないと分からん。あいつにだって出来ない事くらいあるだろうしな。」
カステロ「他所の大陸に行ける船か…」
カンザー「うちの港の船だと行けんことはないな。じゃが船員の体力のこともあるし、何より魔獣じゃ。」
マール「リディアの船も出来るかもしれませんが、そんな恐ろしい生物がいるとなると話は別ですね。」
海の上で魔獣と対峙するというのは非常に不利である。
海は魔獣の独壇場な上にどこから来るか分からない。
更に逃げることもできない。
カステロ「クロノ様のお知り合いというのは、どのような方なのですか?」
クロノ「研究者だな。かなり腕のいい。いや、頭のいい、か。」
カステロ「その方なら、海を越えることができるのでしょうか?」
クロノ「さぁな。聞かないと分からん。」
キキョウ「では行ってみるとするか?」
クロノ「そうだな。んじゃあちょっくら行ってくるわ。カンザーさん、あとよろしく。」
カンザー「うむ。」
カンザーを病室においてマキノの研究所へ向かう。


メイ「そういう事情でしたか。」
研究所で働く女性型戦闘兼雑務アンドロイド、メイに説明する。
メイ「さすがはクロノさんですね。そんな依頼まで受けるとは。」
クロノ「だろ?」
サシュ「でも海の向こうなんて行けるの…?」
メイの後ろで恥ずかしがりのゾンビ娘が言う。
クロノ「それをマキノに聞きに来たのさ。」
マキノ「話は聞かせてもらったぞ。」
クロノ「あのさぁ…毎回俺の後ろから現れるのはわざとなの?」
後ろから耳元で言われる。
毎回心臓が痛くなるほどびっくりする。
マキノ「海の向こう、か。」
クロノ「できそう?」
マキノ「どうだろうな。船をただデカくすればいいというわけでもない。」
耐久面はいいとしても、やはり魔獣の問題がある。
いつぞやのクラーケンのような魔獣が現れないと決まったわけではない。
キキョウ「海の上を行くのは難しい、か。」
マキノ「海の向こうなのだろう?無理に近いな。」
陸続きではない、海もダメ。
なら、もう1つ選択肢がある。
クロノ「空は?」
マキノ「空?」
クロノ「空。」
マキノ「何をバカな…」
呆れたように言うが、
マキノ「いや、待てよ?」
クロノ「船をさ、そのまま空に飛ばすんだよ。ほら、メイだって空飛べるじゃん。それをうま〜く応用してさ。」
メイ「いつだったかにクロノさんを背負って長距離飛行をしましたね。」
メイに背負われた状態で上空数百メートルを飛んだことがある。
マキノ「理論上は…できないことはないな…メイは人型だから人型なりの大きさの魔術回路と変換器で魔法や飛行を行える。巨大な船だったらそれに合った大きさの物を用意すればいけるはずだ。」
キキョウ「じゃあそれを使って…」
マキノ「そこが問題なんだ。」
クロノ「問題?」
マキノ「持ってないんだ。そんな大それた物は。」
そりゃあ内陸に住んでるのに船の部品を持ってるわけがない。
マキノ「それに、他の町がそんな変換器やらを持ってるだなんて話も聞いたことがない。」
クロノ「作るっていうのは…」
マキノ「早くても5年はかかるな。数十人で作業して。」
クロノ「マジか…」
5年も経ったら、結構手遅れだろう。
全員で落ち込んでいると、
女「アテならありますよ。」
入り口の方から声がした。
振り返るとそこにいたのは、
クロノ「シーラちゃん?」
シーラ「お久しぶりです!クロノさん!」
ラフ専属の情報屋シーラだった。
前に命を助けてから協力してくれるようになった情報屋だが、ラフを離れてからは会わなくなった。
シーラ「なんで顔出してくれないんですか⁉︎」
クロノ「あぁいや、うん…」
キキョウ「手が広いのぅ、お主。」
クロノ「阿呆、そんなんとちゃうわ。」
キキョウに茶々を入れられる。
シーラ「あっ、キキョウさんですね?私、シーラ・カステインと言います。」
キキョウ「シナノ・キキョウじゃ。そんなにかしこまらんでもいい。お主のことは聞いておるぞ。よくもまぁ半年もクロノを守れたな。」
シーラ「いえそんな…」
ちょろいくらいに照れる。
悪者として名が知れていたアリアンテの町から自分のことが、他の町やらに伝わらないように情報を操作し続けていた。
キキョウ「羨ましい力よのぅ。」
シーラ「そんなキキョウさんに比べれば…」
キキョウ「ワシのはただの人海戦術じゃて。個々の能力は大したことない。」
クロノ「お二人さん、ちょとよろしいスか?」
どこまでも脱線し続けるので無理矢理戻す。
シーラ「あぁ、そうでした!」
クロノ「アテがあるって?そのデカイ部品とやらに。」
シーラ「正確には、知ってる人を知ってる、ってことなんですけどね。」
クロノ「そうか、なら案内してくれ。」
シーラ「お任せください!」
クロノ「それじゃあ行ってくる。キキョウは、一旦アウストールに行ってカンザーに伝えといてくれ。」
キキョウ「うむ。」

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