東方狐著聞集

稜さん@なろう)

八十五尾 感謝

 懐かしい場所。思い出の場所。私は自分の神社の前に立っている。

「夢……? いや、この感覚は」
「いらっしゃいませ。狐様?」
  「貴様からそう呼ばれるのは好ましくない。やめろ」
「うふふ、酷いですね」
「またここに来たということはお前が呼んだのか?」
「違いますよ。私であって私ではない」
「どういうことだ?」
「この体の持ち主が呼んだんでしょう。あなたに話したいことがあるみたいですし」
「なに? まだ、〇〇の魂はお前の中にあるのか?」
「うふふ、秘密です」
 掴みにくい。なにを考えているのかがわからない。
だが、なぜ〇〇が私をここに呼んだ?

「この体の持ち主から伝言? と言えばいいんですか。 『私は、一度も狐様を恨んだことはありませんよ。私が死ぬのも決められた運命さだめだったのですから』とのことです」
「っな⁉︎  運命だっただと……?」
「そうですよ。この体の持ち主は近いうちに自分が死ぬ、病魔によって死ぬことを察知していたのです。しかし、あの日、ラグナ様が暴走した。命を代償にラグナ様の中の物を封じ込めるのに成功しましたが」
「まて、なぜ、渦、お前が知っている?」
「簡単なことです。私は死神です。しかし、彼女は成仏できなかった。なぜかわかりますか? それは、あなたのせいです」
「私のせい?」
「そうです。あなたが彼女を思うあまり彼女がこの世に縛り付けられている。これを解決するために私の喰らう程度の能力を使い同意の下巫女の魂を喰らいました。まあ、解決したら喰らった魂を元に戻しますが」

私のせい? 私が〇〇を殺したことを後悔した私のせい?

「話を戻しますが封じ込めた後彼女はあなたに私を食べて欲しいと頼んだのです。そしてあなたは彼女の亡骸を食べたと思っている。本当は彼女から頼まれたこと覚えてるんでしょ?」
「あぁ、覚えているよ。情けないことに自分の記憶から抹消していたみたいだが」
「そうでしたか。そういえば彼女に能力がないって言ってましたがそれは間違えです。彼女の能力は「写す程度の能力」
「写す程度の能力?」
「そう、この世界も彼女の能力のおかげで作られたものです。そして、彼女ももうすぐ、成仏するでしょう。そして私の仕事も終わります」
「そうか、なぁ、最後に一言伝えてくれないか」
「いいですよ」

白羽しらばねお前が繋いでくれたこの命絶対に無駄にしない。助けてくれてありがとう」

「伝えました。彼女、嬉しそうに成仏しましたよ。さて、彼女も成仏したのでこの世界も消えます。私が喋り終える頃にはあなたも目をさますでしょう。安心して下さい二度とここには来ませんから、それではさようなら」
 


それを聞き終えると私の意識は深く沈んでいった。




「狐様今までありがとうございました」





 ▽  エピローグ?

目を覚ました。あの夢のようで夢じゃない感覚。
意思が落ちる前に聞いたあの声、白羽の声。
夢であって夢ではない。 このことを霊夢に話し謝罪をしよう。



   東方子狐録   幻想郷編 完

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