この夏俺は世界を守る巫女に生まれ変わりました
第2話男としての二十年 女としての新たな人生
命を落としてしまった俺は、何故か世界の中心と言っても過言ではない水の姫巫女に転生してしまっていた。生まれ変わるのは決して悪くはないが、不慣れなことが多すぎて困っている。おまけに色々と問題があるので、これに慣れるのにどれくらいかかるのだろうか?
まず女になってしまったこと。
何度も言うが俺は男としてこの二十年間を生きてきた。それだというのに、その二十年目にして女として新たな人生を迎えることになってしまった。オカマとかそういう類のものではなく、正真正銘の女性として俺はこれからの人生位を歩むことになってしまう。女性にはそもそも男にあって女性にないものや、今まで全く感じることのなかった胸の膨らみとか、男の時はムフフなものが今は全て苦に感じてしまう。
(女性ってこんなに大変なんだな……)
初日に至っては間違えて男子の風呂に入ろうとしてしまったり、やはり生前(?)の癖とかは、そう簡単に抜けなかった。
それにもう一つ、水の姫巫女という自分の立場だ。
セリーナ曰く世界の平和を保つために存在しているらしいが、これは果たしてどういった役割なのだろうか? 確かこの世界は水や自然といったものが豊富だと言っていたが、『水』とついているくらいなのだから、他にも巫女がいたりするのだろうか? で、その巫女達がいることによって世界のバランスが保たれているとか。
(もう三日が経つというのに、未だに滅茶苦茶過ぎてさっぱり分からない)
俺は初日の事を思い出しながら、これまでの事を振り返って見ることにした。
■□■□■□
自分が命を落としてからどのくらいの日付が経ったか分からないが、それは突然やってきた。ほとんど何が起きたか覚えていないが、海に溺れて暗闇の中に落ちていった俺に、一瞬だけ光が目の前に差し込んだ気がする。死んだ身なのに、どうして光が差し込んだのか、それは分からないが、その光を掴もうとしたところで俺の意識は覚醒した。そして目覚めた先にあったのは、真っ白い天井と脇でなにかの作業をしている人達。俺には今の状況がさっぱり分からなかった。
(ここは……どこだ?)
声を出してみようとするが、なかなか出てこない。それよりも先に、周りにいた人の一人が、目を覚ました俺を見て声を出した。
「成功です! お母様水の姫巫女が目を覚ましました」
今思うと、その時喋ったのがセリーナだった。そして彼女の声に反応したセリーナの母親と思わしき人物が、またまた驚きの声をあげた。
「やったわ! 成功よセリーナ。一時はどうなるかと思ったけど、これでウォルティアも安泰よ!」
成功やら安泰やら、訳が分からない言葉ばかりが出てくる中で、俺は一つ頭の中に疑問がよぎった。
(姫巫女?)
巫女というのは基本的に女性がなるものであり、男の俺とは全く無縁なずなのだが、これはどういう意味なのだろうか?
ガサゴソ
とりあえず手を動かして色々なところを触ってみてその言葉の意味を考えてみる。そして答えはすぐに出てきた。
(な、ない。男の象徴のあれがない!)
男の象徴とは勿論アレのことで、逆に胸のあたりには今まで一度も感じたことがなかった違和感を感じた。
(こ、これは!)
男の俺に決してあってはならないものがそこにはあった。そしてその時に俺は確信してしまった。顔はまだ見えていなけど、俺は完全に女になってしまったのだと。
(ど、どうして)
確かに一度は死んだ身なのだから、生まれ変わったと言うならばそれはそれで構わない。だけど、これは完全に……。
(生まれ変わったというより、入れ替わった感覚だよな……)
でも入れ替わったというのはありえない。何度も言うが俺はもう既に死んでいるのだから……。
(とりあえず、現状確認をするか)
少し時間が経ったおかげで、出せなかった声がようやく出るようになったので、試しにそこにいる人に話しかけてみた。
「あの」
口から出てきたのはやはり女の声。どうやら俺の考えたことは間違っていなかったようだ(間違いであってほしかった)。
「はい。何でしょうか巫女様」
「何がどうなっているか分からないんですけど」
「分からないとはどういう事でしょうか?」
「その……水の姫巫女とか、ウォルティアとか安泰とか、さっぱり分からないです。自分の名前すらも……」
本来自分の名前は春風咲田なのだが、勿論この場で名乗るわけにもいかないので、あえて記憶喪失キャラを演じてみることにする。そうすれば何か掴めるかも知れないと思ったからだ。
「申し訳ございません。お母様が色々言ったせいで混乱させてしまいましたね。詳しい話は後ほどお話させていただきます。でも名前が分からないのは少し困りましたね。記憶が安定していないからでしょうか? お母様」
「そうね。まだ誕生したばかりですし、不安定なのは仕方がないかも知れないわ。とりあえずしばらくの間はミスティアという名前にしましょう」
「ミスティア……ですか」
いきなり名づけされて、若干戸惑ってしまうがなにも分からない現状偽名を使い続けるのもいいかもしれない。自分で考えるよりもこっちのほうが百倍楽だし。
