67話守護ノ現在理解

　私の攻撃は全て通用しない。
そう分かっていても魔法を撃ち続けた。

　どれ程の時間が経っただろうか、永久的に続くと思われた戦いとも呼べない戦いだったが、それは唐突に終りを迎えることとなった。

【ズゴゴゴオン】

「む？」「マジかよおい」

　突然響いた原因不明の地鳴りだったが、カヴァタにはその原因が分かったようだ。

「お前はこのダンジョンの主だろ？ならこのダンジョンが壊れないようにしてろ」

　この地鳴りの原因を聞こうとしたが、先に声をを掛けられて閉まった。

「勿論だ。貴様は何をするのだ？」

「俺か？俺は配下を鎮めに行ってくる」

　配下を鎮める？
カヴァタにはもう配下がいたのか？
それもこの地鳴りを引き起こせる程の力を持つ配下を。

　どうしてもそれが気になったが、それを聞こうにもカヴァタはもういなくなってしまった。

「《アースバレット》」

　魔法で塞いだ壁を破壊し、ダンジョンコア――青い水晶の有る部屋へと向かう。

　ダンジョンコアに触れ、ダンジョンの機能の１つである、ダンジョン監視を起動する。

　探すまでもなく、地鳴りの原因は見つかった。

　ダンジョンの入り口に向かって火炎魔法を放つ鳥、間違いなくこの鳥が原因だ。

　ステータスを見ると、この鳥の強さがよく理解出来た。

「ゴッドフェニックスであり、神速魔王フィート。すでに魔王を配下にしていたとは」

　ダンジョンの再生速度を越えてダンジョンにダメージを与えることが出きる神速魔王。それを配下に付けるカヴァタは、その巨体からは考えられない異様な速度でダンジョンを進んでいた。

「速い、この速さは神速魔王を配下に付けている影響か」

　そして理解した、カヴァタが私を配下にしようとするのは、ダンジョンマスターだからではなく、魔神だからだと。

「これは技能魔王としての力なのだろうな。……ふっ、面白いやつだ」

　守護魔神の、心が揺れた。