この夏俺は世界を守る巫女に生まれ変わりました
第25話悪夢の始まり 序章
ラファエルとの取引を断った日の翌日、俺は何故かまたアライア姫の元へ呼ばれていた。昨日何か言いそびれたことでもあったのだろうか? いや、多分彼女が俺に用件があるとしたら、答えは一つ。
「ミスティアさん、あなた昨日誰かとお話ししていなかった?」
彼女の一言目はまさにその核心をついていた。恐らくアライア姫は昨日の時点で何かを察していたのだろう。俺が何者かと接触していたことも。
「昨日突然あなたが、誰かの声を聞いたって言った時点で、怪しいと思ったの。だから少しだけその後のあなたの動向を見させてもらった」
「じゃあ知っているんですね。俺の身に昨日何が起きたのかを」
「大体はと言ったところよ。こっちはあなたの独り言しか聞いていなかったんだから」
じゃあもしかしてアライア姫はあくまで俺の声を盗聴か何かをしただけであって、彼女の姿は見ていなかったということだろうか? でもあの会話の中で大体の話は掴んでいるのかもしれない。
「アライア姫様は知っいたのですか? 五人目の巫女を」
「聞いたことだけはあったけど、聞いていたとしてもあくまで噂の範囲よ。まさか実在するなんて思いもしなかった」
「それに遭遇してしまった自分自身も驚いているくらいです。でも私は、少し彼女の存在が怖いです」
「それは昨日の会話に意味があるの?」
「はい」
俺はアライア姫に昨日の会話を全て教える。幼馴染を盾に取られて、脅されていること。彼女が世界を変えようとしていること、そして俺にしかそれを協力させようとしていること。
「世界を救うって、どういう意味なのかしら」
「そんな言葉嘘に決まっているじゃないですか。そうやって良い印象を与えて、俺を引きずり込もうとしただけですよ」
「そうだといいんだけど、何か引っかかるの」
『君達とは違って、ボクには世界を変える力がある。そういうことだよ』
「え?」
「まさかまたお前か!」
どこからかまたあいつの声が聞こえたかと思うと、突然俺の視界が暗闇に覆われる。
「み、ミスティアさん!?」
アライア姫が俺を呼ぶ声がするが、その声は届かず俺の意識は途切れてしまった。
『ボクは少し彼女と話をしたいから、その間君には面白いものをみせてあげるよ』
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
再び目を開いたのは、それから数分後。そして開いた先で見た光景に、俺は思わず驚きの声をあげてしまった、
「こ、ここは俺の部屋?」
何とそこは水の姫巫女の部屋ではなく、元の自分の世界の自分の部屋。しかも格好は事故があったあの時のままだ。
ピンポーン
「はーい」
玄関のチャイムが鳴ったので、俺は出てみる。家を訪ねてきたのは、向日葵だった、
「おはよう咲ちゃん。海へ行く準備できた?」
「ひ、向日葵?!」
「ど、どうしたの咲ちゃん。そんなに驚くことじゃないでしょ?」
「ど、どうしてここに?」
「どうしてって、咲ちゃんが明日の海に必要なものを買いたいから、付き合ってくれって誘ってくれたんでしょ?」
「え、あ、ああ。そうだったな」
確かに俺は海へ行く前日、向日葵を誘って買い物には行ったけど、どうして今それがここに?
(もしかしてあいつの仕業か?)
もしかしなくてもあいつの仕業だ。俺にこの悪夢を見せる為に、ラファエルはおれを……。
「どうしたの咲ちゃん。早く着替えてきなよ」
「あ、悪い。暑いと思うから中に入って、待っててくれ」
「じゃあお言葉に甘えて、お邪魔します」
一旦向日葵を部屋の中に入れて、俺は着替えの為に部屋へと戻る。
(でもこれは夢……というより、今起きているみたいな感覚だよな)
現に俺が今発した言葉は、全部今の俺の意志で発した言葉だ。だから決して夢の中というわけではないらしい。
「咲ちゃん、まだー?」
「悪い。もうすぐ終わるから」
考え込んでいると、向日葵が早くと言わんばかりに部屋の扉をノックしてくる。とりあえず今は余計なことは考えない方がいいのかもしれない。あくまで今だけは春風咲田なんだから、俺は俺らしく振る舞おう。
「はーやーく」
「今行くってば」
着替えが完了し、部屋を出る。出るとそこには、怒った顔で俺を待っている向日葵がいた。
「遅いよ。どれだけ私を待たせるの?」
「お前はたった五分でも待てないのか? 二十歳になったから少し変わっているかなって思ったけど、何も変わってないなお前」
「それは咲ちゃんだって同じだよ。この二十年何も変わってないよ」
「うるせえ」
そんな会話をしながら二人で外を出る。出た瞬間強い日差しが俺達を照らしつける。
(そういえばこの頃って、すごく暑かったよな)
「今日もすごく暑いよな」
「最近猛暑日が多いからね。さあ、行こう咲ちゃん」
「ああ」
俺は向日葵に手を引かれ、暑い中買い物へと向かうのであった。
その頃、残されたアライア姫とラファエルは……。
「今あなた何て言った?」
「聞こえなかったかな? この国にはかつての大災害のトリガーになったものが眠っているって。ほの在り処を教えて欲しいんだ」
「私はそんなの知らない」
「知らないわけないよね? 君はこの国のお姫様なんだから」
