影が薄いけど魔法使いやっています
第5話倭の国
とりあえずステータスの事は置いておいて、僕はセレナと共にアルカンディアにある大型ギルドへ。そのギルドは二階建ての木造の建物で、一階が色々な受付をしているらしい。その一階は酒場も兼ねているのか、多くの冒険者が酒に呑んだくれていた。
「すごい……これがギルド」
僕は目の前に広がるその光景に、思わず感激してしまった。アニメとかで何度も見た光景。今それが僕の目の前にある。まるで夢のようにも思える。
「ギルド初めてなの?」
「うん」
二人でギルドの受付へ向かう。僕たちを迎えてくれたのは、美人なお姉さんだった。これもやっぱり王道だなって感じる。
「ようこそ、エトワール二大ギルドの一つ、アルカンディアへ。あらお久しぶりねセレナ」
「元気にしてた? ミナ」
どうやらセレナとミナと呼ばれた受付嬢は知り合いらしく、二人だけでしばらく話し込んでいた。放置された僕は、改めてギルド内を見回す。
(二大ギルドの一つ、か)
そう言われてみれば何だか納得してしまう。ここにいる冒険者の数だけでもゆうに百は越えている。それに二階建てなのだから、上にだって同じくらいいると考えてもおかしくない。
(ここなら新しい仲間も見つけられたりするのかな)
そんな期待しながら待つこと数分、ようやく二人の話が終わったらしく僕はセレナに呼ばれた。
「君がセレナの新しいパーティね。タカサカユウマって変な名前ね。私はミナ、ここの受付嬢をやっているの」
僕のステータスカードを見てミナはそんな事を言いながら、僕に手を差し出す。僕はその手を取り握手をした。
「よろしくお願いします、ミナさん」
「そんな堅苦しく呼ばないで、普通にミナでいいわよ。それよりも君のステータス、すごい興味深いものなんだけどどこから来たの?」
「どこからって」
正直に日本と答えても多分誰も分からないと思うので、どう誤魔化そうか困っていると、
「えっとユウマは」
「その者、もしや倭の国の者ではなかろうか」
セレナが助け舟を出そうとしたところに誰かが会話に入ってくる。声がした方を見ると、そこにいたのは女の子の人形?
「倭の国? そういえばそんな国がこの世界のどこかにあるって聞いた事があるけど」
「名前からしてそうかと思ったのじゃが。妾の思い違いだったかのう、と主が申しておる」
「主?」
人形からずっと離れた先の柱で、こちらをチラチラと見ている銀髪の少女の姿がある。もしかして主とは彼女のことなのだろうか。
(いや、それよりも)
これは誤魔化せるチャンスかもしれない。
「そ、そうなんです。僕倭の国から来た者で」
『ええー!?』
それに乗って僕は発言したと同時に、ギルド内が一斉に沸いた。あれ、もしかしてマズイことを言った?
「倭の国って言ったら、さっきも言ったけどこの世界のどこかにあるって噂でしか聞いた事がないくらいの伝説級の国よ。私やセレナだってそこから来た人なんて聞いたこともないし、本来なら信じられないんだけど……」
「マジかよ……」
「とんでもない新入りが来たな」
「ステータスとかすごいのかな」
ミナに続いて、ギルド内から色々な声が聞こえる。そんなに希少な人物なのだろうか僕は。
『すごい嘘ついちゃったけど、大丈夫?』
そんな状況を見て、いるのかいないのか分からない神様に心配される。
「大丈夫じゃ……ないかな」
それに対して僕は苦笑いして答えた。
■□■□■□
その後無事冒険者としての登録を済まして、ギルドにいた人達にちやほやされながらも、僕とセレナはアルカンディアを散策する事にした。
「それにしてもまさか」
「こんなにお金をもらえるとは」
僕達はここに来るまで無一文の状態だったのだけど、登録した冒険者には必ず渡されるという贈呈品としていくらかのお金をもらった(ちなみにこの世界での単価は、一フォンというらしい)。
で、その贈呈品は初期ステータスによってもらえる額が変わるらしく、魔法に特化していて尚且つ倭の国の人間である事から貯金をしなければならないくらいの額をもらえた。
(何か心が痛む)
