乙女よ。その扉を開け
精神崩壊借り物競争と紫の国語力が皆無な件
「あ、始まる」
第一試合はしんが出て、雛子は第三試合目だ。
「借り物も普通に借りて走るだけですか?」
「あれを普通と言うのなら普通だけど」
「?」
『位置について』
ピストルが鳴ってスタートした。
一コースずつ一枚紙があって殆ど一斉に手に取った。
「さあて地獄が始まるよ」
「どういう意味?」
『始まりました精神崩壊借り物競争!』
「精神?」
「題が鬼畜すぎるんだ」
誰かから借りてきた下着。八から十二の少女。
校長の髪――禿頭のため、髪を抜くのも躊躇われるのだ――一般的に持ってくることが確実に辛いものしか無いのだ。
「またどうして」
「だってタオルとかじゃつまんないでしょ」
ここの学校は面白さ重視なのだろうか。
「しんは何になったのかな」
あわあわしている他のコースの間で紙を見つめている。
フリーズする程難しいのだろうか。と思っていたらこちらに走ってきた。
「あさいる?」
「私?」
あさがしんの持っている紙を見て何やら納得した。
「俺は大分運が良かったらしいね」
――真由美と合流した里奈は一緒に競技を見ていた。
「相変わらずこれ面白いわね。午前の半分以上これに費やしてるじゃない」
「鬼畜すぎると思うんだけど」
入院しているひよの所に行っていたはずだが真由美はこの競技が大好きらしく、阿修羅の力を使って瞬間移動したらしい。
「あ、しんが最初」
「あさ?」
見慣れていないせいで一瞬目を疑ったがあの軽く黒が混じったようなブロンドヘアに浅葱色の猫目。
『お題はなんでしょう』
係の人がしんの持っていた紙を受け取る。
『金髪に青い目の女性』
遠目から見れば浅葱色も青色だ。
『合格です。一位赤組』
しんはほっと胸を撫でた。
「一応私敵なんだけどなぁ」
「ありがとうあさ」
あさも敵味方関係無くついてきてくれた為しんは一位になれた。
というか最近は腹を括ったのか何かが吹っ切れたのか金髪を見せても平気になっている。
その後も――精神が崩壊しながらも――全員お題を持ってきた。
「やっと一レース」
「因みに三十分かかってます」
飽きてきたあやと紫は誰も見ていない所で蜘蛛と遊んでいた。やはり少しずつ大きくなっている。
二レース目はタフな人が多かったのか半分の時間で終わった。
そして三レース目。
「あ、ひなみだよくーちゃん」
バッグを持ち上げると蜘蛛は応援するように前足を上げ下げし始めた。
『よーい』
ピストルが鳴り、先の通り一斉に紙を取る。
『最後は一味違うお題です! さあ最初にゴールするのは誰だ!?』
「ノリノリ」
「じゃなきゃ放送部なんてやってられないでしょ」
ノリノリと言うのを又はヤケクソと呼ぶ。
相変わらず狼狽している中で冷静に雛子はこちらへ来る。
「紫。おいで」
「何だったの?」
「良いから」
紫の手首を引っ張って係の元へ連れていく。
『お題は……』
係の人は絶句していた。
次いで紫と雛子を交互に見る。
『えっと、お題は……妾にしたい人?』
妾の意味をご存知だろうか。
頭の良い雛子が分からないはずが無いが――
「ねえひなみ。めかけって何?」
『妾というのは愛じ』
雛子が係の口を鷲掴むように封じる。
「?」
「紫。妾って言うのは幼馴染みのことだよ」
「へえ〜そうなんだ」
「疑えゆか」
国語ができない紫を雛子は手玉に取ったのだろう。
里奈は爆笑する真由美の横で顔をしかめながら溜息を吐いた。
そして雛子が変える意志を見せない為、渋々係も合格にした。
「ゆかには徹底的に国語を教えないと」
「うん」
呆気に取られ過ぎてあや達は気づかなかった。
落ちた紫のバッグから蜘蛛が消えたことを。
