異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編
第92話 わたぁしのなまぁえ!
重いアピール。
どうすればいいのだろうか?
感覚的には小学生がランドセルを持っているくらいの重さしかない。
重いアピール……。
一瞬魔法で汗でも出そうかと思ったのだが、よく考えなくったって吸収してしまう。
もしくは疲れたアピール。
だが、下手に大根役者ぶりをし過ぎるとターニャさんに怪しまれてしまう。
だが、このまま平然としていてもおかしい。
八方塞りだ。
リサさんは前を歩いていて助けてくれない。
どうしようもなくそのまま30分歩き続けてしまった。
森を抜け、ポルネシア軍の本陣が見えてきた。
ターニャさんはチラチラと俺の事を見てくるし。
確実に俺のレベルが高い事が露見した気がする。
まあ、ドンマイ。
そのまま歩いて本陣まで帰る。
本陣に近付くと向こうから兵がやってくる。
俺たちの前で立ち止まると敬礼しながら話しかけてくる。
「お帰りなさいませ!
お疲れとは思いますが、元帥が天幕で待っておられますのでお越し下さい」
「分かりました」
俺の代わりにランド隊長が応え、俺たちもそれに続く。
というか俺は一体いつまでオンブをしているのだろうか?
数ある天幕の中で一際大きな天幕に入るとお父様が椅子に座りながら待っていた。
「帰ったか。ランド、それに他の者たちも任務遂行ご苦労だった。
それと……」
と言いながら立ち上がり、右手を胸に当て左手を背中に持って行き、リリーとターニャさんに向き直り最上位の貴族の礼をする。
「お初にお目にかかる。
我が名はロンド・デュク・ド・オリオン。
ポルネシア王国で最も古く誇り高きオリオン家の現当主をしておる者です。
リュミオンの王族の方々におかれましては……」
(……長い。
ガチなやつだ)
王族に対する貴族の礼をお父様がやっている。
普段を見ているから物凄い違和感のある光景だ。
だが、微妙にゲッソリしている俺に対して、リリーは目を輝かせていた。
(顔か?やっぱり顔か?
イケメンフェイスがいいのか!?
イケメンフェイス……、俺も今後に期待したいところだ)
金髪碧眼で髪型もワックスなどもつけていないのだが、何故かフワッとしている。
顔も小さく整っており、カッコいいというよりは可愛い系男子といったところだろう。
ただ一つ問題としては、目が普通の人の半分しか開いていないという事だ。
これは俺もなんでかよく分からん。
前世からの癖の引き継ぎだろうと思う。
これが俺の顔をダメにしている、などという事が分かるほどの美的感覚は俺にはない。
そして、周りも言ってくれない。
帰ったらコウとメイにでも聞いてみようか。
考え事をしていたらいつの間にか話が終わっており、リリーが挨拶をしていた。
それを眺めていたらリリーが突然俺の方に向く。
「ほらリドル!
ちゃんと挨拶しなさい。
ルナも何時迄もおんぶされてないで!」
突然お姉ちゃん口調で命令してきた。
「「えぇぇ〜〜……」」
俺とルナで言葉が重なった。
俺のえ〜は、え〜俺もすんのかよ〜で、ルナのはえ〜面倒くさいだ。
渋っていたらリリーが怒る。「ほら!リドル!ルナ!お姉ちゃんは二人をそんな子に育てた覚えはないわ」
(……いや、それは本当にないだろ。
俺らまだ会ってから一時間も経ってないぜ?)
内心突っ込んで動かない俺の背中でルナが仕方なくといった感じで降りる。
面倒くさそうな顔だ。
「ルナです。
宜しくお願いします」
一礼をしながらそう言った。
それを見ながら俺はどうすればいいのか考える。
お父様は、特に何も声を掛けてこない。
(何となく状況は分かっているだろうに。助けて欲しいのだが)
俺の願い虚しくお父様はこちらを見るだけだった。
表情もなんとも言えない。
(そんなお父様に贈ろう。
俺の精一杯を!)
「わたぁしのなまぁえ!リィィドォォォルゥゥ!!!」
そう叫びながら、渾身の一礼をする。
足の開き具合、腰を折る角度、頭の下げる位置!
この上ない礼だ。
ガッ!
「痛っ!!」
突然頭を殴られた。
目の前を見るとリリーが仁王立ちをしながら立っていた。
顔は怒ってますと言わんばかりに眉を寄せて髪が逆立っているように見える。
「リドル!後でお仕置き!」
そう告げられ、天幕を引きずり出されてしまった。
どうすればいいのだろうか?
