異世界リベンジャー
祝勝会 ②
まず、話す前に円卓状のテーブルと椅子を用意した。
地べたに座り込み、酒を飲み、肴をつまむのは、それはそれで粋って奴なのかもしれないけど、10代の女の子と2人で飲むには、ややハードルは高い……のではないか? よくわからないが……
普段は部屋の奥に仕舞っているテーブルを取り出す時に気がついた。
殺風景だった俺の部屋にいつの間にか物が増えていた。
いつの間に、俺の部屋は、こんなにも俺の部屋らしくなったのか?
なんだか、不思議な感じがした。
俺は荻原みどりの話をクルスに聞かせた。
俺のおぼろげな記憶力でどこまで正確に伝えられるか?どこまで客観的で正確に伝えられるか?
もちろんクルスに聞かせれない内容もある。 火野烈弥との会話は話せられない。
まさか、当の本人に向けて「俺、クルスに洗脳されているらしいけど、本当?」と直接的に聞き出すほどの強靭なメンタルティを持ち合わせていない。……いや、そんなメンタルの持ち主が存在するのか?
結果、あやふやで、ふわふわとした内容の話になってしまった。
その結果――――
「……うん。なんだか、わかる」
「え?」
俺は驚いた。
『魔王』の魔法。ループしている世界。狂信的な信仰心。
これらの説明はしていない。意図的に消して話した内容にも関わらず、クルスは荻原みどりの心情がわかると言ったのだ。
「きっと彼女は、何かから足掻いていたのよ。足掻いて、足掻いて、どうしようもなくなって……」
「それで死んだ?」
「えぇ、そうね。言葉にすると陳腐な感じになってしまうけど、死ぬほどの激情を有してたのではないかしら?」
「……」
俺にはよくわからなかった。彼女の死は、何かからの脱却だったのだろうか?
それで……
「それで貴殿の胸で死ぬ事を選択した」
俺は、不意をつかれて含んだアルコールを勢いよく吹き出した。
「な、なにを言って……」
「彼女、貴殿の事を好きだった」
クルスは断定口調だった。俺はそれを否定する。
「それはない。彼女にとって、俺は10年前に1度出会っただけの人間だぞ?」
「でも命がけで守ったんでしょ?」
「……あぁ」
「それが好きになるには充分な理由じゃないか」
「いや、だからと言っても……」
俺は言葉が続かなかった。
アルコールが頭に回ってる。体の体温が上がっている。
なんだろうか?クルスの話に変な所がある。それが何か、よくわからない。
それを誤魔化すようにグラスを口には運ぶ。
 あぁ、そうか。違和感の正体がわかった。
荻原みどりは、どうしてわかったのか?
どうして10年前に自分を助けた人物が、俺だとわかったのか?
異世界に飛ばされるというセンセーショナルな体験の直前の記録だからか?
だから、くっきり、はっきりと俺の顔を覚えていた?
いやいや、おかしい。それじゃ荻原みどりは、いつ、俺は10年前に自分を助けた人間だと気づいた?
「あれ?なんだか……目が回ってきたぞ」
グルグルと視点がまわり思考がブレる。
今、大切な事を掴みかけているはずなのに……
次の瞬間には、分厚い記憶の底に送られて、別の事を考えていた。
地べたに座り込み、酒を飲み、肴をつまむのは、それはそれで粋って奴なのかもしれないけど、10代の女の子と2人で飲むには、ややハードルは高い……のではないか? よくわからないが……
普段は部屋の奥に仕舞っているテーブルを取り出す時に気がついた。
殺風景だった俺の部屋にいつの間にか物が増えていた。
いつの間に、俺の部屋は、こんなにも俺の部屋らしくなったのか?
なんだか、不思議な感じがした。
俺は荻原みどりの話をクルスに聞かせた。
俺のおぼろげな記憶力でどこまで正確に伝えられるか?どこまで客観的で正確に伝えられるか?
もちろんクルスに聞かせれない内容もある。 火野烈弥との会話は話せられない。
まさか、当の本人に向けて「俺、クルスに洗脳されているらしいけど、本当?」と直接的に聞き出すほどの強靭なメンタルティを持ち合わせていない。……いや、そんなメンタルの持ち主が存在するのか?
結果、あやふやで、ふわふわとした内容の話になってしまった。
その結果――――
「……うん。なんだか、わかる」
「え?」
俺は驚いた。
『魔王』の魔法。ループしている世界。狂信的な信仰心。
これらの説明はしていない。意図的に消して話した内容にも関わらず、クルスは荻原みどりの心情がわかると言ったのだ。
「きっと彼女は、何かから足掻いていたのよ。足掻いて、足掻いて、どうしようもなくなって……」
「それで死んだ?」
「えぇ、そうね。言葉にすると陳腐な感じになってしまうけど、死ぬほどの激情を有してたのではないかしら?」
「……」
俺にはよくわからなかった。彼女の死は、何かからの脱却だったのだろうか?
それで……
「それで貴殿の胸で死ぬ事を選択した」
俺は、不意をつかれて含んだアルコールを勢いよく吹き出した。
「な、なにを言って……」
「彼女、貴殿の事を好きだった」
クルスは断定口調だった。俺はそれを否定する。
「それはない。彼女にとって、俺は10年前に1度出会っただけの人間だぞ?」
「でも命がけで守ったんでしょ?」
「……あぁ」
「それが好きになるには充分な理由じゃないか」
「いや、だからと言っても……」
俺は言葉が続かなかった。
アルコールが頭に回ってる。体の体温が上がっている。
なんだろうか?クルスの話に変な所がある。それが何か、よくわからない。
それを誤魔化すようにグラスを口には運ぶ。
 あぁ、そうか。違和感の正体がわかった。
荻原みどりは、どうしてわかったのか?
どうして10年前に自分を助けた人物が、俺だとわかったのか?
異世界に飛ばされるというセンセーショナルな体験の直前の記録だからか?
だから、くっきり、はっきりと俺の顔を覚えていた?
いやいや、おかしい。それじゃ荻原みどりは、いつ、俺は10年前に自分を助けた人間だと気づいた?
「あれ?なんだか……目が回ってきたぞ」
グルグルと視点がまわり思考がブレる。
今、大切な事を掴みかけているはずなのに……
次の瞬間には、分厚い記憶の底に送られて、別の事を考えていた。
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