東方狐著聞集

稜さん@なろう)

九十二尾 見た目で決めつけるべからず

「……見知った顔だ……」
「あ、ラグナ様起きたんですか?」
「あぁ、ところで鈴仙」
「……? なんでしょうか?」
 「なんで私は膝枕をされているんだ?」
  説明しよう。私は今、鈴仙に膝枕をされているのだ! 終わり。

「ラグナ! 目が覚めたのね! 永林からいきなり気を失ったって聞いたときは驚いたわ。もう大丈夫なの?」
「あ、姫様」
  ん? 気を失う前にあったような……? 
「あ、あぁ。大丈夫ぶだが……さっき会ってないか?」
「き、気のせいよ」
 ん? 気のせいなのか?


「輝夜……」
「ひゃん!?」
  輝夜の真後ろに腕を組んだ永林が笑顔で立っていた。だが、目は笑っていない。怖い。

「二回目の気絶はあなたが原因よね? ほら、ラグナに謝りなさい」
  あ、やっぱり気のせいじゃなかったのか。おぉ、永林の顔怖い……ひぇ!? 睨まれた。

「えーと。ラグナごめんなさい」
「あ、あぁ。気にしないでくれ」
 あ、永林も納得したみたいな顔に……なってる。

「あ、そういえば料理ができてるんだったわ! 」
 「え?! 姫様それは本当ですか?」
 あ、鈴仙の顔が真っ青だ。しかも、体も震えているじゃないか。しかも永林まで、この世の終わりのような顔で私を見ているし。

「それじゃあラグナいきましょ?」
「あ、ああ」

 私、いったいどうなってしまうんだ!? あ、鈴仙が手を合わせだした?!

「こっちよラグナ」
「まってくれ……よし。行こうか」
ああ、私の口勝手にしゃべらないで、はぁ、諦めるしかないのか。


 〜少女移動中〜

どんな料理が出てくるかと思ったら案外普通じゃないか。もしかして、妹紅が手伝ったからか? 
炊きたてのご飯にお味噌汁と肉じゃがか。うん、うまそうだ

「とても美味しそうだよ」
「そう? じゃあ、召し上がれ」
「じゃあ肉じゃがから。はむ、はむ……?!」
  な、なんだこの味は肉じゃがじゃない?! しかも非常に甘い。甘すぎて口の中がパニックだ。

「どうその肉じゃが。隠し味にチョコレートを入れているのよ」
 だから異常に甘いのか。味噌汁で飲み込む! ……はひい?! 味噌汁甘!? え、なんで? 
 
「その味噌汁には味噌の代わりにピーナッツバターで出汁を取っているのよ」
 ま、まさか。この白飯も何かあるのか……? 

「ご飯にはね……お砂糖をまぶしているのよ。美味しから食べて?」
「あ、ああ」
 



  それからの記憶がない。気づくと私は二度目に目覚めた布団の上にいた。永林から事情を聞こうとしたが何故か永林は話してくれない。鈴仙も尊敬の眼差しがかなり強くなっている気がする。そういえば輝夜と妹紅はどこにいったんだ? 
 
「うぷ……なんか気分が悪い?」
「聞かれてもわからないわよ。ラグナ、今日はこのままここで寝なさい」
「うん。そうさせてもらうよ。おやすみ」
「えぇ、おやすみ」


 明日は太陽の畑に行ってみるか。うぷ……


つづく

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品