第一試合はしんが出て、雛子は第三試合目だ。
「借り物も普通に借りて走るだけですか?」
「あれを普通と言うのなら普通だけど」
「?」
『位置について』
ピストルが鳴ってスタートした。
一コースずつ一枚紙があって殆ど一斉に手に取った。
「さあて地獄が始まるよ」
「どういう意味?」
『始まりました精神崩壊借り物競争!』
「精神?」
「題が鬼畜すぎるんだ」
誰かから借りてきた下着。八から十二の少女。
校長の髪――禿頭のため、髪を抜くのも躊躇われるのだ――一般的に持ってくることが確実に辛いものしか無いのだ。
「またどうして」
「だってタオルとかじゃつまんないでしょ」
ここの学校は面白さ重視なのだろうか。
「しんは何になったのかな」
あわあわしている他のコースの間で紙を見つめている。
フリーズする程難しいのだろうか。と思っていたらこちらに走ってきた。
「あさいる?」
「私?」
あさがしんの持っている紙を見て何やら納得した。
「俺は大分運が良かったらしいね」
――真由美と合流した里奈は一緒に競技を見ていた。
「相変わらずこれ面白いわね。午前の半分以上これに費やしてるじゃない」
「鬼畜すぎると思うんだけど」
入院しているひよの所に行っていたはずだが真由美はこの競技が大好きらしく、阿修羅の力を使って瞬間移動したらしい。
「あ、しんが最初」
「あさ?」
見慣れていないせいで一瞬目を疑ったがあの軽く黒が混じったようなブロンドヘアに浅葱色の猫目。
『お題はなんでしょう』
係の人がしんの持っていた紙を受け取る。
『金髪に青い目の女性』
遠目から見れば浅葱色も青色だ。
『合格です。一位赤組』
しんはほっと胸を撫でた。
「一応私敵なんだけどなぁ」
「ありがとうあさ」
あさも敵味方関係無くついてきてくれた為しんは一位になれた。
というか最近は腹を括ったのか何かが吹っ切れたのか金髪を見せても平気になっている。
その後も――精神が崩壊しながらも――全員お題を持ってきた。
「やっと一レース」
「因みに三十分かかってます」
飽きてきたあやと紫は誰も見ていない所で蜘蛛と遊んでいた。やはり少しずつ大きくなっている。
二レース目はタフな人が多かったのか半分の時間で終わった。
そして三レース目。
「あ、ひなみだよくーちゃん」
バッグを持ち上げると蜘蛛は応援するように前足を上げ下げし始めた。
『よーい』
ピストルが鳴り、先の通り一斉に紙を取る。
『最後は一味違うお題です! さあ最初にゴールするのは誰だ!?』
「ノリノリ」
「じゃなきゃ放送部なんてやってられないでしょ」
ノリノリと言うのを又はヤケクソと呼ぶ。
相変わらず狼狽している中で冷静に雛子はこちらへ来る。
「紫。おいで」
「何だったの?」
「良いから」
紫の手首を引っ張って係の元へ連れていく。
『お題は……』
係の人は絶句していた。
次いで紫と雛子を交互に見る。
『えっと、お題は……妾にしたい人?』
妾の意味をご存知だろうか。
頭の良い雛子が分からないはずが無いが――
「ねえひなみ。めかけって何?」
『妾というのは愛じ』
雛子が係の口を鷲掴むように封じる。
「?」
「紫。妾って言うのは幼馴染みのことだよ」
「へえ〜そうなんだ」
「疑えゆか」
国語ができない紫を雛子は手玉に取ったのだろう。
里奈は爆笑する真由美の横で顔をしかめながら溜息を吐いた。
そして雛子が変える意志を見せない為、渋々係も合格にした。
「ゆかには徹底的に国語を教えないと」
「うん」
呆気に取られ過ぎてあや達は気づかなかった。
落ちた紫のバッグから蜘蛛が消えたことを。
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