自己犠牲錬装術師の冒険記
第1話 異世界、転生します!
「異世界、転生します!」
目が覚めると、俺は椅子に座っていた。急に何を言ってるのか自分でも分からない…
取りあえず今の状況を確認しようと周りを見回す…
自分が今居るのは屋内の様だ、目の前にはテーブルがあり、反対側には俺が座っているものと同じ椅子があって、天井は霞む程の高さがあり、四方の壁は色々な色や模様の本が所狭しに並べられている本棚になっていた
「転生の部屋へようこそ、菊白 冬樹さん」
部屋の観察に気を取られていると透き通るような声で名前を呼ばれた
突然の事に驚いて声のした方を見ると正面の椅子に見た事も無い綺麗な女の人が座っていた…
「へっ?」
思わず出てしまった変な声を聴いた女の人はもう一度言った
「ようこそ、死後の世界の転生の間へ。」
え?今この人死後の世界って言わなかった?何?俺もしかして死んじゃったの?死んでるってことはこの女の人ってもしかして神様とか…?
俺が頭の周りに?を浮かばせながら放心していると
「あれ…?もしかして生前の記憶が無くなっているのですか?」
「えっと…多分そう?なのかもしれません?」
「やはりそうでしたか、そうなると貴方が死んだ理由も覚えて無いですよね…これからするお話しにも関わってくるので思い出した方がいいですね。少し痛いですが我慢してくださいね?」
そう言うと彼女は俺に向かって指を向けて…その指先が光った直後、頭痛と同時に目の前が真っ白になった…
頭痛が引いてくると俺は電車に乗っていた
そこはいつも通学に使っている電車でいつも俺の立っていた車両の最前部の扉脇だった。
日課にしているスマホアプリの小説投稿サイトでお気に入りの作者さんの更新を読んで、1時間掛けて学校に通う
そんないつも通りの朝の筈だった…
視界の端に何か≪違和感≫があった、見慣れた筈の車内に変な光景がある
その違和感に目を向けるとそこにはマスクにサングラスと帽子という、怪しい人の典型の様な中年の男と、見覚えのある近所の中学校の制服を着た女の子が居た
女の子は俺と同じように扉脇に立っていて窓の方を向いていて、そのすぐ後ろに男が立っている
女の子は時々身を捩らせて苦痛に耐える様な表情をして始めは気分でも悪いのかと思った
俺が少し心配になって彼女に声を掛けようとして近づくと彼女の後ろに立っている男は左手で見た目不相応な大き目のビジネスバッグを持っていてそれを女の子のスカートが少し隠れる様な位置で保持していた
その男と彼女の距離は10cmあるかないか程しかなく、まだ混雑もしていない車内では≪異常≫だった…
俺が不審に思いながらも、女の子に近づいて行くと電車が大きく揺れた
その時、男が姿勢を崩してバッグの位置がずれて、≪それ≫が見えた
男のもう片方の右手、それが女の子のスカートをめくり上げて彼女のお尻を触っている
それを見た俺の中で怒りと侮蔑の感情がぶくぶくと膨れ上がる、無意識に女の子に掛けようとしていた手が男の右手腕を掴む…
「その汚い手を退けろ、ゴミクズ野郎」
無意識だった。普段なら絶対に出さないような低い声で、そう吐き捨てていた
手首を掴まれて持ち上げられた男は唖然としていた。女の子も驚いて心なしか泣いているようにも見えた
我に戻った男は俺の手を振りほどいてポケットに突っ込んで、隠し持っていたナイフを取り出す
そんなもの持ってたのかよ、どうせそれで脅してたんだろうな。やっぱりゴミクズだ、弁解の余地も無いよね?
「ってめぇ!何してくれてんだよ!」
「いや…あんたこそ可愛い女の子のスカートに手ぇ突っ込んで何してたの?セクハラは犯罪だよ?そんなことも知らないなんて言わないよね?」
あれ?俺こんな喋り方普段しないよ?もしかしてカッとなると性格変わるタイプなのかな?
「うるせぇ!うるせぇ!何しようが俺の勝手だろ!首突っ込むじゃねぇよ!」
「いやいや、セクハラは立派な犯罪だから。あんた大人だろ?そんな屁理屈通るとでも思ってるの?馬鹿なの?」
あらあら、どんどんおっさんの顔が赤くなってく、まるで茹でたタコみたい
そんなことを考えながら、隣で状況についてこれずに固まってる女の子を引き寄せる
「大丈夫?触られる以上の事されてない?」
そう話しかけると彼女は「はっ!」としながら小声で返事をしてくれた
「だい…じょうぶ、です。」
涙目になりながらも返事をしてくれる辺り可愛いなぁ…
「そう、良かった。あんなゴミクズのおっさんが初めてとかトラウマになっちゃうもんね」
「はじっ!!?」
あ、赤くなったぞ、初心とかなおさら可愛い。こんな可愛い美少女にセクハラとか極刑ものだよ?noタッチの決まり知らないの?