感覚的には小学生がランドセルを持っているくらいの重さしかない。
重いアピール……。
一瞬魔法で汗でも出そうかと思ったのだが、よく考えなくったって吸収してしまう。
もしくは疲れたアピール。
だが、下手に大根役者ぶりをし過ぎるとターニャさんに怪しまれてしまう。
だが、このまま平然としていてもおかしい。
八方塞りだ。
リサさんは前を歩いていて助けてくれない。
どうしようもなくそのまま30分歩き続けてしまった。
森を抜け、ポルネシア軍の本陣が見えてきた。
ターニャさんはチラチラと俺の事を見てくるし。
確実に俺のレベルが高い事が露見した気がする。
まあ、ドンマイ。
そのまま歩いて本陣まで帰る。
本陣に近付くと向こうから兵がやってくる。
俺たちの前で立ち止まると敬礼しながら話しかけてくる。
「お帰りなさいませ!
お疲れとは思いますが、元帥が天幕で待っておられますのでお越し下さい」
「分かりました」
俺の代わりにランド隊長が応え、俺たちもそれに続く。
というか俺は一体いつまでオンブをしているのだろうか?
数ある天幕の中で一際大きな天幕に入るとお父様が椅子に座りながら待っていた。
「帰ったか。ランド、それに他の者たちも任務遂行ご苦労だった。
それと……」
と言いながら立ち上がり、右手を胸に当て左手を背中に持って行き、リリーとターニャさんに向き直り最上位の貴族の礼をする。
「お初にお目にかかる。
我が名はロンド・デュク・ド・オリオン。
ポルネシア王国で最も古く誇り高きオリオン家の現当主をしておる者です。
リュミオンの王族の方々におかれましては……」
(……長い。
ガチなやつだ)
王族に対する貴族の礼をお父様がやっている。
普段を見ているから物凄い違和感のある光景だ。
だが、微妙にゲッソリしている俺に対して、リリーは目を輝かせていた。
(顔か?やっぱり顔か?
イケメンフェイスがいいのか!?
イケメンフェイス……、俺も今後に期待したいところだ)
金髪碧眼で髪型もワックスなどもつけていないのだが、何故かフワッとしている。
顔も小さく整っており、カッコいいというよりは可愛い系男子といったところだろう。
ただ一つ問題としては、目が普通の人の半分しか開いていないという事だ。
これは俺もなんでかよく分からん。
前世からの癖の引き継ぎだろうと思う。
これが俺の顔をダメにしている、などという事が分かるほどの美的感覚は俺にはない。
そして、周りも言ってくれない。
帰ったらコウとメイにでも聞いてみようか。
考え事をしていたらいつの間にか話が終わっており、リリーが挨拶をしていた。
それを眺めていたらリリーが突然俺の方に向く。
「ほらリドル!
ちゃんと挨拶しなさい。
ルナも何時迄もおんぶされてないで!」
突然お姉ちゃん口調で命令してきた。
「「えぇぇ〜〜……」」
俺とルナで言葉が重なった。
俺のえ〜は、え〜俺もすんのかよ〜で、ルナのはえ〜面倒くさいだ。
渋っていたらリリーが怒る。「ほら!リドル!ルナ!お姉ちゃんは二人をそんな子に育てた覚えはないわ」
(……いや、それは本当にないだろ。
俺らまだ会ってから一時間も経ってないぜ?)
内心突っ込んで動かない俺の背中でルナが仕方なくといった感じで降りる。
面倒くさそうな顔だ。
「ルナです。
宜しくお願いします」
一礼をしながらそう言った。
それを見ながら俺はどうすればいいのか考える。
お父様は、特に何も声を掛けてこない。
(何となく状況は分かっているだろうに。助けて欲しいのだが)
俺の願い虚しくお父様はこちらを見るだけだった。
表情もなんとも言えない。
(そんなお父様に贈ろう。
俺の精一杯を!)
「わたぁしのなまぁえ!リィィドォォォルゥゥ!!!」
そう叫びながら、渾身の一礼をする。
足の開き具合、腰を折る角度、頭の下げる位置!
この上ない礼だ。
ガッ!
「痛っ!!」
突然頭を殴られた。
目の前を見るとリリーが仁王立ちをしながら立っていた。
顔は怒ってますと言わんばかりに眉を寄せて髪が逆立っているように見える。
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