ヤンデレガールズと俺。

片山樹

ヤンデレガールズと俺。

今日もまた、いつもと変わらない日が続いていた。しかし、俺の日常は普通の人とは違う。
俺は、なぜか女性をヤンデレにしてしまう体質らしい……。

***
ジリリリ……目覚ましの音が規則的に聞こえてくる。
( ゜д゜)ハッ!「やべぇー……遅刻する。急がないと。」

「あら、遅かったね。エイ」と稚地味のスズが喋りかけてきた。

「あぁ……ってか、お前なんで俺の家にいんだよ!」スズが俺の家に居るのが当たり前になっているので、ここで一応そう言っておいた。

「えっ?聞いてないの?エイの両親は旅行に出かけるって言ってたじゃない?」

「あぁ〜そう思えば、そうだったな。で、でも、なんでお前が?」

「その……おばさんから頼まれたよ。エイとあの雌豚の面倒をしろってね。」

「えっ?今、雌豚って言いました?」

「うん!言ったわよ。何かおかしかった?」

「い、いや。雌豚はおかしいだろ!それって、俺の妹のことなんだろ?」

「そうですけど……何か?」

「い、いや。まぁ、いい。(こいつと喋っていても、きりがないからな。)」

「おはようぉ〜お兄ちゃん。」
妹が起きてきたようだ。

「あら、雌豚のお出ましね。噂をすれば、出てくるなんて、やっぱりあんた豚ね。ふふ」
スズが妹に喧嘩を出す。

「あっ、お兄ちゃん。ちょうど、今ゴミがいるから掃除するね。ちょっと、待ってね。」と言いながら台所にある包丁を取り出す我が妹であるヒナ。

「お、おい。落ち着こう。一旦、落ち着こう。」

「ダメよ。お兄ちゃん。だって、そこにゴミがある限り捨てなきゃ。お兄ちゃんに必要ないものは全て捨てなきゃ。」

「いや、確かに高校受験する時に必要ないものは捨てなければならないとか言ってたけど、それとこれは、違うだろ!」

「えっ……なら、私は必要なのね。エイ!」

「まぁ、確かに、俺はお前がいないと嫌だ。
だって、お前とは、今まで、一緒に学校とか行ってたからな。」顔を紅くするスズ。

「お、お兄ちゃん。私は?」

「ヒナ。お前も大切だぞ。俺は、お前も大好きだ。」ヒナの顔も紅くなった。

「まぁ、今回は雌豚の事はどうでもいいわ。」

「まぁ、私も今回だけはお兄ちゃんに免じて許してあげる。だけど、次お兄ちゃんに手を出したら、ただですまないからね!」

まぁ、これで一旦、助かりました。

***
「行ってきまぁーす。」
俺は、学校に行くために家を出た。
俺が、家を出た瞬間にある電信柱に誰かがいる。まぁ、誰がいるか大体わかるけど……

「あ、先輩!おはようございます。偶然ですね。」
電信柱にいた奴が俺に喋りかけてきた。
こいつは、俺の後輩で名前は、ユリ。

「お、おはよう。お前いつも俺に会うけど、そろそろ偶然にも限界があるぞ!」

「まぁ、気にしない気にしない。ところで、先輩。昨日、私のメールなんで返してくれなかったんですか?」

「えっ……っと。昨日は、勉強で忙しかっただよ。ごめんな。」

「そ、そうですか。私よりも勉強ですか……。で、でも、それでも、酷くないですか?昨日、私はメールは100通、電話は30回以上かけたのに、ひとつも返事くれないなんて」

「いやいや、酷いのは、あんただよ!
それに、メール100通とか、電話30通とかお前どんだけだよ!」

「先輩。酷いじゃないですか!私を着信拒否してるなんて!」そう言いながら、俺の携帯をいじっていた。

「お、お前、いつのまに……」

「さっき、先輩がよそ見した時です。」

「お、俺は、よそ見なんてしてないぞ。」

「人間っていうのは、無意識の間にしてしまう生き物なんですよ。」

「そうなのか……って、お前俺の携帯返せ。」

「ちょっと……待ってください。」

「はいはい。わかったよ。」

「はい。できました。」
携帯が無事に戻ってきた。

「何ができたんだ?」

「私以外の女のメールとLINEの連絡先を消しました。」

「は?ふざけんなよ!」

「まぁまぁ、気にしない。私も先輩しか、男はいませんから。」

「いやいや、そういう問題じゃないんだよ!」

「そうですか。なら、一緒に考えましょう。今後のことについて……」

「いや、そういうのじゃなくてだな!」

こうして、俺は後輩のユリとともに、学校に登校することになったのであった。

***
学校にてーー
「あら、おはようございますわ。エイ君」と生徒会長が挨拶してきた。

「おはようございます。会長。」

「あら、会長はやめてください。『ネネ』とお呼びしてくださいなと前にも言ったでしょ?」

「あ、そういえばそうでしたね。ネネさん。」

「さんもやめて!ネネって言ってよ!」

「はいはい。ネネ……これで満足ですか?」

「はい。満足です。ですが、私の身体は満足ではなさそうなのですが……」

「あ、そうですか……じゃあ、また!」

「酷いじゃないですか……それと待ってください。」

「何だ?要件を早くしてくれ。」

「その横にいる小汚いのは何ですか?
奴隷ですか?それともペットですか?
それとも……彼女とか……?それは無いですよね。彼女とか……彼女とか……だったら、殺します。」

