どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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身体が女の子になって2日目の朝を迎えた、夜の間に色々あって散々好き勝手やられた後俺はロアの部屋へと戻された、現在この部屋のテラスにいて夜明けの城下町を見ている、今外は薄暗い……夜明前だからだろうか? それとも今日の天候が一雨降りそうな曇りだからか? それは兎も角……。

「最悪の目覚めだな……」

俺が今着ている服は……天使コスだ、背中に小さな白い翼がついた可愛らしい白の衣装、寝る前に着た小悪魔コス同様布の面積が少ない……お腹が見えてしまっている、冬にこれを着たら確実に風邪をひいてしまうだろう……なんて事を考えつつ俺は目を擦る、その目にはくまが出来ていた、大きな欠伸をして手摺にもたれ掛かる。

「ロアの事を見てやんなきゃいけないのに……何やってるんだ俺は」

そして大きなため息をはく……部屋に戻された時、素直にロアと一緒に寝れば良かったんだが、それは出来なかった、何故ならロアの寝言が色々と危なくて近くにいたら色んな意味でヤられてしまいそうだからだ、どんな寝言だったのかは……想像に任せよう。

「ロアが目覚めたら見てやろう……」

ぱちんっーー頬を数回叩いて気合いを入れた後部屋に戻る、するとロアが上体を起こし目を擦りながら俺を見てるではないか……。

「んあ? シルク……もう起きていたのかえ? ふぁぁぁぁ……2度寝するからこっちに……くるのじゃ」

ちょいちょいって手招きして俺を呼ぶ、うっ……ロアの欠伸を見て俺も眠くなって来てしまった、恥ずかしさよりも眠気が勝った瞬間であった、なのでそれに応じて近くに行く、正直に言えば眠さは限界だ……もう色々とされるかもだが朝の弱いロアならそれをする心配は無い、きちんと熟睡してくれる……筈だ。

「ほれっ……もっと近こうよらんか」

ベットに寝そべった後、眠たいそうな目を見せながら弱々しく俺を自分の方へ引き寄せてくる。

ロアがぐっすり寝てくれる為だ、そう思って近くによってやる。
すると、俺を押し倒すと同じに掛け布団を掛け……「くかー」と寝息をたてて眠ってしまった。
俺も眠ろう……そう思い俺は目を瞑る、今回きちんと意識を手放しぐっすりと眠りに落ちる事が出来そうな俺は心地良く寝息を立てて眠った……随分と遅い時間に寝てしまったが……気にはしないさ、今回は昼まで寝かせて貰おう、店の事は……すまないが今日は休みにしてもらうか……そう思った後俺は完全に意識を手放した、その後泥の様に眠ったのは言うまでも無い。


「……ん………さんっ」

何だ? 誰かの声が聞こえる……あんまり寝ていないから寝かせて欲しいんだが身体をゆさゆさ揺らされる……あまりに揺らされるので少し目を開けて見る。

「起きて下さいですの……シルクさんっ」

ん……ラム? 何でラムがロアの部屋に? あれ? なんか上を見てみると見慣れない天井が見えるんだが……。

「ら……む?」
「あっ……やっと起きましたの、ほらっさっさと起きて下さいまし!」

急かすように俺の上体を起こしてくる……まだ眠たい俺は此処が何処なのか理解出来ていない……来た事があるのは確かなんだが……此処は何処だ?

「ほらっこれに着替えて歯みがきしますの!
そしたら朝……今は昼ですけど朝御飯を食べますの!」

騒がしく言いながら俺の身体を動かしてくる……此処はシンプルな部屋の造りだな、机1つに椅子4つ……後は小さなキッチン、まるで休憩室だ、あ……俺、ベットで寝てた筈なのに布団で寝てる、少しビックリして眠気が覚めた、それが切っ掛けで今何処にいるか理解する事が出来た。

