この夏俺は世界を守る巫女に生まれ変わりました
第32話四人の姫巫女集結
それからしばらくの時が過ぎ、夕方になる頃シャイニーが到着したということでムウナを含めた三人で出迎えることに。
「これで揃うんですね、四人の姫巫女が」
「何か緊張するのう」
「ムウナは会うの初めてだから分かるけど、ミスティアさんは緊張しないでよね」
「私よりシャイニーさん本人が緊張すると思いますけど」
「それ言えてるかも」
そんな会話をしている内に、シャイニーが乗っているであろう馬車が到着。俺達の目の前に止まると、荷物を持った一人の影が。
「今じゃー!」
「ちょっ、ムウナさん!」
何とそのタイミングを見計らったかのように、ムウナがその影に飛びつこうとする。
「え? きゅ、きゅ、急に何です……きゃあっ!」
当然それを避けきれないシャイニーは可愛い悲鳴とともにムウナに押し倒される。
「お主が光の姫巫女か!?」
「いたた、そ、そ、そうですけど、どなたですか? 私と同じ巫女服を着ていますけど」
「彼女は大地の姫巫女ですよ。シャイニーさん」
「ムウナって言う名前らしいわよ」
地面に倒れているシャイニーに近寄る俺とグリアラ。シャイニーは俺を見るなり、ムウナをどかして俺に飛びついて来た。
「ミスティアさん! 無事だったんですね! よかった」
「しゃ、シャイニーさん、危ないですよもう」
「だって、ミスティアさんが闇に捕まってしまった時はどうしようかと思って……セイランスに戻ってからもずっと心配していたんです」
「あ……」
そうか、彼女も心配してくれていたのか。いや、彼女だけじゃない。グリアラだってセリーナだって、皆心配してくれていた。でもこうして戻ってこれたのは、すごく嬉しい。またこうして二人にも再会できたのだから……。
「心配してくれてありがとうございます。シャイニーさん、グリアラさん」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
シャイニーが落ち着きを取り戻した後、ムウナについてシャイニーにちゃんと説明。
「ほぇー、彼女が大地の姫巫女なんですか。小さいのに」
「小さいのは余計じゃ。妾もこれでもしっかりと仕事をこなしておるのじゃ」
「どうだか。仕事ができそうな見た目じゃないけど?」
「失敬な! 妾を誰だと思っている。大地の姫巫女じゃぞ」
「いや、私達も同じ姫巫女ですからね」
そこ一番重要。
「という事は、これで姫巫女が四人揃ったんですか? こそ、その中に私もいるのが不思議ですけど」
「何一つ不思議なことはないわよ。あなたはこの中で誰よりも頑張っているわ。それは私がよく知っている」
「そ、そんな、わ、私は何も……」
「もっと胸を張りなさいよ。光の姫巫女」
「あ……はい!」
グリアラは長い時を生きているから分かるのかもしれない。俺達が知らないシャイニーの努力を。確かシャイニーは光の姫巫女になって五年とか言っていたけど、その間どれくらいの努力を彼女がしてきたのか、俺には計れない。
それから少しした後、グリアラがある提案をしてきた。
「さて、折角こうして四人が揃ったわけだし、私がこのグリーンウッドを案内してあげるわ。収穫祭が近いからちょっと騒がしいかもしれないけど」
「あ、いいですね。私もグリーンウッドをもっと知っておきたいです」
「宴の前というやつじゃの。実に良いではないか」
「わ、私もいきます」
グリアラの提案により、四人でグリーンウッドを回ることになり、早速収穫祭の準備で活気溢れているところへ。
「それにしてもグリアラさん、すごい怖いんですけど」
「まあ木の上にほとんどの建物があるからね」
「わ、妾は決して怖くないぞ」
「な、何度か来ていても慣れません」
だがその場所のほとんどが高い木の上にある為、歩き慣れていない俺とムウナはガタガタになりながら移動する羽目に。
「しゅ、収穫祭もここで行うんですよね」
「当たり前でしょ。ここでやらなくてどこでやるのよ」
「い、いや、木の下にも施設はいくつかありますし……」
「下の施設はほとんど使うことないわよ。さっきみたいに馬車を止めたりする場所に使うくらいよ」
「か、身体の小さい妾には鬼じゃ」
「あ、身体が小さいのを認めた」
「やはりちびっ子なんですねこの子」
「ち、違うのじゃら、さ、さっきのはらその、言葉の綾じゃ」
「どこが言葉の綾なんでしょうかね」
「分からないわ」
「り、理解しかねます」
「ええい、妾をからかってそんなに楽しいかお主達」
『楽しい(です)』
案内というかほとんどが雑談をしながらになってしまっていたが、やはり俺は楽しかった。姫巫女とか全く関係なく、一人の仲間としてこうやって同じ時間を過ごせるのは、この一ヶ月で忘れかけていたものを思い出させてくれる。
(この時間が、いつまでも続くのはいいよな)
姫巫女は不老不死に近い存在。だから長い時を共に過ごすことができる。だけど俺は、帰れる算段が決まり次第ここを離れる。しかもそれは永遠の別れ。決していい気分にはなれない。
(そっか。俺忘れかけていたけど、死んでいるんだよな)
