超迷宮奇譚伝 『このアイテムは装備できません!』
呪われた村という観光地
それは3年前の出来事でございます。
大きな大きな……それは大きな地震がありました。
御存じの通り、のちにガレス震災と言われる地震でありますが――――
いえいえ、幸いにして、ここらの地域では、それほど大きな被害を受けたわけではありません。
しかし、しかしでありますが、我が村に取って真の被害はここから始まるのでございました。
「はぁ」と僕、トーア・サクラは返事を返した。
パンパンと村長さんは極東の講談師のように、座布団に正座して、畳んだ扇子を地面に叩いてみせた。
「実は、その直後―———
我が村の最北に位置に神を奉る神聖な祠で異変が起きたのでございます。
最初の異変に気付いたのは、祠の前に建てられた鳥居を修復しておりました若者でございました。
祠の内部、何か光が見えたのです。
若者も無論、この村の者。幼き頃より、近づかぬの祠として教えられていたのでありますが、
なにぶん、童の頃は教えを、言い伝えを守らぬもの、度胸試しで祠の内部に入るのは経験済みだったのでしょう。だから―――
だから、不注意にも、安易にも、無防備にも、祠の中に入ってしまったのです。
その祠の奥底、最深部。それまではだたの行き止まりがあっただけ……
しかし、地震の影響でしょうか? 最深部の壁が崩れ落ちて、光を発する物が見つかったのです。
それは鎧でした。 そう、光の鎧でございます。
嗚呼、なんと美しい鎧でしょうか? 若者をその鎧に吸い寄せつけられるように近づいてしまったのです。
するとどうでしょう? 若者の体は鎧に触れるより前に、液体に変わり、今もまだ、鎧を濡らし続けているのでございます」
僕の隣ではドラゴンが、ウトウトと首を前後に船を漕いでいた。
さらにその横では、クリムが体を丸めて寝ている。
さらにその横―———キララは、その名前の通りに、目をキラキラと輝かせて村長の話に聞き入っていた。
「さてはて、つきましては、各地を回って呪われた道具を除去していると言われる有名なサクラ様御一行がこの村に訪れたとは、これ幸い。どうかどうか、この呪われた村をお救いお願いお願いいたします」
……と言うわけだ。
僕らはたまたま、この村を訪れたわけだが、どうも呪われた鎧がある村だったらしい。
そして、何がどう捻じ曲げられたのかわからないが、僕らの存在がそれなりに有名になっていた……らしい。
(まぁ、イスカルで目立ちすぎたからなぁ……御尋ね者って事まで伝わっていないのかなぁ?)
「是非! 受けましょ! サクラさん!」とキララが勢いよく立ち上がった。
一方、僕は―———
「え?あぁ、うん……」と少し、消極的だった。
村長の態度を見れば、この話題を話し慣れているのがわかる。
それに……
僕は外を見た。
村長の家の前には観光客が通り過ぎていく。
夜にも関わらず何人もだ。
要するに、ここは呪いを利用した観光地であり、僕らはそれに————話題作りに利用されようとしている。
俺たちは御尋ね者という事で悪目立ちするわけにはいかないのだが……
「分ります! 沈黙は肯定ですね。お受けします!」
とキララが暴走した。
大きな大きな……それは大きな地震がありました。
御存じの通り、のちにガレス震災と言われる地震でありますが――――
いえいえ、幸いにして、ここらの地域では、それほど大きな被害を受けたわけではありません。
しかし、しかしでありますが、我が村に取って真の被害はここから始まるのでございました。
「はぁ」と僕、トーア・サクラは返事を返した。
パンパンと村長さんは極東の講談師のように、座布団に正座して、畳んだ扇子を地面に叩いてみせた。
「実は、その直後―———
我が村の最北に位置に神を奉る神聖な祠で異変が起きたのでございます。
最初の異変に気付いたのは、祠の前に建てられた鳥居を修復しておりました若者でございました。
祠の内部、何か光が見えたのです。
若者も無論、この村の者。幼き頃より、近づかぬの祠として教えられていたのでありますが、
なにぶん、童の頃は教えを、言い伝えを守らぬもの、度胸試しで祠の内部に入るのは経験済みだったのでしょう。だから―――
だから、不注意にも、安易にも、無防備にも、祠の中に入ってしまったのです。
その祠の奥底、最深部。それまではだたの行き止まりがあっただけ……
しかし、地震の影響でしょうか? 最深部の壁が崩れ落ちて、光を発する物が見つかったのです。
それは鎧でした。 そう、光の鎧でございます。
嗚呼、なんと美しい鎧でしょうか? 若者をその鎧に吸い寄せつけられるように近づいてしまったのです。
するとどうでしょう? 若者の体は鎧に触れるより前に、液体に変わり、今もまだ、鎧を濡らし続けているのでございます」
僕の隣ではドラゴンが、ウトウトと首を前後に船を漕いでいた。
さらにその横では、クリムが体を丸めて寝ている。
さらにその横―———キララは、その名前の通りに、目をキラキラと輝かせて村長の話に聞き入っていた。
「さてはて、つきましては、各地を回って呪われた道具を除去していると言われる有名なサクラ様御一行がこの村に訪れたとは、これ幸い。どうかどうか、この呪われた村をお救いお願いお願いいたします」
……と言うわけだ。
僕らはたまたま、この村を訪れたわけだが、どうも呪われた鎧がある村だったらしい。
そして、何がどう捻じ曲げられたのかわからないが、僕らの存在がそれなりに有名になっていた……らしい。
(まぁ、イスカルで目立ちすぎたからなぁ……御尋ね者って事まで伝わっていないのかなぁ?)
「是非! 受けましょ! サクラさん!」とキララが勢いよく立ち上がった。
一方、僕は―———
「え?あぁ、うん……」と少し、消極的だった。
村長の態度を見れば、この話題を話し慣れているのがわかる。
それに……
僕は外を見た。
村長の家の前には観光客が通り過ぎていく。
夜にも関わらず何人もだ。
要するに、ここは呪いを利用した観光地であり、僕らはそれに————話題作りに利用されようとしている。
俺たちは御尋ね者という事で悪目立ちするわけにはいかないのだが……
「分ります! 沈黙は肯定ですね。お受けします!」
とキララが暴走した。
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