異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編
第27話 王女殿下は・・・
俺の前に立ち塞がってくれたのは、
「これはこれは王女殿下、本日はよくぞおいでくださいました。
私の名前は、ヒルデ・デュク・ド・オリオン、こちらは私の長男のプロウス・デュク・ド・オリオンと申します。
もしよろしければ是非ともプロウスと一緒に少しお話を致しませんこと?」
第2夫人とプロウス君だった。
(よし!今に限ってはナイス判断だったぞ。
いつも空気読まないお前らだが今回だけは見直した!今の内に・・・)
と周りから不自然に思われないように、神眼で背後に注意しながら後退していく。
「ご丁寧にありがとうございます。ですが申し訳ございませんが本日は先約がございまして」
「せ、先約ですか?」
「はい、オリオン公爵家のご長男であらせられるあそこにいらっしゃるレイン様とお話をしに参ったのです」
(グハッ、逃げられなくされた!)
名指しをされた以上逃げるわけにはいかなくなってしまった。
第2夫人達も固まっている。
「では、失礼いたしますわ」
と言ってこちらに歩いてくる。
凄いこちらをガン見しながら歩いてくるのだ。
俺も後退を止めてしっかりと立ち王女様を迎える体制を整える。
取り巻き達も固唾を飲んで見守っている。
そしてとうとう俺の前に王女様が立った。
「これはこれは王女殿下、私の様なもののためにわざわざ来て頂けるとは大変恐縮にございます」
既に体面を保つこと忘れていた。
前世の知識を総動員して、堅い言葉と慇懃な礼をする。
さっき収まった胃液がまた逆流しそうだ。
「フフ、こんにちは、レイン様。
それ程かしこまらなくてもよろしくてよ。
だって私は貴方の婚約者なのだから」
「ハイ?今なんと仰いましたか?」
いまこの人なんて言った?
「あら?だから私は貴方の婚約者、即ち許婚ですわ」
「・・・」
固まってしまった。
暫く二の句が告げずにいるとお父様がやって来た。
「これは王女殿下、ご機嫌麗しく」
「オリオン公爵様もご機嫌麗しく」
「私の息子のレインが何か失礼を致しましたかな?」
(いやあんた聞いてただろ)
と、やっと内心愚痴るまでは出来るようになった。
「いえ、ただ私が許婚だと言うのは初耳だそうで固まってしまいましたわ」
「おお、おお、そうでしたか。実は私も言い忘れましてね、ハッハッハ」
(はいダウト!そんな事言わなかったやん!
俺の記憶が正しければ後でのお楽しみって言ってたぞ)
「で、どうですかなうちのレインは?小さい頃から本が好きでしてな。博識でありますぞ。
だからと言って引きこもっているわけではなく、何度も城下街をその足で見に行っておりますから」
お父様が押し売りみたいな口上を述べ始めた。
「あら、そうでしたの。私も最近やっと字を覚えたところですので羨ましいですわ」
「おお!そうでしたか!大変ご立派にございます」
「ありがとうございます。レイン様と2人でゆっくりとお話がしたいので時間を作ってくださいませんか?」
「おお!おお!どうぞどうぞ。うちのレインでよろしければいつでも構いませぬ」
「ありがとうございます。ではまた、ご機嫌よう」
と言って去っていった。
「フウ、おいレイン、お前何も言ってないではないか。情けない奴だ」
と怒っているよりもいたずらが成功した子供のようにニヤニヤして笑っていた。
「ハァ、緊張した……。
お父様、先に言ってくださいよ、早めに言ってくだされば僕だってあんな無様晒しませんでしたよ」
王女様が許婚なんて聞いていない。勘弁して欲しい。
「それにしてもお前を子に持つ俺が言うのもなんだがしっかりした方だったな。口調などもしっかりなさっていた。流石はアルメリア王女様の再来と言われた方だ」
アルメリア王女とはこの国にいた非常に賢く優秀な王女の事で、3歳の頃から沢山の本を読み、大人になってからは政治に携わり、法を幾つも改善させた歴史に名を残す天才の女性の名前だ。
「へえ〜」
へえ〜などと口にしてはいるが内心嫌々だ。
頭の良い女性は尻に敷かれそうなので正直ご遠慮願いたい。
「それはともかく王女殿下に気に入ってもらえてよかったではないか。
内心ヒヤヒヤしていたからな!