一ヶ月過ごす内に、それすらも忘れてしまっていたよ。
「これで揃うんですね、四人の姫巫女が」
「何か緊張するのう」
「ムウナは会うの初めてだから分かるけど、ミスティアさんは緊張しないでよね」
「私よりシャイニーさん本人が緊張すると思いますけど」
「それ言えてるかも」
そんな会話をしている内に、シャイニーが乗っているであろう馬車が到着。俺達の目の前に止まると、荷物を持った一人の影が。
「今じゃー!」
「ちょっ、ムウナさん!」
何とそのタイミングを見計らったかのように、ムウナがその影に飛びつこうとする。
「え? きゅ、きゅ、急に何です……きゃあっ!」
当然それを避けきれないシャイニーは可愛い悲鳴とともにムウナに押し倒される。
「お主が光の姫巫女か!?」
「いたた、そ、そ、そうですけど、どなたですか? 私と同じ巫女服を着ていますけど」
「彼女は大地の姫巫女ですよ。シャイニーさん」
「ムウナって言う名前らしいわよ」
地面に倒れているシャイニーに近寄る俺とグリアラ。シャイニーは俺を見るなり、ムウナをどかして俺に飛びついて来た。
「ミスティアさん! 無事だったんですね! よかった」
「しゃ、シャイニーさん、危ないですよもう」
「だって、ミスティアさんが闇に捕まってしまった時はどうしようかと思って……セイランスに戻ってからもずっと心配していたんです」
「あ……」
そうか、彼女も心配してくれていたのか。いや、彼女だけじゃない。グリアラだってセリーナだって、皆心配してくれていた。でもこうして戻ってこれたのは、すごく嬉しい。またこうして二人にも再会できたのだから……。
「心配してくれてありがとうございます。シャイニーさん、グリアラさん」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
シャイニーが落ち着きを取り戻した後、ムウナについてシャイニーにちゃんと説明。
「ほぇー、彼女が大地の姫巫女なんですか。小さいのに」
「小さいのは余計じゃ。妾もこれでもしっかりと仕事をこなしておるのじゃ」
「どうだか。仕事ができそうな見た目じゃないけど?」
「失敬な! 妾を誰だと思っている。大地の姫巫女じゃぞ」
「いや、私達も同じ姫巫女ですからね」
そこ一番重要。
「という事は、これで姫巫女が四人揃ったんですか? こそ、その中に私もいるのが不思議ですけど」
「何一つ不思議なことはないわよ。あなたはこの中で誰よりも頑張っているわ。それは私がよく知っている」
「そ、そんな、わ、私は何も……」
「もっと胸を張りなさいよ。光の姫巫女」
「あ……はい!」
グリアラは長い時を生きているから分かるのかもしれない。俺達が知らないシャイニーの努力を。確かシャイニーは光の姫巫女になって五年とか言っていたけど、その間どれくらいの努力を彼女がしてきたのか、俺には計れない。
それから少しした後、グリアラがある提案をしてきた。
「さて、折角こうして四人が揃ったわけだし、私がこのグリーンウッドを案内してあげるわ。収穫祭が近いからちょっと騒がしいかもしれないけど」
「あ、いいですね。私もグリーンウッドをもっと知っておきたいです」
「宴の前というやつじゃの。実に良いではないか」
「わ、私もいきます」
グリアラの提案により、四人でグリーンウッドを回ることになり、早速収穫祭の準備で活気溢れているところへ。
「それにしてもグリアラさん、すごい怖いんですけど」
「まあ木の上にほとんどの建物があるからね」
「わ、妾は決して怖くないぞ」
「な、何度か来ていても慣れません」
だがその場所のほとんどが高い木の上にある為、歩き慣れていない俺とムウナはガタガタになりながら移動する羽目に。
「しゅ、収穫祭もここで行うんですよね」
「当たり前でしょ。ここでやらなくてどこでやるのよ」
「い、いや、木の下にも施設はいくつかありますし……」
「下の施設はほとんど使うことないわよ。さっきみたいに馬車を止めたりする場所に使うくらいよ」
「か、身体の小さい妾には鬼じゃ」
「あ、身体が小さいのを認めた」
「やはりちびっ子なんですねこの子」
「ち、違うのじゃら、さ、さっきのはらその、言葉の綾じゃ」
「どこが言葉の綾なんでしょうかね」
「分からないわ」
「り、理解しかねます」
「ええい、妾をからかってそんなに楽しいかお主達」
『楽しい(です)』
案内というかほとんどが雑談をしながらになってしまっていたが、やはり俺は楽しかった。姫巫女とか全く関係なく、一人の仲間としてこうやって同じ時間を過ごせるのは、この一ヶ月で忘れかけていたものを思い出させてくれる。
(この時間が、いつまでも続くのはいいよな)
姫巫女は不老不死に近い存在。だから長い時を共に過ごすことができる。だけど俺は、帰れる算段が決まり次第ここを離れる。しかもそれは永遠の別れ。決していい気分にはなれない。
(そっか。俺忘れかけていたけど、死んでいるんだよな)
一ヶ月過ごす内に、それすらも忘れてしまっていたよ。
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