この夏俺は世界を守る巫女に生まれ変わりました
第23話闇に覆われ目が覚めて
どれくらい俺は意識を失っていたのか分からない。気がつけば俺はいつもの布団の上で寝ていた。
(あれ? 俺いつの間に戻ってきていたんだ?)
確か突然視界が闇に覆われて、その後誰かの声がして、気がついたら意識を失っていた。その一連の流れの中で、一つだけハッキリと覚えていたものがあった。
(意識を失う直前に見えたあれって、もしかしてあの声の主か?)
ほんの一瞬だけ闇の中で写った一人の少女の影。その少女がもし声の主だとしたら、俺の中に一つ疑問が生まれてくる。その少女は何故か俺達と同じ巫女服を着ていたのだ。理由は分からない。でももしあれが俺達が着ているものと同じだとしたら、彼女も世界を守る巫女である。けどあの言葉から察するに、決してそういう存在ではないようにすら思えてきた。
(とにかく今は、現状を確認するか)
長らく眠っていたのか、体が重い。けど俺は何とかして体を起こして立ち上がった。
「って、あれ、力が入らない」
だがすぐに座り込んでしまう。一体何が起きたのだろうか?
「あ! 巫女様! よかった。目を覚ましたのですね」
予想外な事に戸惑っていると、突然セリーナが部屋に入ってくるなり、起きている俺を見て飛びついてきた。
「うわ、セリーナさん。いきなり飛びついてこられたら……うわぁ」
あまりに勢いすぎた為、そのまま俺は倒れてしまう。それでもセリーナは抱きついたままだった。
「巫女様が目を覚まさなかったら、私どうしようかと……」
「あの、私どれくらい眠っていたのですか?」
「今日で丁度三日です。グリアラさん達が何とか救い出してくれたから、どうにかなりましたけど、その場にいなかったらどうするつもりだったんですか?」
「どうするも何も、私自身何が起きたのか理解できていなかったんです。全てが突然だったので……すみません」
「すみませんでは済みませんよ。本当に心配していたんですから」
まさかあれから三日も経っていたとは思っていなかった俺は、すごく申し訳ない気持ちになってしまった。三日間彼女はずっと俺の事を心配してくれていたのだ。ちゃんと感謝の意を示さなければならない。
「その、セリーナさん」
「何ですか? 」
「心配してくれてありがとうございます」
「え、あ、み、巫女様の使いなので心配して当然です。目が覚めなかったら誰が代わりをやるんですか。今水の姫巫女を任されているのは貴方なんですからね!」
恥ずかしそうにそう言うセリーナ。
(本当に心配してくれていたんだな……)
いつかお礼しないと。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
俺が眠っている間の三日間、どうやら色々な事が起きたらしく、落ち着いた後にセリーナが話をしてくれた。
「まずグリーンウッドとセイランスで起きていた異常気象は収まりを見せたので、グリアラ様とシャイニー様は先日お帰りになられました。お大事にと伝えておいてくださいだそうです」
「帰っちゃったのですか……」
「お二人も姫巫女としてのお仕事がありますからね。寂しいですか?」
「少しだけ」
この世界にやって来て若干心細い思いをしていた俺にとって二人は、ちょっとした友達の感覚でいられた。だから二人がいなくなると、少しだけ寂しい。
(それにこの件のお礼、言えてないしな)
二人が俺を助けてくれたのなら、ちゃんとお礼を言わなければならない。今度会う機会があったら言っておかなければ。
「次に巫女様のお身体自身の検査結果なのですが、特にこれといった問題は見られなかったようです。ただし、一度闇に飲まれてしまっているので、今後も注意してください」
「分かりました」
俺はそう返事を返したが、どうも腑に落ちなかった。
(身体に異常がなかった? その割りには身体が動かせないんだけど……)
それにあの声が言っていた言葉が気になる。闇へと誘うと言っていたが、もしかしたら見た目はなんともないように見えて、何かあったりするのだろうか? そしたら若干不安になってきてしまう。
「そしてもう一つ、大事な話があるのですが……」
「大事な話?」
「実はですねコロナさんの事で一つ分かったことがありまして」
「コロナさんが?」
あのまさに水の姫巫女に会いにきた少女が一体どうしたというのだろうか?
「あの子がどこからか聞いて見て、調べて見たのですけど、実は彼女がやってきたという国は、既に滅んでしまっていて、存在しないのです」
「え?」
じゃあ彼女はどこから来たというのだろうか? もし仮に別の国から来ていたとしても、自分の国は間違えないはずだ。それなのに何故彼女は滅んでいる国から来ているのだろうか?
「もしかしたら生き残りとかそういうのではないんですか?」
「それを踏まえてもありえないんです。何故なら彼女の国が滅んだのは、数百年前の大災害の日なのですから。歴史書にもそう記されていました」
「じゃ、じゃあコロナは……」
「はい。本来この世界には存在しないはずの人間なんです」
『本来存在しないはずの人間』
俺はその言葉に少しだけ引っかかるものがあった。彼女は向日葵とよく似ている。けど存在しないはずの人間。それは向日葵にも言えることで、
(いや、まさかそれは……)
ないよな、多分。
(あれ? 俺いつの間に戻ってきていたんだ?)
