影が薄いけど魔法使いやっています
プロローグ〜光の女神様〜
昔から僕は影が薄い。
「びっくりした、いたなら言ってくれよ」
「さっきも言ったんだけど」
どのくらいかって言われると、何時間も前から一緒にいるはずなのに認識されないくらい。当然ながらカメラにある認証機能にも認識されない。
だから何度も自分を変えようとしたし、努力もした。けど、そういうのは簡単に直せるようなものではなく、結局二十歳になっても変わる事ができなかった。
「なるほど。それで気がついてたら死んでいたのね。周りの人気づいていないみたいだし、いいんじゃないの?」
「あのぉ」
「あ、私が何でそんな事を知っているかって? それは私は女神だからよ」
「いや、そうでもなくて……。というか、僕が死んだってどういう意味ですか?」
そしてその二十歳も終わろうとした頃、何故か僕は女神とか名乗る小さな女の子の前に立っていた。さっきまで部屋にいたはずなのに、今は漫画で出てきそうな天界みたいな場所にいる。
それにしてもさっきこの女神(?)、僕の事死んだって言わなかった?
「そのままの意味よ。もしかして自覚とかしてないの?」
「いや、だってさっきまで自分の部屋にいたはずだから、いきなりそんな事言われたって理解できないよ」
何度も言うけど、先ほどまで僕は部屋にいたので、そんな自覚とかあるわけがない。
「ふーん。記憶にないんだ」
まるで何かを知っているかのような口ぶりの女神様。そんな言われ方をすると、気になるんだけどなぁ……。
「もしかして何か深い事情があって、死んだとか?」
「ううん。普通に病死よ」
「じゃあ意味ありげに言わないでよ!」
(でも病死か……)
僕そんなに重い病気患っていたっけ。
「まあ、そのあたりの話は自分で思い出してもらうとして、君の名前は高坂悠馬君だっけ? 突然だけど異世界に行ってみない?」
そんな僕の疑問をよそに女神様は話を進める。彼女の口から普段は聞く事もない言葉が出てきた。
「異世界?」
異世界と言えばあのライトノベルとかでよく出てくる、エルフとかゴブリンとかスライムとかが住んでいる世界とかの事だろうか。本やゲームでの世界でしかないのでそこまで知識はないけど、ああいう所って常に命の危険に晒される事くらいしかイメージが湧かない。
(つまりもう一回死んでこいって言っているのかな、この女神)
「異世界って一歩間違えば死ぬような世界の事だよね?」
「どんな偏見を持っているか知らないけど、そこまで悪い世界ではないよ」
そうは言われても、いいイメージがないので乗り気にもなれない。更にもう一つ、異世界に行く人には大体の共通点がある。
「異世界に行く人って、何かしらの力を持っている人でしょ? 僕にそんな力があるわけないし、そもそも何で異世界に行かなきゃいけないの?」
「それにはここでは語れない深い事情があるの」
「深い事情? そういえばさっき、自分の事女神とか言っていたけどそれと何か関係があったりするの?」
「関係があると言えば、あるけど、ないと言われればないかも」
「さっきから答えが曖昧だなぁ」
どうも胡散臭い気がするのは僕だけだろうか? この小さい女の子が女神様という時点で怪しいし、理由も教えてくれないで異世界に行けだなんでもっと怪しい。
もしや、これは新手の詐欺で僕は本当は生きていたりするのかもしれない、とすら思える。
「まあ、とにかく死んじゃったわけだし異世界に行っちゃおうよ」
