東方狐著聞集

稜さん@なろう)

九十九尾 狐と白髪おかっぱ少女

 無限に続くと思わせる階段の前で狐ことラグナは憂鬱そうに溜息を吐いた。 

 「ここはどこなんだ?」

 ラグナがいつも通り神社で朝食を済ませていると床が抜け今いる場所に飛び出たのだ。 犯人はだいたいわかっているのだが自分がいる場所がわかっていないため迂闊に動けないというわけだ。


 「紫は後で叩くとして……登らないとだめみたいだな。行ってみるか」

 そう言うとラグナは先の見えない階段を上り始めた。
 


 狐移動中……



上り始めて三十分くらいがたっただろうか。ラグナの前に二つの刀を携えた白髪おかっぱ頭の少女が現れた。
ラグナはその少女はどこかで見た顔だなと思っているとその少女は持っていた二つの刀のうち長い刀を抜き構えをとった。

「なぜ、刀を抜くんだ?」
「黙りなさい侵入者。あなたのような生きた妖怪がここ、冥界に何の用ですか?」
「その刀を仕舞ってくれたら話してもいいが……仕舞う気はないんだろ?」
「当たり前です。あなたが善か悪かは切ればわかりますしね」

 刀の刃がぶれおかっぱ頭の少女がラグナの目の前から消える。
 ラグナが咄嗟に伏せると先ほどまで首があった位置に剣筋が走った。

「あ、危ないな。さて、攻撃するということはされても文句は言えないということだ。霊装【霊剣】」

 スペルカードのような札に霊力を込めると札は西洋の剣のような形に変化した。その剣を二、三回振るとおかっぱ頭の少女に向けた。

「奇妙な剣ですね。西洋の剣もたくさんありますがあなたの持っているような剣は見たことがありません」

 おかっぱ頭の少女が驚くことも無理もないラグナの持っている剣はヤタガンという古代のある帝国で使われていた武器だからだ。

「まぁ、私も武器マニアだからな。いろいろ集めては霊力を纏わせて複製を作ったもんだよ」
「そうですか。いざ!」
 
 おかっぱ頭の少女は再度構え直し先ほどと同じように斬りこんだ。


「甘いな。ハァ!!」
「ッツ! 止めますか……ならこれなら」
 
  おかっぱ頭の少女は一旦距離をとると使っていなかった短い方の刀を抜き独特な構えをとった。

「二刀流か……ふむ。なら私は獲物を変えよう。霊装【妖刀】」
 「今度は刀ですか? それにその刀は…」
「おや、こいつを知っているのか……そう、この刀は小狐丸の複製さ。昔、ある神社で見せてもらって作ったんだ。いくぞ? 最後までついてこいよ?」

 そう言うとラグナは斬り込んだ。おかっぱ頭の少女は短い刀で躱すと長い刀で斬りこむ。
 しかし、伏せることでおかっぱ頭の少女のこうげきをを回避する。


「なかなかの腕前だな。だがこれで終わりだ」
「なにをーーーーゴハッ!?」

 おかっぱ頭の少女は何をされたのかと理解できずに気絶してしまった。 理解できないのも無理はないだろう。一瞬の間に少女の右肩、左肩、腹、右足、左足を刀の柄で殴ったからだ。 
 ラグナは気絶した少女に傷が付いていないかを確認して少女を抱きかかえたまま階段を再び登り始めた。

 
 つづく

「東方狐著聞集」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く