眠っていた悪夢が、再び呼び覚まそうとしていた。
「ミスティアさん、あなた昨日誰かとお話ししていなかった?」
彼女の一言目はまさにその核心をついていた。恐らくアライア姫は昨日の時点で何かを察していたのだろう。俺が何者かと接触していたことも。
「昨日突然あなたが、誰かの声を聞いたって言った時点で、怪しいと思ったの。だから少しだけその後のあなたの動向を見させてもらった」
「じゃあ知っているんですね。俺の身に昨日何が起きたのかを」
「大体はと言ったところよ。こっちはあなたの独り言しか聞いていなかったんだから」
じゃあもしかしてアライア姫はあくまで俺の声を盗聴か何かをしただけであって、彼女の姿は見ていなかったということだろうか? でもあの会話の中で大体の話は掴んでいるのかもしれない。
「アライア姫様は知っいたのですか? 五人目の巫女を」
「聞いたことだけはあったけど、聞いていたとしてもあくまで噂の範囲よ。まさか実在するなんて思いもしなかった」
「それに遭遇してしまった自分自身も驚いているくらいです。でも私は、少し彼女の存在が怖いです」
「それは昨日の会話に意味があるの?」
「はい」
俺はアライア姫に昨日の会話を全て教える。幼馴染を盾に取られて、脅されていること。彼女が世界を変えようとしていること、そして俺にしかそれを協力させようとしていること。
「世界を救うって、どういう意味なのかしら」
「そんな言葉嘘に決まっているじゃないですか。そうやって良い印象を与えて、俺を引きずり込もうとしただけですよ」
「そうだといいんだけど、何か引っかかるの」
『君達とは違って、ボクには世界を変える力がある。そういうことだよ』
「え?」
「まさかまたお前か!」
どこからかまたあいつの声が聞こえたかと思うと、突然俺の視界が暗闇に覆われる。
「み、ミスティアさん!?」
アライア姫が俺を呼ぶ声がするが、その声は届かず俺の意識は途切れてしまった。
『ボクは少し彼女と話をしたいから、その間君には面白いものをみせてあげるよ』
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再び目を開いたのは、それから数分後。そして開いた先で見た光景に、俺は思わず驚きの声をあげてしまった、
「こ、ここは俺の部屋?」
何とそこは水の姫巫女の部屋ではなく、元の自分の世界の自分の部屋。しかも格好は事故があったあの時のままだ。
ピンポーン
「はーい」
玄関のチャイムが鳴ったので、俺は出てみる。家を訪ねてきたのは、向日葵だった、
「おはよう咲ちゃん。海へ行く準備できた?」
「ひ、向日葵?!」
「ど、どうしたの咲ちゃん。そんなに驚くことじゃないでしょ?」
「ど、どうしてここに?」
「どうしてって、咲ちゃんが明日の海に必要なものを買いたいから、付き合ってくれって誘ってくれたんでしょ?」
「え、あ、ああ。そうだったな」
確かに俺は海へ行く前日、向日葵を誘って買い物には行ったけど、どうして今それがここに?
(もしかしてあいつの仕業か?)
もしかしなくてもあいつの仕業だ。俺にこの悪夢を見せる為に、ラファエルはおれを……。
「どうしたの咲ちゃん。早く着替えてきなよ」
「あ、悪い。暑いと思うから中に入って、待っててくれ」
「じゃあお言葉に甘えて、お邪魔します」
一旦向日葵を部屋の中に入れて、俺は着替えの為に部屋へと戻る。
(でもこれは夢……というより、今起きているみたいな感覚だよな)
現に俺が今発した言葉は、全部今の俺の意志で発した言葉だ。だから決して夢の中というわけではないらしい。
「咲ちゃん、まだー?」
「悪い。もうすぐ終わるから」
考え込んでいると、向日葵が早くと言わんばかりに部屋の扉をノックしてくる。とりあえず今は余計なことは考えない方がいいのかもしれない。あくまで今だけは春風咲田なんだから、俺は俺らしく振る舞おう。
「はーやーく」
「今行くってば」
着替えが完了し、部屋を出る。出るとそこには、怒った顔で俺を待っている向日葵がいた。
「遅いよ。どれだけ私を待たせるの?」
「お前はたった五分でも待てないのか? 二十歳になったから少し変わっているかなって思ったけど、何も変わってないなお前」
「それは咲ちゃんだって同じだよ。この二十年何も変わってないよ」
「うるせえ」
そんな会話をしながら二人で外を出る。出た瞬間強い日差しが俺達を照らしつける。
(そういえばこの頃って、すごく暑かったよな)
「今日もすごく暑いよな」
「最近猛暑日が多いからね。さあ、行こう咲ちゃん」
「ああ」
俺は向日葵に手を引かれ、暑い中買い物へと向かうのであった。
その頃、残されたアライア姫とラファエルは……。
「今あなた何て言った?」
「聞こえなかったかな? この国にはかつての大災害のトリガーになったものが眠っているって。ほの在り処を教えて欲しいんだ」
「私はそんなの知らない」
「知らないわけないよね? 君はこの国のお姫様なんだから」
眠っていた悪夢が、再び呼び覚まそうとしていた。
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