もしお前を気に入ってくださらなかったらどうしようかと思ったぞ」
「は、はあ〜、そうですか。
というかお父様、今更ですが好きな女を選べとかこの前言ってませんでしたか?」
「いるのか?」
「いませんが」
速攻切り返されて終わってしまった。
「まあ、とにかく安心した。後はゆっくり楽しめ。ハッハッハ」
と言って自分の陣営に戻っていった。
気分は最悪だ。帰りたい。
と、
こちらとは反対側で女の子5人が1人の女の子を囲って何か言っていた。
見たところ、何か女の子の気に入らないところを5人で笑っているらしかった。
このパーティーは毎年開かれるが5歳だけが出席しているわけではなく上は10歳位までが来れることになっている。
5人での中では多分10歳くらいの子もいる。
(イジメか、早いな。多分、爵位がああだこうだという話だろう)
虐められている女の子は周りの子と比べてふた周りほどドレスの質が落ちるのがわかる。
これでも5年も公爵家にいたためそこら辺はそれなりに詳しくなっている。
「さてどうしたものか・・・」
正直言ってどうしようか非常に迷っている。
今救った結果悪い方に転がる可能性もある。
事情を何も知らない奴がしゃしゃり出るのは非常にリスキーな行為なのだ。
親の兼ね合いもあるだろうし。
という事で、とりあえずお父様のところに向かい彼女の素性を聞く事にする。
と、彼女の親はどこの派閥にも属さない士爵という非常に地位の低い貴族の娘である事が判明した。
「なら行くか」
他派閥に属しているのなら無視すべきだ。
だがそうでないのなら助けても問題なし。
そうとわかれば行くべきだ。
行くべきなのだろうか?
いや今行くと決めたばかりではないか。
いや待てよ、いやいや行くって言ったら行くのだ。
何をやっている?って?
正直無茶苦茶怖いっす。
前世での出来事が蘇るからだ。
心臓がばくばくと言っているのがわかる。
鼓膜が押し出されるような感覚と共に眩暈までしてきた。
「フウ〜、よし行こう!」
とようやく覚悟を決め、あちらに歩き出す。
そして言ってやった。
「き、君たち、イジメはあまり感心しないな」
(やべーミスった!
せめて、ご機嫌麗しく、よろしければそちらの女性をお借りしてもよろしいでしょうか?
みたいな感じで聞けばよかったのに)
最初からイジメと断定して話しかけたら角がたつ。
案の定取り巻きの1人が、
「あら?どちら様かしら?こちらにいらっしゃる方がどなたかご存じないのかしら?」
「し、知りませんが・・・」
と俺のへっぴり腰を見て格下だと確信したのか。
「よろしいですか?こちらにおわす方はリットン侯爵様の長女であらせられる、ミナリア様ですわ。図が高いのではなくて?因みにあちらにいるのは士爵の娘ですわ」
後者は知っている。というか適当だな。
(つかお前ら王女殿下が俺に話しかけたとこ見なかったの?)
と思いつつも仕方がないので名乗ってやる。
「ぼ、僕の名前はレイン。オリオン公爵家の長男です。以後よろしく」
と簡潔に言ってやった。
「お、オリオン公爵家ですって!?」
と驚愕している。
後で知った話だがこの国では絶対に逆らってはいけないと言われる家が3つある。
1つは言うまでもなく王家だ。
説明は不要だろう。
2つ目は代々宰相の地位につき、王家を支えているリーリンノット公爵家。
そして貴族の中では最も大きく肥沃な領地があり、大量の資金があるオリオン公爵家である。
我が国は一応海に面しているがオリオン公爵領は海に面していない。
だが何故かオリオン家の分家がそちらで輸送を取り仕切っている。オリオン領で取れた鉱物や穀物などを輸送して大量の資金がある。
当然親に口酸っぱく注意されているはずだ。
「くっ、きょ、今日はこれくらいにしてさしあげますわ!行くわよ!」
「「「「ハッハイ」」」」
と言って去っていった。
「ハア〜〜〜〜〜〜〜〜・・・疲れた」
と長いため息をついた後愚痴ってしまう。
「あ、あのあの、そのあの・・・」
と出合った頃のスクナみたいな喋り方をしだした。
「フウ、やあ、こんにちは、僕の名前はレイン・デュク・ド・オリオンと申します。
君の名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「は、はい!プリム・シュヴァリエ・ド・ハーバーです!よろしくお願いします!」
「う、うん、元気があって大変よろしいですね。
ただもう少し声のボリュームを下げてくれると嬉しいですね」
ハッとした様子で周りを見渡し顔を赤くしている。周りから見られて俺も恥ずかしい。
(ああ、いいな〜、非常に親近感がわく光景だ)
元いじめられっ子として虐められている子を見ると親近感がわき、話しやすくなるのだ。
「もしよろしければ少しお庭の方でお話しいたしませんか?」
「は、はい。喜んで」
と可愛い笑顔を真っ赤にしながらそう言った。
「これはこれは王女殿下、本日はよくぞおいでくださいました。
私の名前は、ヒルデ・デュク・ド・オリオン、こちらは私の長男のプロウス・デュク・ド・オリオンと申します。
もしよろしければ是非ともプロウスと一緒に少しお話を致しませんこと?」
第2夫人とプロウス君だった。
(よし!今に限ってはナイス判断だったぞ。
いつも空気読まないお前らだが今回だけは見直した!今の内に・・・)
と周りから不自然に思われないように、神眼で背後に注意しながら後退していく。
「ご丁寧にありがとうございます。ですが申し訳ございませんが本日は先約がございまして」
「せ、先約ですか?」
「はい、オリオン公爵家のご長男であらせられるあそこにいらっしゃるレイン様とお話をしに参ったのです」
(グハッ、逃げられなくされた!)