「何というゴリ押し!」
そんな考えを巡らせている間に、自称女神はそんな無茶苦茶な事を告げる。
「何でそんなにうだうだする必要があるの? 異世界に行けば、君の願いも叶うのに」
「願い?」
「本当は影薄い自分を変えようとしたかったんでしょ? だったら、異世界に行って新しい自分に生まれ変わればいいと思うんだ私」
「そ、それは……」
「何も不安がる事はないよ。光の女神シレナであるこの私が精一杯サポートをしてあげるから」
自信満々に僕に告げる光の女神。
確かに異世界に行けば変われるかもしれない、僕は一瞬だけそう思ってしまった。
それは僕がずっと望んできたもの。
でも手に入れられなかった。
それがもしこの女神が言うように、自分を変えて手に入れる事が出来るというのなら、
「行っても……いいかな」
「わあ、ありがとう」
僕の返答に、満面の笑みを浮かべるシレナ。まだ疑問はたくさんあるけど、自分の世界には戻れなさそうだししばらくは異世界という場所に行ってみるのがいいかもしれない。
「それでサポートをするとか言っていたけど、具体的にどんな事をしてくれるの?」
「まずは影が薄いで定評のあるあなたに、目立てるようなプレゼントを渡してあげる」
そう言ってシレナは指を鳴らす。すると僕の体は光に包まれて、数秒後には手に何か持たされた。ついでに帽子とかマントとかも付いていて、いつの間にか着替えさせられているけど、これって所謂、
「魔法使いのコスプレ?」
「コスプレじゃなくて本物! あなたには私の光の魔法を授けてあげる。これから行く異世界ではない魔法だから、きっと目立てるよ」
「魔法か……。でも一つ聞いていい?」
「何?」
「魔法が使えても存在感がない事の解決にはならないかと」
「ほ、ほら光を使えば誰だって」
「そんな物理的に目立っても……」
大丈夫かなこの神様……。
「でも結論から言うと、自分を変われるのって自分次第だと思うの」
「あ、投げ出した」
「べ、別に投げ出してないんだからね」
「小さい女の子のツンデレはなぁ」
「ち、小さい言うなぁ! それにこのどこがツンデレなの?!」
ポカポカ殴ってくる女神様。うーん、可愛いんだけど僕はロリコンとかじゃないから、こういうのに萌えを感じる事は……。
「あ、今失礼なこと考えたでしょ! これでも需要あるんだから!」
「需要って……」
女神様に需要とかってあるのかな……。
「あるとしたら、ロリ……」
「それ以上言わないで!」
「びっくりした、いたなら言ってくれよ」
「さっきも言ったんだけど」
どのくらいかって言われると、何時間も前から一緒にいるはずなのに認識されないくらい。当然ながらカメラにある認証機能にも認識されない。
だから何度も自分を変えようとしたし、努力もした。けど、そういうのは簡単に直せるようなものではなく、結局二十歳になっても変わる事ができなかった。
「なるほど。それで気がついてたら死んでいたのね。周りの人気づいていないみたいだし、いいんじゃないの?」
「あのぉ」
「あ、私が何でそんな事を知っているかって? それは私は女神だからよ」
「いや、そうでもなくて……。というか、僕が死んだってどういう意味ですか?」
そしてその二十歳も終わろうとした頃、何故か僕は女神とか名乗る小さな女の子の前に立っていた。さっきまで部屋にいたはずなのに、今は漫画で出てきそうな天界みたいな場所にいる。
それにしてもさっきこの女神(?)、僕の事死んだって言わなかった?