咄嗟の判断だったとはいえ、嘘をついてしまい、更にこんなに大きなお金までもらってしまったので、僕の良心をすごく痛んだ。
「それにしてもどうして倭の国の人間だって、教えてくれなかったの? そんなに隠すような事でもないのに」
「隠すつもりは……なかったけど、話がややこしくなると思ってさ」
「でもこれで、あのステータスの理由が分かった。ユウマって、すごい魔法使いだったんだね」
「そ、そうでもないよ」
どこから来ていようが、僕が初心者という事実は変わらない。そういえば倭の国って言葉、地球でも日本の事をそう呼ばれていた気もしなくもない。だから嘘のように見えてら実は本当だったり……。
「ところでさセレナ。ずっと気になっている事が一つあるんだけど」
「うん、私も」
と言って同時に後ろを振り返る。そこには先程の少女人形とそれを操っているであろう女の子が、遠くから僕達を見ていた。
「何じゃ二人とも。妾の気配に気づいておったか、と主は申しておる」
「いや、気づくから普通」
人形が背後からずっと僕達をついてきているなんて考えたらら軽いホラーだ。
「どこにホラー要素などが」
『その人形だよ(よ)!』
一見普通の人形に見えるそれは、いかにも夜中に勝手に動き出しそうな人形だった(現に動いているけど)。
「あと、更に後ろにいる女の子は、何でずっと僕達をガン見しているの? 話があるならちゃんとこっち来て話せばいいのに」
「あ〜、もしかしてそこにいるのアリスでしょ。久しぶりに会ったんだから、ちゃんと顔出しなさいよ」
 
セレナにアリスと呼ばれた少女は、恥ずかしがりながらも一歩ずつ僕達の方に寄ってくる。どれだけ人見知りなんだと言いたいところだけど、今はそれは言わないでおこう。
「セレナ………久しぶり」 
そしてようやく会話できる距離まで来たアリスは、セレナに挨拶をした。
「久しぶりね。元気にしてた?」
「……うん」
か細い声ながらもコクッと頷くアリス。なんか見た目本当に人形みたいな女の子だな。
「えっと、初めまして。僕はユウマ、よろしく」
それに乗じて僕はアリスの手を取って、挨拶をしようとする。しかし、その手は簡単に払われてしまった。
「触るな。汚らわしい」
「へ?」
今なんて言いましたか? この女の子。
「すごい……これがギルド」
僕は目の前に広がるその光景に、思わず感激してしまった。アニメとかで何度も見た光景。今それが僕の目の前にある。まるで夢のようにも思える。
「ギルド初めてなの?」
「うん」
二人でギルドの受付へ向かう。僕たちを迎えてくれたのは、美人なお姉さんだった。これもやっぱり王道だなって感じる。
「ようこそ、エトワール二大ギルドの一つ、アルカンディアへ。あらお久しぶりねセレナ」
「元気にしてた? ミナ」
どうやらセレナとミナと呼ばれた受付嬢は知り合いらしく、二人だけでしばらく話し込んでいた。放置された僕は、改めてギルド内を見回す。
(二大ギルドの一つ、か)
そう言われてみれば何だか納得してしまう。ここにいる冒険者の数だけでもゆうに百は越えている。それに二階建てなのだから、上にだって同じくらいいると考えてもおかしくない。
(ここなら新しい仲間も見つけられたりするのかな)
そんな期待しながら待つこと数分、ようやく二人の話が終わったらしく僕はセレナに呼ばれた。
「君がセレナの新しいパーティね。タカサカユウマって変な名前ね。私はミナ、ここの受付嬢をやっているの」
僕のステータスカードを見てミナはそんな事を言いながら、僕に手を差し出す。僕はその手を取り握手をした。
「よろしくお願いします、ミナさん」
「そんな堅苦しく呼ばないで、普通にミナでいいわよ。それよりも君のステータス、すごい興味深いものなんだけどどこから来たの?」
「どこからって」
正直に日本と答えても多分誰も分からないと思うので、どう誤魔化そうか困っていると、
「えっとユウマは」
「その者、もしや倭の国の者ではなかろうか」
セレナが助け舟を出そうとしたところに誰かが会話に入ってくる。声がした方を見ると、そこにいたのは女の子の人形?
