東方狐著聞集

稜さん@なろう)

九十一尾  二度ある事は三度ある

「う……ん? 知らない天井だ」
 なぜ私は布団で寝ているんだ? ん? 服が赤い……

「あ、起きたんですか?」
「ん……お前は月の兎の」
「いえ、私は地上の兎ですよ!」
 なにを慌ててるんだ? 
「いや、匂いでわかるから隠さないでもいいぞ。 そういえば自己紹介がまだだったな。私の名前はラグナだ」
「もしかして、英雄であり最悪の反逆者のですか!? 」
「え、月ではそんなこと言われてるの?」
「民からは英雄と呼ばれてましたね。上の人たちは最悪の反逆者と言っていましたが……あ、
私は鈴仙・優曇華院・イナバと言います」
 うーん。反逆者か……多分あれが原因だろうな。しかし、なんとも言えない二つ名だな。

「長いな。鈴仙と呼んでもいいか?」
「あのラグナ様から鈴仙って呼んでもらった!」
「まて、月の兎とは面識がないぞ? 」
「私は色々知ってますよ。 私の上司、綿月様から聞かされていたので。それで私、ファンになりました!」
「お、おう。そういえば永林は?」
「あ、師匠は姫様と妹紅さんを止めに行きました」
「なんだ、あの二人喧嘩でもしてるのか?」
「いえ……実は姫様が料理を……」
「料理? 輝夜も料理をするのか」
「い、いえ。違います。 姫様は料理が壊滅的にお下手なんです」
「なら、練習をさせたら」
「それもしました。でもっ! 姫様が料理を作るとなぜか即死作用があるんです! 」
「まて、なんでそんな作用があるとわかったんだ? 誰かが食べて死んだのか?!」
「はい、妹紅さんが。最初は協力的だったんですよ。でも、三十五回目の時に『もう無理』と言って姫様が料理をするのを禁止にしたんです」
 輝夜、確かに会った時から御転婆だったけどさすがに即死作用のある料理はありえないだろう。

 「それで、姫様がラグナ様にいつかのお礼に料理を振る舞いたいと料理を始めちゃったんです! 最初は妹紅さんも留めてたんですけど姫の挑発に乗った妹紅さんも一緒になって料理を……」
「だから、二人を止めに永林が行ったのか」
「はい、そのとおりです」

  すると、ガラッと病室的な部屋の扉が開かれた。 扉を開けたのは意外にも先ほどラグナと鈴仙の話していた人物だった。

  「ラグナ! 久しぶり! 元気にしてた?」
 頭から胸に飛び込んできた輝夜を支えきれずに私は鈴仙と頭を打ってまた気絶した。 あぁ、最近気絶が多い気がする。



つづく

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