東方狐著聞集

稜さん@なろう)

百十五尾 隠然たるモノ

妖夢が戦っている間に先に進んだ魔理沙とラグナは扉のような場所のまえにきていた。

「なんじゃこりゃ。どうやってあけるんだ?」

 「魔理沙、どうやら敵が現れたようだ」

  私が手を指した場所に一人の少女が浮かんで居た。

「ああ、ついにこの日が来たのか。我が復活を祝福するものよ、何者ぞ」
  私たちの目の前に白い少女がどや顔で立っていた。
だが、ただの少女ではないようだ。その少女から発せられる霊力の量が物語っていた。

 「祝福なんてしてないが、普通の狐だ」

「それと、普通の魔法使いだぜ」

「ふむ、我が名は物部布都。我が復活したということは太子様の復活を拒む者が現れた。ということだな?」

 「そうなのか。よくわからんが」

「そうに決まっておる。私はこの霊廟を護るために眠っていたのだからな」

   「そうなのか? よーわからんが、ところでラグナ。ここは宝の匂いがプンプンするぜ?」

「そうなのか?」

  すんすんとあたりの匂い嗅ぐがなんの匂いもしない、もしかして魔理沙は鼻が妖怪以上にいいのか?

「むっ! 馬脚を露したな。我が復活したのはお前らのような盗堀家から護るためだろう! 物部の秘術と道教の融合その身に刻みつけてやろう!  それとそこのお主、いつまで鼻を鳴らしてるんだ!」

   私と魔理沙を囲むように皿のようなものが放たれた。 その皿は空中で停止すると何をするでもなくただ浮いている。

「魔理沙、私は傍観に徹するが、手助けは必要か?」

「まさか、そんなもんいらんよ。ラグナはそこらへんでお茶でも飲んでてくれ!」

   「なんだ、そこの白黒が相手か。まあよい、では参るぞ!  風符『三輪の皿嵐』」

  ふわふわと浮いていた皿に突如竜巻が起きた。 

「なんだ、ただの竜巻か。慌てさせやがって! 恋符『マスタースパーク』」

  魔理沙の放った極大レーザーに飲み込まれた布都は地面に落ちていった。

 「……弱過ぎないか?」

「くっ! お主、鍛えておるな」

  這いつくばったまま悔しそうに魔理沙を見上げる布都に魔理沙は

「健康のために鍛えてるが」

「そうか、復活したてで、まだ力がうまく使えないな、これなら負けてもしょうがない。そうだしょうがない」

「清々しいほどの言い訳だな。まぁ、嫌いではないが……それじゃあ、ここを調べさせてもらうぜ」

「いや、ちょっと待って。……む、おぬしの周りを漂っているのは……低俗霊か!?  これはまさか、太子様が復活なされているのだな!  こうしてはおられまい。失礼するぞ」

  そういうと、布都はものすごい勢いで行ってしまった。

「私たちも進もうか」

 「霊夢達を待たないのか?……いや、待つ必要はなかったみたいだ。急いで行こう」

  どうやら魔理沙も気がついたようだ。布都の走り去っていた方向に巨大な霊力が発生していることに。

「それじゃあ、行こうか。魔理沙」

「あぁ、そうだな」

  そして、私たちはのんびり歩いて異変の黒幕のいるであろう場所に向かった。

つづく

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