僕と狼姉様の十五夜幻想物語 ー温泉旅館から始まる少し破廉恥な非日常ー

稲荷一等兵

第17節7部ー続・姉とのお風呂ー

 まあ僕もタオルは腰に巻いてるわけなんだけど。伊代姉はどことなく恥ずかしそうに脱衣所から出てきた。
 それにしても、とんでもないスタイルだ……。銀露ほどの大きさはないにしても、同年代の人たちの中ではぶっちぎりで胸大きいし、背も僕より高い。

 何より、細身の体でこれだけのおっぱい持ってたら目立って仕方ないんじゃないかな。

「ふふ、なぁに千草。えらく興味ありげじゃない。姉の体に」
「そりゃもうそれだけ成長してたら見ちゃうのもしかたないよ。ばいんばいんじゃん!」
「あー、胸しか見てないのね。ふーん、千草ってば男の子ー」
「そりゃ男の子ですから」

 じとりとした目つきで僕を睨んでくる伊代姉を尻目に、僕は洗い場に桶と椅子を用意してシャワーを浴びた。伊代姉もそれに続いて、僕の隣に座って……。

「いよね……近い近い!」
「どうせ洗いっこするんでしょう? いいじゃない近い方が」

 肩どころか胸まで僕に当たってるんだけど……。さっきまでちょっと恥ずかしがってたのはなんだったんだ!
 伊代姉は一度肝が座ると強かったからなぁ、昔から。それが今のに関係あるのかはわからないけど。

「んじゃあ伊代姉の背中洗ってあげるよ」
「ん、はいどーぞ」

 はらりと体に巻いていたタオルを取って、僕に背中を向けた伊代姉。その白くて綺麗な背中に、僕はぺたりと手を置いた。

「んっ、冷たいわよ!」
「ごめんごめん。とっても綺麗な背中だったからつい……」
「ふぅん……ま、悪い気はしないわ。もっと褒めてもいいのよ。男に触らせたことなんてないんだから。あんただけね」

 椅子と接してるお尻がほとんど形を変えないほど、ハリがあって形のいいお尻。後ろからでもわかる胸の大きさ。普通、放っとかないよね……周りの男子たちが。
 弟であるはずの僕に対して、随分貞操を守っていることをアピールしてくるのはなんなんだろうか。いや、そりゃ姉とはいえ男をとっかえひっかえしていていい気はしないんだけど……。

 僕は泡立てたタオルで伊代姉の背中を丁寧に洗い始めた。どこかくすぐったそうに、体を少し震わせた伊代姉だったけど、心地好さそうにしてくれてる。

「伊代姉」
「ん?」
「弓道の調子はどう?」
「んー。最近すこぶるいいわよ。体は出来てきてるから、あとは精神面だけだったのよね。やっぱりあんたがいると違うわ。まあ、面倒臭い先輩がいるから、調子良ければ良いで絡まれるし、厄介ではあるけれど」
「厄介な先輩?」
「ええ、神谷っていう、うちの部長なんだけど。私に気があるみたいでしょっちゅう話しかけてくるのよ。その好意はありがたいんだけど……私にはその気はないから。まあ、それでも胸ばっかり見てくるゲスな男子どもよりはマシなんだけど、ね」

 そりゃ、伊代姉美人だけど、目つきは鋭いから目を合わせづらいんじゃなかろうか……。かといって視線を下げるとおっぱいがあるわけで。

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