(しばらくはミスティアって名前で、何とかするか)
まず女になってしまったこと。
何度も言うが俺は男としてこの二十年間を生きてきた。それだというのに、その二十年目にして女として新たな人生を迎えることになってしまった。オカマとかそういう類のものではなく、正真正銘の女性として俺はこれからの人生位を歩むことになってしまう。女性にはそもそも男にあって女性にないものや、今まで全く感じることのなかった胸の膨らみとか、男の時はムフフなものが今は全て苦に感じてしまう。
(女性ってこんなに大変なんだな……)
初日に至っては間違えて男子の風呂に入ろうとしてしまったり、やはり生前(?)の癖とかは、そう簡単に抜けなかった。
それにもう一つ、水の姫巫女という自分の立場だ。
セリーナ曰く世界の平和を保つために存在しているらしいが、これは果たしてどういった役割なのだろうか? 確かこの世界は水や自然といったものが豊富だと言っていたが、『水』とついているくらいなのだから、他にも巫女がいたりするのだろうか? で、その巫女達がいることによって世界のバランスが保たれているとか。
(もう三日が経つというのに、未だに滅茶苦茶過ぎてさっぱり分からない)
俺は初日の事を思い出しながら、これまでの事を振り返って見ることにした。
■□■□■□
自分が命を落としてからどのくらいの日付が経ったか分からないが、それは突然やってきた。ほとんど何が起きたか覚えていないが、海に溺れて暗闇の中に落ちていった俺に、一瞬だけ光が目の前に差し込んだ気がする。死んだ身なのに、どうして光が差し込んだのか、それは分からないが、その光を掴もうとしたところで俺の意識は覚醒した。そして目覚めた先にあったのは、真っ白い天井と脇でなにかの作業をしている人達。俺には今の状況がさっぱり分からなかった。
(ここは……どこだ?)
声を出してみようとするが、なかなか出てこない。それよりも先に、周りにいた人の一人が、目を覚ました俺を見て声を出した。
「成功です! お母様水の姫巫女が目を覚ましました」
今思うと、その時喋ったのがセリーナだった。そして彼女の声に反応したセリーナの母親と思わしき人物が、またまた驚きの声をあげた。
「やったわ! 成功よセリーナ。一時はどうなるかと思ったけど、これでウォルティアも安泰よ!」
成功やら安泰やら、訳が分からない言葉ばかりが出てくる中で、俺は一つ頭の中に疑問がよぎった。
(姫巫女?)
巫女というのは基本的に女性がなるものであり、男の俺とは全く無縁なずなのだが、これはどういう意味なのだろうか?
ガサゴソ
とりあえず手を動かして色々なところを触ってみてその言葉の意味を考えてみる。そして答えはすぐに出てきた。
(な、ない。男の象徴のあれがない!)
男の象徴とは勿論アレのことで、逆に胸のあたりには今まで一度も感じたことがなかった違和感を感じた。
(こ、これは!)
男の俺に決してあってはならないものがそこにはあった。そしてその時に俺は確信してしまった。顔はまだ見えていなけど、俺は完全に女になってしまったのだと。
(ど、どうして)
確かに一度は死んだ身なのだから、生まれ変わったと言うならばそれはそれで構わない。だけど、これは完全に……。
(生まれ変わったというより、入れ替わった感覚だよな……)
でも入れ替わったというのはありえない。何度も言うが俺はもう既に死んでいるのだから……。
(とりあえず、現状確認をするか)
少し時間が経ったおかげで、出せなかった声がようやく出るようになったので、試しにそこにいる人に話しかけてみた。
「あの」
口から出てきたのはやはり女の声。どうやら俺の考えたことは間違っていなかったようだ(間違いであってほしかった)。
「はい。何でしょうか巫女様」
「何がどうなっているか分からないんですけど」
「分からないとはどういう事でしょうか?」
「その……水の姫巫女とか、ウォルティアとか安泰とか、さっぱり分からないです。自分の名前すらも……」
本来自分の名前は春風咲田なのだが、勿論この場で名乗るわけにもいかないので、あえて記憶喪失キャラを演じてみることにする。そうすれば何か掴めるかも知れないと思ったからだ。
「申し訳ございません。お母様が色々言ったせいで混乱させてしまいましたね。詳しい話は後ほどお話させていただきます。でも名前が分からないのは少し困りましたね。記憶が安定していないからでしょうか? お母様」
「そうね。まだ誕生したばかりですし、不安定なのは仕方がないかも知れないわ。とりあえずしばらくの間はミスティアという名前にしましょう」
「ミスティア……ですか」
いきなり名づけされて、若干戸惑ってしまうがなにも分からない現状偽名を使い続けるのもいいかもしれない。自分で考えるよりもこっちのほうが百倍楽だし。
(しばらくはミスティアって名前で、何とかするか)
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