名指しをされた以上逃げるわけにはいかなくなってしまった。
第2夫人達も固まっている。
「では、失礼いたしますわ」
と言ってこちらに歩いてくる。
凄いこちらをガン見しながら歩いてくるのだ。
俺も後退を止めてしっかりと立ち王女様を迎える体制を整える。
取り巻き達も固唾を飲んで見守っている。
そしてとうとう俺の前に王女様が立った。
「これはこれは王女殿下、私の様なもののためにわざわざ来て頂けるとは大変恐縮にございます」
既に体面を保つこと忘れていた。
前世の知識を総動員して、堅い言葉と慇懃な礼をする。
さっき収まった胃液がまた逆流しそうだ。
「フフ、こんにちは、レイン様。
それ程かしこまらなくてもよろしくてよ。
だって私は貴方の婚約者なのだから」
「ハイ?今なんと仰いましたか?」
いまこの人なんて言った?
「あら?だから私は貴方の婚約者、即ち許婚ですわ」
「・・・」
固まってしまった。
暫く二の句が告げずにいるとお父様がやって来た。
「これは王女殿下、ご機嫌麗しく」
「オリオン公爵様もご機嫌麗しく」
「私の息子のレインが何か失礼を致しましたかな?」
(いやあんた聞いてただろ)
と、やっと内心愚痴るまでは出来るようになった。
「いえ、ただ私が許婚だと言うのは初耳だそうで固まってしまいましたわ」
「おお、おお、そうでしたか。実は私も言い忘れましてね、ハッハッハ」
(はいダウト!そんな事言わなかったやん!
俺の記憶が正しければ後でのお楽しみって言ってたぞ)
「で、どうですかなうちのレインは?小さい頃から本が好きでしてな。博識でありますぞ。
だからと言って引きこもっているわけではなく、何度も城下街をその足で見に行っておりますから」
お父様が押し売りみたいな口上を述べ始めた。
「あら、そうでしたの。私も最近やっと字を覚えたところですので羨ましいですわ」
「おお!そうでしたか!大変ご立派にございます」
「ありがとうございます。レイン様と2人でゆっくりとお話がしたいので時間を作ってくださいませんか?」
「おお!おお!どうぞどうぞ。うちのレインでよろしければいつでも構いませぬ」
「ありがとうございます。ではまた、ご機嫌よう」
と言って去っていった。
「フウ、おいレイン、お前何も言ってないではないか。情けない奴だ」
と怒っているよりもいたずらが成功した子供のようにニヤニヤして笑っていた。
「ハァ、緊張した……。
お父様、先に言ってくださいよ、早めに言ってくだされば僕だってあんな無様晒しませんでしたよ」
王女様が許婚なんて聞いていない。勘弁して欲しい。
「それにしてもお前を子に持つ俺が言うのもなんだがしっかりした方だったな。口調などもしっかりなさっていた。流石はアルメリア王女様の再来と言われた方だ」
アルメリア王女とはこの国にいた非常に賢く優秀な王女の事で、3歳の頃から沢山の本を読み、大人になってからは政治に携わり、法を幾つも改善させた歴史に名を残す天才の女性の名前だ。
「へえ〜」
へえ〜などと口にしてはいるが内心嫌々だ。
頭の良い女性は尻に敷かれそうなので正直ご遠慮願いたい。
「それはともかく王女殿下に気に入ってもらえてよかったではないか。
内心ヒヤヒヤしていたからな!