「倭の国? そういえばそんな国がこの世界のどこかにあるって聞いた事があるけど」
「名前からしてそうかと思ったのじゃが。妾の思い違いだったかのう、と主が申しておる」
「主?」
人形からずっと離れた先の柱で、こちらをチラチラと見ている銀髪の少女の姿がある。もしかして主とは彼女のことなのだろうか。
(いや、それよりも)
これは誤魔化せるチャンスかもしれない。
「そ、そうなんです。僕倭の国から来た者で」
『ええー!?』
それに乗って僕は発言したと同時に、ギルド内が一斉に沸いた。あれ、もしかしてマズイことを言った?
「倭の国って言ったら、さっきも言ったけどこの世界のどこかにあるって噂でしか聞いた事がないくらいの伝説級の国よ。私やセレナだってそこから来た人なんて聞いたこともないし、本来なら信じられないんだけど……」
「マジかよ……」
「とんでもない新入りが来たな」
「ステータスとかすごいのかな」
ミナに続いて、ギルド内から色々な声が聞こえる。そんなに希少な人物なのだろうか僕は。
『すごい嘘ついちゃったけど、大丈夫?』
そんな状況を見て、いるのかいないのか分からない神様に心配される。
「大丈夫じゃ……ないかな」
それに対して僕は苦笑いして答えた。
■□■□■□
その後無事冒険者としての登録を済まして、ギルドにいた人達にちやほやされながらも、僕とセレナはアルカンディアを散策する事にした。
「それにしてもまさか」
「こんなにお金をもらえるとは」
僕達はここに来るまで無一文の状態だったのだけど、登録した冒険者には必ず渡されるという贈呈品としていくらかのお金をもらった(ちなみにこの世界での単価は、一フォンというらしい)。
で、その贈呈品は初期ステータスによってもらえる額が変わるらしく、魔法に特化していて尚且つ倭の国の人間である事から貯金をしなければならないくらいの額をもらえた。
(何か心が痛む)
咄嗟の判断だったとはいえ、嘘をついてしまい、更にこんなに大きなお金までもらってしまったので、僕の良心をすごく痛んだ。
「それにしてもどうして倭の国の人間だって、教えてくれなかったの? そんなに隠すような事でもないのに」
「隠すつもりは……なかったけど、話がややこしくなると思ってさ」
「でもこれで、あのステータスの理由が分かった。ユウマって、すごい魔法使いだったんだね」
「そ、そうでもないよ」
どこから来ていようが、僕が初心者という事実は変わらない。そういえば倭の国って言葉、地球でも日本の事をそう呼ばれていた気もしなくもない。だから嘘のように見えてら実は本当だったり……。
「ところでさセレナ。ずっと気になっている事が一つあるんだけど」
「うん、私も」
と言って同時に後ろを振り返る。そこには先程の少女人形とそれを操っているであろう女の子が、遠くから僕達を見ていた。
「何じゃ二人とも。妾の気配に気づいておったか、と主は申しておる」
「いや、気づくから普通」
人形が背後からずっと僕達をついてきているなんて考えたらら軽いホラーだ。
「どこにホラー要素などが」
『その人形だよ(よ)!』
一見普通の人形に見えるそれは、いかにも夜中に勝手に動き出しそうな人形だった(現に動いているけど)。
「あと、更に後ろにいる女の子は、何でずっと僕達をガン見しているの? 話があるならちゃんとこっち来て話せばいいのに」
「あ〜、もしかしてそこにいるのアリスでしょ。久しぶりに会ったんだから、ちゃんと顔出しなさいよ」
 
セレナにアリスと呼ばれた少女は、恥ずかしがりながらも一歩ずつ僕達の方に寄ってくる。どれだけ人見知りなんだと言いたいところだけど、今はそれは言わないでおこう。
「セレナ………久しぶり」 
そしてようやく会話できる距離まで来たアリスは、セレナに挨拶をした。
「久しぶりね。元気にしてた?」
「……うん」
か細い声ながらもコクッと頷くアリス。なんか見た目本当に人形みたいな女の子だな。
「えっと、初めまして。僕はユウマ、よろしく」
それに乗じて僕はアリスの手を取って、挨拶をしようとする。しかし、その手は簡単に払われてしまった。
「触るな。汚らわしい」
「へ?」
今なんて言いましたか? この女の子。
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