確か突然視界が闇に覆われて、その後誰かの声がして、気がついたら意識を失っていた。その一連の流れの中で、一つだけハッキリと覚えていたものがあった。
(意識を失う直前に見えたあれって、もしかしてあの声の主か?)
ほんの一瞬だけ闇の中で写った一人の少女の影。その少女がもし声の主だとしたら、俺の中に一つ疑問が生まれてくる。その少女は何故か俺達と同じ巫女服を着ていたのだ。理由は分からない。でももしあれが俺達が着ているものと同じだとしたら、彼女も世界を守る巫女である。けどあの言葉から察するに、決してそういう存在ではないようにすら思えてきた。
(とにかく今は、現状を確認するか)
長らく眠っていたのか、体が重い。けど俺は何とかして体を起こして立ち上がった。
「って、あれ、力が入らない」
だがすぐに座り込んでしまう。一体何が起きたのだろうか?
「あ! 巫女様! よかった。目を覚ましたのですね」
予想外な事に戸惑っていると、突然セリーナが部屋に入ってくるなり、起きている俺を見て飛びついてきた。
「うわ、セリーナさん。いきなり飛びついてこられたら……うわぁ」
あまりに勢いすぎた為、そのまま俺は倒れてしまう。それでもセリーナは抱きついたままだった。
「巫女様が目を覚まさなかったら、私どうしようかと……」
「あの、私どれくらい眠っていたのですか?」
「今日で丁度三日です。グリアラさん達が何とか救い出してくれたから、どうにかなりましたけど、その場にいなかったらどうするつもりだったんですか?」
「どうするも何も、私自身何が起きたのか理解できていなかったんです。全てが突然だったので……すみません」
「すみませんでは済みませんよ。本当に心配していたんですから」
まさかあれから三日も経っていたとは思っていなかった俺は、すごく申し訳ない気持ちになってしまった。三日間彼女はずっと俺の事を心配してくれていたのだ。ちゃんと感謝の意を示さなければならない。
「その、セリーナさん」
「何ですか? 」
「心配してくれてありがとうございます」
「え、あ、み、巫女様の使いなので心配して当然です。目が覚めなかったら誰が代わりをやるんですか。今水の姫巫女を任されているのは貴方なんですからね!」
恥ずかしそうにそう言うセリーナ。
(本当に心配してくれていたんだな……)
いつかお礼しないと。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
俺が眠っている間の三日間、どうやら色々な事が起きたらしく、落ち着いた後にセリーナが話をしてくれた。
「まずグリーンウッドとセイランスで起きていた異常気象は収まりを見せたので、グリアラ様とシャイニー様は先日お帰りになられました。お大事にと伝えておいてくださいだそうです」
「帰っちゃったのですか……」
「お二人も姫巫女としてのお仕事がありますからね。寂しいですか?」
「少しだけ」
この世界にやって来て若干心細い思いをしていた俺にとって二人は、ちょっとした友達の感覚でいられた。だから二人がいなくなると、少しだけ寂しい。
(それにこの件のお礼、言えてないしな)
二人が俺を助けてくれたのなら、ちゃんとお礼を言わなければならない。今度会う機会があったら言っておかなければ。
「次に巫女様のお身体自身の検査結果なのですが、特にこれといった問題は見られなかったようです。ただし、一度闇に飲まれてしまっているので、今後も注意してください」
「分かりました」
俺はそう返事を返したが、どうも腑に落ちなかった。
(身体に異常がなかった? その割りには身体が動かせないんだけど……)
それにあの声が言っていた言葉が気になる。闇へと誘うと言っていたが、もしかしたら見た目はなんともないように見えて、何かあったりするのだろうか? そしたら若干不安になってきてしまう。
「そしてもう一つ、大事な話があるのですが……」
「大事な話?」
「実はですねコロナさんの事で一つ分かったことがありまして」
「コロナさんが?」
あのまさに水の姫巫女に会いにきた少女が一体どうしたというのだろうか?
「あの子がどこからか聞いて見て、調べて見たのですけど、実は彼女がやってきたという国は、既に滅んでしまっていて、存在しないのです」
「え?」
じゃあ彼女はどこから来たというのだろうか? もし仮に別の国から来ていたとしても、自分の国は間違えないはずだ。それなのに何故彼女は滅んでいる国から来ているのだろうか?
「もしかしたら生き残りとかそういうのではないんですか?」
「それを踏まえてもありえないんです。何故なら彼女の国が滅んだのは、数百年前の大災害の日なのですから。歴史書にもそう記されていました」
「じゃ、じゃあコロナは……」
「はい。本来この世界には存在しないはずの人間なんです」
『本来存在しないはずの人間』
俺はその言葉に少しだけ引っかかるものがあった。彼女は向日葵とよく似ている。けど存在しないはずの人間。それは向日葵にも言えることで、
(いや、まさかそれは……)
ないよな、多分。
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