異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編

ノベルバユーザー202613

第41話 ステータスを両親に告げる

両親との和解し散々泣いた後、一度一眠りをし、そして目を覚ました時には既に日が昇り、朝になっていた。

「う、う〜ん…スウゥゥゥ……ハアァァァァ……」

と一度深呼吸をして、昨日あった出来事を反芻する。

そして思い出す。

(そうか…俺はこの世界で親の愛を知れたのか……)

そう思うと歓喜とともに涙が出そうになる。

それを上を向きながら深呼吸をすることでなんとか抑える。

そしてしばらく目を瞑り、

「よし!行くか!」

と自分を奮起させ、自分の部屋を出てお父様とお母様のところへ向かおうとすると、ベッドの横でメイドが椅子に座りながら寝ていた。

「う〜ん…」

起こすかどうか非常に迷いどころだ。
眠ったばかりなら起こすべきではない。

だが、

(あえて起こす!)

ということで頬っぺたをツンツンと突いてやった。

次の瞬間、カッとメイドの目が見開き、そしてバッと前を向き、俺と目が合う。

「やあ、おはようございます」

そう気の無い返事をする。

「あ……あ、あの…私……」
「ありがとうございます。貴方のおかげで僕は愚か者ですむことができました。
本当に、うぶっ!!?」
と感謝を述べていると急にメイドに抱きつかれた。

「あ、あの、わ、私のせいでレイン様がお倒れになり、どうしようもなく……」

そしてギュッと抱き返して俺は言った。

「いえ、僕が悪かったんですよ。些細な誤解から両親の事を知ろうともせずに距離を置いて近寄ろうともしなかったのですから……
でももう大丈夫です。もう大丈夫。
お父様達の愛を知ったのだから僕はまだ立ち上がれる。
本当にご迷惑をお掛けしました」

我ながら臭いセリフを吐くものだ。
だが偶にはこういうのもいいだろう?

「いえ、とんでもございません!
レイン様がお元気になられて何よりです!」

といつもは冷静沈着なメイドが珍しく興奮していた。

「ではお父様達に会いに行きますか。
今2人は何処にいるのでしょうか?」
「はい。多分旦那様の執務室かと思います」
「そうですか、ありがとうございます。
一緒に行きましょう!」
「ハッ!」

といつもの調子を取り戻したようだった。

そして部屋を出て廊下を歩き、執務室のドアの前に着く。

そしてドアをトントンとノックする。
すると中からお父様の声で
「入ってよいぞ!」
と声が聞こえたので「失礼します」と言いながらドアをガチャリと開けて中に入る。

すると少しお疲れ気味だったお父様の顔がみるみるうちに喜びの顔に変わった。

「おお!レイン!起きたのか!
身体の調子はどうだ?」

「はい!お陰様でだいぶ調子がいいですよ!」

「そうかそうか!それは何よりだ!」

と笑顔で頷く。

「ところでお母様は?」

「ソフィーならそこだよ」

と言ってソファーを指す。
そこにはお母様がソファーから脚だけを出した状態で身体を横にして眠っていた。

「眠ったばかりなのでしたら起こさなくても構いませんよ」

「ふむ…いや、これから大事な話があるだろう?」

「いえいえ、時間でしたらいくらでもありますから大丈夫ですよ。僕は先に食堂で朝食をいただきますね」

ちょっとお腹が空いている。

「そうか…よし!なら私も行こう」

とお父様がいうと

「う…う〜ん…」

とお母様が目を覚ます。

「お?丁度良かったみたいだな!」

そして最初にお父様の方を見ながら

「う〜ん、貴方、おはようございます」

「うむ!おはようソフィー」

と挨拶をし、次にこちらを見る。

「おはようございます!お母様!」
と元気に挨拶をする。

するとお母様の顔が驚愕に変わり、

「レイン!!」
と俺の下まで来て抱きついてきた。

「ああ、レイン。目が覚めて良かったわ!
もう大丈夫なのね?」

「はい!」

(心も身体もね)

と心の中で呟き、抱きつき返す。

「ありがとうございます。僕はやっと前を向けそうですよ」

今までも前を向いているつもりだった。
だけど実際は横を向いて立ち止まってしかいなかったのだ。

「いいのよそんなこと!家族なのだから」
「はい!」
「さあ、お腹も空いたでしょう?御飯にしましょう」
「はい!お父様は?」
「私も行こう」
と言って立ち上がる。

お母様は俺の手を繋ぎ、お父様は俺の横を歩く。
そして食堂につき、昨日あった事件の大まかな内容とそれに伴い、今日陛下に会いに行くが大丈夫か?などを話し合う。

獣人達は差別の撤廃を求めていたようだ。
この国での獣人達の立ち位置は地域による。
オリオン領は共存共栄、第2夫人の実家の公爵領とかだと人族主義が主流だ。

ただ国の方で差別を禁止しているわけではないので人によるとしか言いようがない。

(ならオリオン領とかに来ればいいじゃん、と俺としては思ったりするのだがそういう考えは安易なんだろうか?)

