異世界リベンジャー

チョーカー

弱点は・・・・・・ない!

 さて、次の手は――――
 思い浮かんだのは、よくあるロボット対策。
 大量の冷気をぶつけ、脆くなったボディを灼熱の攻撃で破壊。
 極端な温度差をぶつけて、金属そのものの弱点をつく戦法。
 それを実行に及ぶ。
 周囲を雪原の冬景色に変化させ、轟々と音を上げて燃え盛る右手をパワードスーツにぶつける。

 ――――ノーダメージ

 次の手は、捕縛。
 森林の草木を成長させ、パワードスーツに巻き付かせられる。
 当然ながら、あっさりと引きちぎられる。
 だが、これは目くらまし。地下深くまで続く、巨大落とし穴だ(当然ながら、魔力で掘った)
 そのポジションへ誘導し、一気に落とす。

 だめだ。空中にホバーリングしている。


 次の手は―――ダメだ。
 また次の手を―――失敗だ。
 まだまだ……

 『よくもまぁ……次から次へと思いつきますね。念のために言っておきますが……全てが時間稼ぎで、私の魔力切れが本命なら無駄ですよ。最大連続稼働の記録は30日以上です。
 そして――――
 この対魔人型起動兵器試作品シェルに弱点はない!』


 シェルの言葉を俺の心を折にかかる。
 駄目だ……もう何も思いつかない。作戦という作戦を思いつき、実行してきた。
 多くの作戦を使い潰し、その結果は――――皆無。
 全てが徒労に終わった。俺に残された手段は――――
 もう……やるしかない!

 今まで両腕で抱いていたモナルの体を動かし、肩に担ぐ体制に変える。
 右手はフリー。
 そして、クルスから受け継いだ剣を腰から抜く。
 残された手段は真っ向勝負。
 今までの攻防。様々な作戦で摩耗したパワードスーツの装甲を、剣で持って切り裂く。
 そんな無謀とも言える攻撃しか、残っていなかった。

 『玉砕ですか?ここまで粘った結果が、それだと……』

 シェルの声が途切れた。
 何が起こったのか?一瞬、その状況が理解できなかった。
 パワードスーツ。
 おそらくはシェルが搭載しているであろう部分。
 真っ黒な鏡で覆われ、重機の操縦席を連想させる箇所。
 そこに泥が投げつけられていた。
 そして、そこにはワイパーらしき物は存在していない。
 俺は、その光景を前に呆気に取られる。

 「おいおい、まさか……そんな弱点なのかよ」

 そして、パワードスーツに向けて泥を投げた人物を探す。
 すぐに見つかる。

 その人物は―――アセシだった。  

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