高校生は蛇になる

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59話 守護ノ過去 名前

 私は、どこかの名も無い洞窟で生まれた。
 その時はまだ、ロックゴーレムだった。

 ロックゴーレムだった私は、まだ心が無かった。
心が無かったが故に、動く物を破壊した。

 そして、本能のままに力を付けた。

 洞窟の中の動く物を破壊し尽くした私は、その洞窟から出た。
 その時には、アイアンゴーレムになっていた。

 洞窟を出た私は、再び動く物を破壊した。

 ある時、どこかの湖に落ちた。
 湖に有った魔力に満ちた水が、私の体を浄化していった。
私が湖から這い上がったときには、クリスタルゴーレムになっていた。

 クリスタルゴーレムになった私は、心を得た。
しかし本能に従い、動く物の破壊を続けた。

 動く物を破壊していた私は、ある時ある物に出会った。
それは、傷ついた15㎝程の物、妖精だった。

 それは動く物だったが、一切破壊しようとは思わなかった。

 私は、この妖精を助けようと考えた。
 助けるために、SPを利用した。

 SPを使って覚えた魔法で、妖精を回復させた。
 傷が治った妖精は、黄色の透き通った羽を震わせると、私の顔の前まで来てこう言った。

「あなたは誰?」

 当時の私にはその意味が分からなかった。

「もしかして名前が無いの?じゃあ付けてあげる」

 妖精は続けて言った。

「うーんと、クリスタルみたいに透き通ってるから、クリスタとかどうかな?」

 私に名前が付いた瞬間だった。

「私の名前はリリア。助けてくれてありがとね」

 それだけ言い残すと、どこかに飛び去って行った。

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