「あぁ〜こいつは、俺の後輩だよ。
そんな冗談言うなって。笑えないぞ!」

「へぇ〜面白いじゃない。生徒会長さん。
私に喧嘩を売るなんてね。」

「あら〜私としたことが口がつい出ちゃいました。」

「そうですか……そんなに殺して欲しいんですね。楽しい楽しい殺戮ゲームをしませんか?うふふっ……」

「面白いですね。りましょう。」

「おいおい!ちょっと、ストップ!ストッープー」

「「どうしたんですか?」」

「どうしたじゃねぇーよ!お前ら止めろ。」

「いや、ですが売られた喧嘩逃げる訳には行きません。」

「なんだよ!それ!なら、俺もそれに混ぜてくれよ。」

「ん?交じる?私と交じりたいですか?先輩。」

「い、いや。お前多分ものすごく勘違いしてると思うぞ。」

日本語ってやっぱり難しいね。

「そうですか……それはすいません。
私……先輩の彼女として恥ずかしいです。」

「「えっ?」」

「ちょっと、エイ君。こっちに来てもらえるかしら?話があるわ。」
俺はネネにそう言われ、手を引かれて連れて行かれた。

***
体育館裏にてーー

「それで、話ってなんだ?」

「それは……ですね。ちょっと、目を閉じて貰ってもいいですか?」

「まぁ、いいですけど……」

「絶対……絶対に目を開けてはなりませんよ。」
ちょっと、この展開もしかして……キスなのか…。キスなんだな。そうなんだな。
やべぇー……嬉しいぜ。
いや、もしかしたら鶴パターンの可能性もある。ここで目を開けたら、彼女の本当の正体がわかったりとか……

「先輩まだです……」

***
???にてーー

「ん、……うっ……!!ここはどこだ?」
それより、この俺の手についている手錠が1番気になる。身体が自由をきかないみたいだ。

「あら……目覚めましたか!」

「お、おい!どういうつもりだ?」

「いや……エイ君の側に居たいだけですよ。
だから、監禁した。」
狂ってやがる。どうすれば……どうすれば……いい?

「そっか……なら、手錠を外してくれ。
もっと、ネネの近くに居たい。」

「いや、だって手錠を外したら逃げるでしょ?」

「いや、逃げないよ。」

「いや、逃げる。だって、前も逃げたじゃん!」
そうなのだ。俺はこれが初めての監禁ではない。以前から、ネネには監禁されている。
これで3回目ぐらいになるだろう。
ちなみに、妹のヒナからは100回近く監禁されている為に、手錠の外し方のコツがわかっている。

「今回は逃げない。だから、外してくれ。」

「証拠を見せて。」

「証拠ねぇ……どうやって見せればいいんだ?」

「私の事をどのくらい好きか教えて欲しい……」えっ……デレですか。
ちょっとありかなとか思うんでやめて。
健全な男子高校生を試さないで。

「そうだなぁ〜。お前がいないと生きていけない。」

「うっ……あぁあぁ……」
手で顔を隠している。可愛い。

「君のことを思って、夜も眠らない。」

「あぁぁ……もう……やめて……やめて……
でも……でも……続けてほしい。」
ちょっと……俺がいやらしいことをしているみたいに思える。俺は一言もそんなワードを言っていないのに……

「俺と結婚してほしいほど好きだ。」

「あぁ〜……あぅあぅろろ…ろろ」
側にあったクッションで顔を隠した。
やべぇ……可愛いと思う。最高です。

「それで返事は?」

「もちろん!OKです。」

***
まぁ、どうにか解放されました。
俺はまだ高2なので18になるまで時間がある。
だから、まだ結婚できないと言ったら将来良い旦那さんになるために学校に行って勉強するべきだと言われ、俺は解放されたのだ。

まぁ、とにかく家に帰ろう。

「ただいま」

「お兄ちゃん、どういうこと?」

「えっ?どういうことって?」

「あのサイコパス女と結婚する約束したでしょ?」

「えっ?サイコパス女……?」
っていうか、お前も十分サイコパスだからな。

「そう。サイコパス女!あの、お兄ちゃんの学校の偉い奴!」

「あぁ……ってか、お前なんで知ってんだ?」

「い、いや。別に噂で聞いたのよ。」

「本当の事を教えろ!」
ヒナの頬をつねる。

「い、い、イタイイタイ。教えるから。
教える。やめて……」

「はいはい。それでどうやって知ったんだ?」

「お兄ちゃん……制服を脱いでみて。」

「ん?どうしてだ?」

「まぁ、いいからさ。」

俺は、そう言われ制服を脱ぐ。

「そして、その内ポケットにあるものを取り出してよ。」

ゴソゴソ
「あっ、これか。ってこれ!盗聴器じゃねぇーか!」

「そうだよ……怒らないで……お兄ちゃん。
私は、お兄ちゃんのことが心配で……心配で……」
うわぁ……泣かせちまった。最悪だ。
めんどくさい。

「はいはい。わかったよ。だけど、もうそんなことするなよ。」

「はぁ~い」
こ、こいつ嘘泣きかよ!

***
まぁ、俺はこんなヤンデレ達に囲まれて毎日を過ごしているわけだが……めんどくさい。
誰か変わってくれるなら、変わってくれ。
こんな生活嫌だ!俺を自由にしてくれ。

「お兄ちゃん〜」
「先輩!」
「エイ!」
「エイ君」

えっ?この展開って……。

「「「「私と結婚して」」」」


えっ……。いきなり過ぎだろ……。
で、でもこれからも俺の人生は退屈はしないようだ。



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