もしお前を気に入ってくださらなかったらどうしようかと思ったぞ」
「は、はあ〜、そうですか。
というかお父様、今更ですが好きな女を選べとかこの前言ってませんでしたか?」
「いるのか?」
「いませんが」
速攻切り返されて終わってしまった。
「まあ、とにかく安心した。後はゆっくり楽しめ。ハッハッハ」
と言って自分の陣営に戻っていった。
気分は最悪だ。帰りたい。
と、
こちらとは反対側で女の子5人が1人の女の子を囲って何か言っていた。
見たところ、何か女の子の気に入らないところを5人で笑っているらしかった。
このパーティーは毎年開かれるが5歳だけが出席しているわけではなく上は10歳位までが来れることになっている。
5人での中では多分10歳くらいの子もいる。
(イジメか、早いな。多分、爵位がああだこうだという話だろう)
虐められている女の子は周りの子と比べてふた周りほどドレスの質が落ちるのがわかる。
これでも5年も公爵家にいたためそこら辺はそれなりに詳しくなっている。
「さてどうしたものか・・・」
正直言ってどうしようか非常に迷っている。
今救った結果悪い方に転がる可能性もある。
事情を何も知らない奴がしゃしゃり出るのは非常にリスキーな行為なのだ。
親の兼ね合いもあるだろうし。
という事で、とりあえずお父様のところに向かい彼女の素性を聞く事にする。
と、彼女の親はどこの派閥にも属さない士爵という非常に地位の低い貴族の娘である事が判明した。
「なら行くか」
他派閥に属しているのなら無視すべきだ。
だがそうでないのなら助けても問題なし。
そうとわかれば行くべきだ。
行くべきなのだろうか?
いや今行くと決めたばかりではないか。
いや待てよ、いやいや行くって言ったら行くのだ。
何をやっている?って?
正直無茶苦茶怖いっす。
前世での出来事が蘇るからだ。
心臓がばくばくと言っているのがわかる。
鼓膜が押し出されるような感覚と共に眩暈までしてきた。
「フウ〜、よし行こう!」
とようやく覚悟を決め、あちらに歩き出す。
そして言ってやった。
「き、君たち、イジメはあまり感心しないな」
(やべーミスった!
せめて、ご機嫌麗しく、よろしければそちらの女性をお借りしてもよろしいでしょうか?
みたいな感じで聞けばよかったのに)
最初からイジメと断定して話しかけたら角がたつ。
案の定取り巻きの1人が、
「あら?どちら様かしら?こちらにいらっしゃる方がどなたかご存じないのかしら?」
「し、知りませんが・・・」
と俺のへっぴり腰を見て格下だと確信したのか。
「よろしいですか?こちらにおわす方はリットン侯爵様の長女であらせられる、ミナリア様ですわ。図が高いのではなくて?因みにあちらにいるのは士爵の娘ですわ」
後者は知っている。というか適当だな。
(つかお前ら王女殿下が俺に話しかけたとこ見なかったの?)
と思いつつも仕方がないので名乗ってやる。
「ぼ、僕の名前はレイン。オリオン公爵家の長男です。以後よろしく」
と簡潔に言ってやった。
「お、オリオン公爵家ですって!?」
と驚愕している。
後で知った話だがこの国では絶対に逆らってはいけないと言われる家が3つある。
1つは言うまでもなく王家だ。
説明は不要だろう。
2つ目は代々宰相の地位につき、王家を支えているリーリンノット公爵家。
そして貴族の中では最も大きく肥沃な領地があり、大量の資金があるオリオン公爵家である。
我が国は一応海に面しているがオリオン公爵領は海に面していない。
だが何故かオリオン家の分家がそちらで輸送を取り仕切っている。オリオン領で取れた鉱物や穀物などを輸送して大量の資金がある。
当然親に口酸っぱく注意されているはずだ。
「くっ、きょ、今日はこれくらいにしてさしあげますわ!行くわよ!」
「「「「ハッハイ」」」」
と言って去っていった。
「ハア〜〜〜〜〜〜〜〜・・・疲れた」
と長いため息をついた後愚痴ってしまう。
「あ、あのあの、そのあの・・・」
と出合った頃のスクナみたいな喋り方をしだした。
「フウ、やあ、こんにちは、僕の名前はレイン・デュク・ド・オリオンと申します。
君の名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「は、はい!プリム・シュヴァリエ・ド・ハーバーです!よろしくお願いします!」
「う、うん、元気があって大変よろしいですね。
ただもう少し声のボリュームを下げてくれると嬉しいですね」
ハッとした様子で周りを見渡し顔を赤くしている。周りから見られて俺も恥ずかしい。
(ああ、いいな〜、非常に親近感がわく光景だ)
元いじめられっ子として虐められている子を見ると親近感がわき、話しやすくなるのだ。
「もしよろしければ少しお庭の方でお話しいたしませんか?」
「は、はい。喜んで」
と可愛い笑顔を真っ赤にしながらそう言った。
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