「おい!何いちゃついてんだよ!」
「煩いよ、ゴミクズおっさん!」
あっ、つい大声出しちゃった…女の子がびっくりしてる…
「てめぇ…いい加減にしろよ!死にやがれ!」
ナイフをこちらに向けて走り込んでくる
女の子に傷付けられたら最悪だから一歩前に踏み出す。不思議と恐怖感は無かった
護身術なんて身に付けてない、体格差もあるから力でも負けるかもしれない…じゃあどうする?そんなの分かり切ってる
≪肉壁になればいいよね?≫
足を踏み出す。直後、衝撃と同時にナイフの刃が腹部の皮膚と筋肉を切りながら体に入ってくる。
「へへっ…馬鹿が…」
ゴミクズの声が聞こえた。
痛い、イタイ いたい いたい いたい。けど…
「馬鹿はお前だよ…それしか武器無いのに油断しすぎ…だ…」
腹に力を入れる、焼ける様な痛みと血が流れだしてるのが分かる。それでも動きは止まらない。
ナイフを両手でつかむ、全力で抑える。
「…!はなせっ!はなせよっ!クソがっ!」
「…離す…わけ…ないだろ…くそが…」
意識が薄れてきた…痛みすらも薄れてすでに感覚が無い。
ドゴッ!
男の体がくの字に曲がる、目をやると車内にいた他の男性がおっさんに拳を叩き込んでいた
同時に体の力が抜ける、そのまま後ろに倒れて床にぶつ…からなかった
頭にやわらかい感触があたり、肩を小さな手が支えてくれていた
「お兄さんっ!お兄さんっ!死なないでっ!お兄さんっ!」
最後の最後で助けられちゃったよ…と思いつつも声を絞りだす
「あはは…たすけられちゃったね…ぶじで…よかった…」
そう言ったら彼女は泣いてしまった…
「そんなっ!助けられたのは私の方でっ!お兄さんっ!」
あらら…可愛い顔がくしゃくしゃだよ…
あ…もう駄目みたいだ、音も聞こえなくなってきたし、目も見えなくなってきた…
死ぬってこういう事なんだなぁ…
目が覚めると、俺は椅子に座っていた。急に何を言ってるのか自分でも分からない…
取りあえず今の状況を確認しようと周りを見回す…
自分が今居るのは屋内の様だ、目の前にはテーブルがあり、反対側には俺が座っているものと同じ椅子があって、天井は霞む程の高さがあり、四方の壁は色々な色や模様の本が所狭しに並べられている本棚になっていた
「転生の部屋へようこそ、菊白 冬樹さん」
部屋の観察に気を取られていると透き通るような声で名前を呼ばれた
突然の事に驚いて声のした方を見ると正面の椅子に見た事も無い綺麗な女の人が座っていた…
「へっ?」
思わず出てしまった変な声を聴いた女の人はもう一度言った
「ようこそ、死後の世界の転生の間へ。」
え?今この人死後の世界って言わなかった?何?俺もしかして死んじゃったの?死んでるってことはこの女の人ってもしかして神様とか…?
俺が頭の周りに?を浮かばせながら放心していると
「あれ…?もしかして生前の記憶が無くなっているのですか?」
「えっと…多分そう?なのかもしれません?」
「やはりそうでしたか、そうなると貴方が死んだ理由も覚えて無いですよね…これからするお話しにも関わってくるので思い出した方がいいですね。少し痛いですが我慢してくださいね?」
そう言うと彼女は俺に向かって指を向けて…その指先が光った直後、頭痛と同時に目の前が真っ白になった…
頭痛が引いてくると俺は電車に乗っていた
そこはいつも通学に使っている電車でいつも俺の立っていた車両の最前部の扉脇だった。
日課にしているスマホアプリの小説投稿サイトでお気に入りの作者さんの更新を読んで、1時間掛けて学校に通う
そんないつも通りの朝の筈だった…
視界の端に何か≪違和感≫があった、見慣れた筈の車内に変な光景がある
その違和感に目を向けるとそこにはマスクにサングラスと帽子という、怪しい人の典型の様な中年の男と、見覚えのある近所の中学校の制服を着た女の子が居た
女の子は俺と同じように扉脇に立っていて窓の方を向いていて、そのすぐ後ろに男が立っている
女の子は時々身を捩らせて苦痛に耐える様な表情をして始めは気分でも悪いのかと思った
俺が少し心配になって彼女に声を掛けようとして近づくと彼女の後ろに立っている男は左手で見た目不相応な大き目のビジネスバッグを持っていてそれを女の子のスカートが少し隠れる様な位置で保持していた
その男と彼女の距離は10cmあるかないか程しかなく、まだ混雑もしていない車内では≪異常≫だった…
俺が不審に思いながらも、女の子に近づいて行くと電車が大きく揺れた
その時、男が姿勢を崩してバッグの位置がずれて、≪それ≫が見えた
男のもう片方の右手、それが女の子のスカートをめくり上げて彼女のお尻を触っている
それを見た俺の中で怒りと侮蔑の感情がぶくぶくと膨れ上がる、無意識に女の子に掛けようとしていた手が男の右手腕を掴む…
「その汚い手を退けろ、ゴミクズ野郎」
無意識だった。普段なら絶対に出さないような低い声で、そう吐き捨てていた
手首を掴まれて持ち上げられた男は唖然としていた。女の子も驚いて心なしか泣いているようにも見えた
我に戻った男は俺の手を振りほどいてポケットに突っ込んで、隠し持っていたナイフを取り出す
そんなもの持ってたのかよ、どうせそれで脅してたんだろうな。やっぱりゴミクズだ、弁解の余地も無いよね?