「……雑貨屋の休憩室?」
「あっ、やっと気がつきましたの! もぅ……お寝坊さんですわね、そんなに激しくロア様と交わっていたのですか?」

何かラムが訳の分からん事を言ってくる……全力でスルーするか、俺はその場に立ち上がる……服は天使コス、ラムに脱がされて少し乱れている。
ちらりっと机の方を見てみると皿の上に木の篭で蓋をされている物を見付ける、その直ぐ側には小さな紙があった、手に取って読んでみるとこう書かれていた。

『朝起こしたのですが起きないの仕事場に運んじゃいました、朝食を用意したので食べてくださいねっ、後……仕事着なんですが今回は騎士ナイトコスを用意しました、ラムに貰って下さいね? 着なかったら……分かっていますね? ヴァームより
PS
わらわに内緒でコスプレしに行くなんてイケずなのじゃ Byロア』

「……えーと、つまりどう言う事だ?」

メモ紙を見ても状況が全く理解出来ない、えと俺は朝起きれなくて昼に起きた……で、その間に仕事場に送られた……そう言う事か?

「しっシルクさんっ無視はしないでくださいまし!」
「あっ……うん、ごめん」

駄目だ……頭が混乱してきた、だがまぁ……分かったのは1つ、コスプレの強要の時間が始まったと言う事だ。

「ではシルクさん、さっさと準備なさって下さい……皆さんシルクさんを待っていますわよ」

正直に言えば待っていなくて結構なんだが……ん? ここからでも騒がしく何かを言っているのが聞こえる、何を言ってるのか内容は分からないが……。

「なぁラム……」
「何ですの?」

俺は苦笑いしながら次の言葉を話した。

「今日、仕事休んで良いか?」
「駄目ですのっ」

速答か、分かっていたけどな、なんだよ……目覚めが最悪の場所ってどんな罰ゲームだ! 心の中で色々文句を言いつつ腕を組む、この姿で店なんて経営しよう物なら俺はどうにかなってしまう……相手があの住人へんたい達だからな。

「はぁ……相変わらず、俺の意見は通らないんだな」

深いため息を付きつつ俺は準備に取り掛かる、後でヴァームに何をされるか分からないし怖いのできちんと騎士コスを来た、青い全身甲冑って奴だな、だが幼女サイズなのでかなり可愛くてシュールな感じになっている。
中からだと外の景色が見えないだろ……そう思ったがそうじゃなかった、視界は狭まいが外の景色が見える……因みに風の通りも良いので息がしやすかった、服だけでなく鎧にまで手を尽くすなんて……なんてメイドだよ、と思ったのは言うまでもない。
その騎士の格好になった俺は職場に通じる扉を開ける、そこには……。

「ラキュたん踏んでください!」
「あっしをけなして下さい!」
「おでを叩いてくだはい!」

中々にカオスな光景が広がっていた、異形の魔物に群がられるラキュ……そんな彼の今の格好はサラシにふんどしだった……もう目も当てられない。
すると俺に気付いたラキュは満面の笑みを浮かべながらこっちを見てくる。

「シルク君だよね? 早速で悪いけど手伝ってくれるかな? 変態達の相手は疲れるよ……」

その笑顔は何処か曇りがかっていた、今日は相当酷いな……と言うかそれ、コスプレって言うのか? 俺はこくりっと頷きラキュの隣に立つ、すると住人達から盛大な歓声が上がる。

「えっ……もしかしてシルクたん!?」
「全身甲冑……か」
「ふふっ……妄想がとまんねぇぜ!」

何か盛大に不快感が沸き上がって来た、今すぐにでも逃げ出したい位だ、だが分かってる……逃げて鬼ごっこの悲劇にはなりたくない、だから俺は……。

「……ここは雑貨屋だ、物だけ買ってさっさと帰れ」

冷たい態度で接客する、接客業をやる上では絶対にやってはいけない事、だがなこんな状況なんだ……多目に見て欲しい。


俺が幼女化して2日目、今回も録な1日の始まり方じゃないなのは置いておいて……これは後でロアに文句を言ってやろう、そう思う俺はテンションが高ぶりまくる客に立ち向かって行くのであった、俺とラキュの戦いが今始まった……。

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