人には人の事情があるのだろう、と納得することにする。
難しい話だ。

そして朝食を食べ終わり、部屋に戻ろうとするとやっぱり声がかかった。

「レイン、何処に行くのだ?まだ話は終わってないぞ」

もちろん冗談だ。
全部は絶対に無理だがちゃんと話すさ。

そしてまたお父様の執務室に一緒に戻る。
部屋にはメイドとお父様とお母様と俺の四人だけだ。

「さて、では早速お前のスキルについて聞かせてもらおうか?」

「はい」

と話し始める。

「僕のスキル数は5、それがお父様達が知っているスキル数ですね」

「うむ!レア4のMP上昇率大、レア5の神速、レア6の我が矛は最弱なり、我が盾は最強なり、レア7の魔力全吸収、レア7の無詠唱以上の5つだな」

これを知ってさえいれば、と今でも思う。
子供に自分のスキルを説明するかは親によるのだ。
平民とかだと碌に見てもらえない。
俺の場合は人格の問題があった。

そこで一呼吸して、話し始める。

「はい、ですが僕には実はそれ以上のスキルレア度9のスキル魔導王があります。
能力は全魔法才能の使用…、そして魔法を使うときに消費するMPを4分の1、にして、MP上昇率を4倍にするスキルです」

改めて見ると化け物だな。
何それ?って感じだ。

「な、なん、だと……」

と絶句していた。

お母様もメイドも驚愕の顔をしている。

「だ、だが私は魔眼石でお前のステータスを見たとき確かに魔法才能はなかったぞ?」

そう、まさかのスキル欄に特設ステージが出来ていたのだ。これが誤解を生んだ発端だ。

「はい、魔法才能が書いてある場所が違うのですよ。
僕の魔法才能が書かれている場所は魔法才能の欄ではなく、スキル欄の魔導王の下なのです」

「な、なんだと……。いや、いや待て!それはおかしい。それはおかしいのだよレイン!何故お前がそれを知っている?何処かで魔眼石、いや鑑定石でもみて調べたのか?」

「いえ、みてませんよ」

「ならわかるはずがないだろ?」

「僕のスキルの最高レア度は9ではないのですよ」

神眼の全容を話す気はない。
(俺の立場がヤバくなるからな)

これでどれだけ覗きをしてきたことか……。

「な……ちょっと、ちょっと待ってくれ」

と言ってお父様は天を仰ぐ。
お母様たちも今にも気絶しそうな顔だ。

「あの、陛下にあってからにしますか?」
と言って気をきかせる。

「いや、う、む、取り敢えず魔導王だけでも詳しく聞こう。そっちは後でまた聞く」

「はい、わかりました。
ただその話をするとまだまだ驚くことばかりですよ?」

「わかっておる。覚悟は、してきたつもりなのだがな…」

と語尾を濁す。

「では、そのスキルのおかげで僕は自分の魔導王のスキル説明欄にある魔法才能を知ることができるのです」

「そ、それで今の魔法才能のレベルは?
それぞれのレベルは幾つなのだ?」

「まずは火魔法が6です」

「う…」

(う?」

驚きすぎて死にそうだった。5歳で魔法才能のレベルが6など伝説の中の話だと思っていたからだ。

「あの…」

「かまわん!かまわんから話すのだ!」

とやけになっていた。

「風魔法も6ですね」

「……」

みてわかるぐらいに落ち込んだ。

「土魔法と闇魔法も6ですね」

ここら辺は仕方がない。6から7は結構キツイのだ。
それに現状必要ないと思ったからだ。

「そして光魔法が7で水魔法が8ですね」

と一気に言い切った。
そろそろ両親がやばい。
最後には全く動かなくなった。

そして20分以上の間沈黙が流れ、そろそろ何か言おうとしたときお父様が小さい声で

「これが英雄と呼ばれる者の才能か……」

と呟いた。



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