「ってめぇ!何してくれてんだよ!」
「いや…あんたこそ可愛い女の子のスカートに手ぇ突っ込んで何してたの?セクハラは犯罪だよ?そんなことも知らないなんて言わないよね?」
あれ?俺こんな喋り方普段しないよ?もしかしてカッとなると性格変わるタイプなのかな?
「うるせぇ!うるせぇ!何しようが俺の勝手だろ!首突っ込むじゃねぇよ!」
「いやいや、セクハラは立派な犯罪だから。あんた大人だろ?そんな屁理屈通るとでも思ってるの?馬鹿なの?」
あらあら、どんどんおっさんの顔が赤くなってく、まるで茹でたタコみたい
そんなことを考えながら、隣で状況についてこれずに固まってる女の子を引き寄せる
「大丈夫?触られる以上の事されてない?」
そう話しかけると彼女は「はっ!」としながら小声で返事をしてくれた
「だい…じょうぶ、です。」
涙目になりながらも返事をしてくれる辺り可愛いなぁ…
「そう、良かった。あんなゴミクズのおっさんが初めてとかトラウマになっちゃうもんね」
「はじっ!!?」
あ、赤くなったぞ、初心とかなおさら可愛い。こんな可愛い美少女にセクハラとか極刑ものだよ?noタッチの決まり知らないの?
「おい!何いちゃついてんだよ!」
「煩いよ、ゴミクズおっさん!」
あっ、つい大声出しちゃった…女の子がびっくりしてる…
「てめぇ…いい加減にしろよ!死にやがれ!」
ナイフをこちらに向けて走り込んでくる
女の子に傷付けられたら最悪だから一歩前に踏み出す。不思議と恐怖感は無かった
護身術なんて身に付けてない、体格差もあるから力でも負けるかもしれない…じゃあどうする?そんなの分かり切ってる
≪肉壁になればいいよね?≫
足を踏み出す。直後、衝撃と同時にナイフの刃が腹部の皮膚と筋肉を切りながら体に入ってくる。
「へへっ…馬鹿が…」
ゴミクズの声が聞こえた。
痛い、イタイ いたい いたい いたい。けど…
「馬鹿はお前だよ…それしか武器無いのに油断しすぎ…だ…」
腹に力を入れる、焼ける様な痛みと血が流れだしてるのが分かる。それでも動きは止まらない。
ナイフを両手でつかむ、全力で抑える。
「…!はなせっ!はなせよっ!クソがっ!」
「…離す…わけ…ないだろ…くそが…」
意識が薄れてきた…痛みすらも薄れてすでに感覚が無い。
ドゴッ!
男の体がくの字に曲がる、目をやると車内にいた他の男性がおっさんに拳を叩き込んでいた
同時に体の力が抜ける、そのまま後ろに倒れて床にぶつ…からなかった
頭にやわらかい感触があたり、肩を小さな手が支えてくれていた
「お兄さんっ!お兄さんっ!死なないでっ!お兄さんっ!」
最後の最後で助けられちゃったよ…と思いつつも声を絞りだす
「あはは…たすけられちゃったね…ぶじで…よかった…」
そう言ったら彼女は泣いてしまった…
「そんなっ!助けられたのは私の方でっ!お兄さんっ!」
あらら…可愛い顔がくしゃくしゃだよ…
あ…もう駄目みたいだ、音も聞こえなくなってきたし、目も見えなくなってきた…
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