「そのままの意味よ。もしかして自覚とかしてないの?」
「いや、だってさっきまで自分の部屋にいたはずだから、いきなりそんな事言われたって理解できないよ」
何度も言うけど、先ほどまで僕は部屋にいたので、そんな自覚とかあるわけがない。
「ふーん。記憶にないんだ」
まるで何かを知っているかのような口ぶりの女神様。そんな言われ方をすると、気になるんだけどなぁ……。
「もしかして何か深い事情があって、死んだとか?」
「ううん。普通に病死よ」
「じゃあ意味ありげに言わないでよ!」
(でも病死か……)
僕そんなに重い病気患っていたっけ。
「まあ、そのあたりの話は自分で思い出してもらうとして、君の名前は高坂悠馬君だっけ? 突然だけど異世界に行ってみない?」
そんな僕の疑問をよそに女神様は話を進める。彼女の口から普段は聞く事もない言葉が出てきた。
「異世界?」
異世界と言えばあのライトノベルとかでよく出てくる、エルフとかゴブリンとかスライムとかが住んでいる世界とかの事だろうか。本やゲームでの世界でしかないのでそこまで知識はないけど、ああいう所って常に命の危険に晒される事くらいしかイメージが湧かない。
(つまりもう一回死んでこいって言っているのかな、この女神)
「異世界って一歩間違えば死ぬような世界の事だよね?」
「どんな偏見を持っているか知らないけど、そこまで悪い世界ではないよ」
そうは言われても、いいイメージがないので乗り気にもなれない。更にもう一つ、異世界に行く人には大体の共通点がある。
「異世界に行く人って、何かしらの力を持っている人でしょ? 僕にそんな力があるわけないし、そもそも何で異世界に行かなきゃいけないの?」
「それにはここでは語れない深い事情があるの」
「深い事情? そういえばさっき、自分の事女神とか言っていたけどそれと何か関係があったりするの?」
「関係があると言えば、あるけど、ないと言われればないかも」
「さっきから答えが曖昧だなぁ」
どうも胡散臭い気がするのは僕だけだろうか? この小さい女の子が女神様という時点で怪しいし、理由も教えてくれないで異世界に行けだなんでもっと怪しい。
もしや、これは新手の詐欺で僕は本当は生きていたりするのかもしれない、とすら思える。
「まあ、とにかく死んじゃったわけだし異世界に行っちゃおうよ」
「何というゴリ押し!」
そんな考えを巡らせている間に、自称女神はそんな無茶苦茶な事を告げる。
「何でそんなにうだうだする必要があるの? 異世界に行けば、君の願いも叶うのに」
「願い?」
「本当は影薄い自分を変えようとしたかったんでしょ? だったら、異世界に行って新しい自分に生まれ変わればいいと思うんだ私」
「そ、それは……」
「何も不安がる事はないよ。光の女神シレナであるこの私が精一杯サポートをしてあげるから」
自信満々に僕に告げる光の女神。
確かに異世界に行けば変われるかもしれない、僕は一瞬だけそう思ってしまった。
それは僕がずっと望んできたもの。
でも手に入れられなかった。
それがもしこの女神が言うように、自分を変えて手に入れる事が出来るというのなら、
「行っても……いいかな」
「わあ、ありがとう」
僕の返答に、満面の笑みを浮かべるシレナ。まだ疑問はたくさんあるけど、自分の世界には戻れなさそうだししばらくは異世界という場所に行ってみるのがいいかもしれない。
「それでサポートをするとか言っていたけど、具体的にどんな事をしてくれるの?」
「まずは影が薄いで定評のあるあなたに、目立てるようなプレゼントを渡してあげる」
そう言ってシレナは指を鳴らす。すると僕の体は光に包まれて、数秒後には手に何か持たされた。ついでに帽子とかマントとかも付いていて、いつの間にか着替えさせられているけど、これって所謂、
「魔法使いのコスプレ?」
「コスプレじゃなくて本物! あなたには私の光の魔法を授けてあげる。これから行く異世界ではない魔法だから、きっと目立てるよ」
「魔法か……。でも一つ聞いていい?」
「何?」
「魔法が使えても存在感がない事の解決にはならないかと」
「ほ、ほら光を使えば誰だって」
「そんな物理的に目立っても……」
大丈夫かなこの神様……。
「でも結論から言うと、自分を変われるのって自分次第だと思うの」
「あ、投げ出した」
「べ、別に投げ出してないんだからね」
「小さい女の子のツンデレはなぁ」
「ち、小さい言うなぁ! それにこのどこがツンデレなの?!」
ポカポカ殴ってくる女神様。うーん、可愛いんだけど僕はロリコンとかじゃないから、こういうのに萌えを感じる事は……。
「あ、今失礼なこと考えたでしょ! これでも需要あるんだから!」
「需要って……」
女神様に需要とかってあるのかな……。
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